風に乗る努力、頑張る努力〜フリーター、大学院を目指す【試験まで39日】
人それぞれ、多かれ少なかれ、レア体験をしてきている。レア度も人によってマチマチだろうが、いずれにせよレア体験は語る価値がある。それがあまりにレアならば、それだけで食っていけるだろうし、「レア人生」みたいなもので生きている人もいる(たとえば俺の好きなプロ奢とか)。
俺のレア体験は、セーリングだ。ご存知だろうか?
コレだ。体重で帆を引っ張って向きを変え、風を受けて進むスポーツだ。見て分かるように、いかにもお金持ちの娯楽っぽい。実情は知らないが、多分実際にお金持ちの娯楽だ。
俺の家族はセーリングをするほど裕福ではないので、当然家にボートがあったりはしないし、海辺の別荘を持っていたりもしない。このボートを持っていたのは、俺がオーストラリアにホームステイしに行った時のホストファミリーだ。
彼らは海に程近いところに住んでおり、ガレージには大きな乗用車とこのセーリング・ボートが収まっていた。週末になると、ボートを車で牽引して海辺まで走らせ、セーリングを楽しむ家庭だった。俺もその恒例イベント(?)に参加させてもらい、ボートに乗せてもらった。
ボートに乗り込むと、まず浜辺から沖に出ていかなければならない。ボートとはいえ、パドルもモーターも付いていない。どうするかというと、帆を左右に振って、ちょうど団扇をあおぐようにしてパタパタさせる。この時、全身を使ってマストを左右交互に引っ張らなければいけない。相当体力を消耗する。
しかし沖に出ると、今度は風を受けることができる。風向きに合わせて帆の向きを動かすと、ものすごい速さでスイスイ進む。最初はビビったけど、慣れると気持ちいいし興奮する。「風に乗る」をリアルに体験したのはこの時が最初で最後かもしれない。
この話を思い出したのは、セーリングが努力することのメタファーに感じられたからだ。俺は努力すること・独学することが得意だ。英語もギターも作曲も独学で覚えた。今は哲学とフランス語を独学でやっている。自分で毎日コツコツやっている。しかし、ほとんど頑張っていない。努力することと頑張ることは全く別だ。
頑張らなきゃいけないのは、帆をパタパタ振らなければ進めない時だ。まだ進み始めたばかりの時であり、風が吹いていない時だ。そこはちょっと気合を入れないといけない。でも、ずっと頑張っても全然上手くならない。ストレスばっかかかって、成果は上がらない。風が一番ラクで、そして速い。
たとえば、練習やら勉強やらを習慣にすると、全然辛くなくなる。頑張るべきポイントがあるとすれば、習慣できるやり方を見つけること、そして実際に習慣化することだ。そこに風が吹き始める。あとはそれに乗っていくだけだ。
風が吹き始めると、面白いのは、それが他人からも吹いてくることだ。今年の頭から3ヶ月、毎日欠かさずにある哲学書を読んでいた。分からないなりに、線を引いたり、飛ばし読みしたりして、とにかく毎日読んだ。そこに風を起こした。すると、前にも書いたように大学院進学を進められたわけだ。そして家族や友人や大切な人も背中を押してくれた。来てるでしょ?風が吹いてる。で、それ以来毎日勉強している。毎日哲学の歴史をたどり、毎日フランス語に触れている。全然辛くない。だって風に乗ってるから。
このまま哲学者になるのか、なんか評論家っぽいものになるのか、はたまた音楽の風が強くなるのか、急に農家になっちゃったりするのか、そんなのは皆目見当がつかない。分かっているのは、風に乗っていけば遠くまでラクに行けるということであり、風に乗るのは気持ちのいいことだということだけである。
最後に、俺の人生で風が吹かなかった場面を振り返ってみる。風が吹かないと頑張り続けなくちゃいけない。ちっとも面白くない。辛い。風が吹かないと辛い。逆でもある。無駄に頑張ると、風が吹かない。
風が吹いていなかったのは、「こう思われたい」「認められたい」とか考えてたときだ。全く野暮だったね。カッコつけてるくせに、全くカッコよくない。風に乗ってないから。風に乗ってない人はカッコ悪い。遅いもん。速いのがカッコいい。自己承認欲求とか、自己顕示欲とかが肥大しているときは全く風が吹かない。そういう欲求はしばしば、俺たちを「XXになりたい」という道に誘う。「音楽家になりたい」とか「カッコよくなりたい」とか。「XXになりたい」は実はものすごく抽象的で、そこまでの道を考えるのが難しい。「XXをしたい。」こっちの方が簡単だ。したいことが分かれば、風が吹く。
あと、「周りの人」とか「普通の人」を見下しているとき、風は吹かない。「普通の人はXXだけど、俺はYYなんだ」とか、「周りの奴らみんなダセーな」とか、そんな風に考えてたときはダメだった。みんなそれぞれイケてるよ。ちょーリスペクト。そういうとき、ちゃんと風が吹く。
結局、変な/謎の プライドを持たないことだ。そうすると風が吹いてくる。風を捉えると遠くまで早く行ける。どこに流れ着くかはあまりアテにならないけど、遠くに行くことが大事だ。その方が面白いから。
という話を、コレを読んで思い出し、考えました。今日も勉強の風に吹かれた。明日もいい風に乗ります。
哲学とフランス語を勉強しています。
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学費ピンチなのでお金ください🙏ナムナム。
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