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アヤの瞳が好きで仕方ないと山本が叫んでいるそうだ、今、奥さんがこっちへ向かっているそうな アヤにアテンドした女性警察官曰く、

え 配偶者居たんかい? まもなく健吾先生が所轄に駆けつけてきた

「先生、山本実、奥さんがこれから来るって」
「え?」

「身辺調査してなかったんかぃ?」
「いや、これからやろうと想ってた」

「小学生の宿題じゃあるまいし」
「最初は軽い案件だと思ってたからさ、ごめんごめん」
本当、スチャラカ野郎だこいつ で、事務所に電話してる、すぐに健吾先生のスマホが鳴り 職権で取り寄せた住民票  

「父親なんだ、子供いるのに何をしてるんだこいつ」
子持ちかぁ、健吾先生のスマホに一連の動画を送り付けた

「疲れたから帰るね」
僕はアヤを促す

「いや、事情聴取?」
「先生代理人でしょ?僕は依頼人 徒歩で10分だし、用が有ればタクシーで来るから呼んで しっかり動画見てね、ごめんごめんは要らないから」

事情聴取なんて、情報提供後、警察官の創った作文にサインするお役所作業だ、こっちが素人だと想うと、何度も同じことを聞かれ、繰り返され時間を喰う事夥しい プロに任せちゃうのが面倒が少なくて済む アホの健吾先生でも出来るだろう

僕たちは家に戻った、山本夫婦間の感情的な愁嘆場なんて見たくもない  その為の顧問契約で代理人契約だ ギャラの分は仕事してね健吾先生

「奥さんが居て、お子さんが居てか」
ほーらアヤが考えこんじゃった

「アヤが気にする事じゃないよ あっちの事情はあっちの問題、僕たちはやられた事を防いでいるだけ」
ソファに並んで抱きしめた、アヤが抱き着いてくる、髪から良い香り

「大丈夫だよ、僕を信じなさい」
「うん、涼次なら上手に解決するよね」

「子供があんま酷い事に為らないように差配する、ただ、親がこんな奴だったと知るのも子にとって必要、僕みたいに」
「そっか、そうだよね、知って対応する権利が有るし、その能力を伸ばす権利もあるって言ってたよね」

「ですよ」
「涼次、好き」
僕もアヤが好きで堪らない キスをした
しばーらくなーんもしゃべらないで抱き合ってた
かなり時間が経過した

着信
「片付いたぞ、報告にお邪魔して良いか?」
健吾先生
「そっちの事務所で報告聴きます」
「いや、一杯飲ませてもらえるかと想ったんだが」

「冴子先生も呼んでおくね」
電話の切り際、健吾先生、絶句

で 再びのTokyo city法律事務所 窓の外は暗くて鏡みたいに僕たちが映る、いつもの面談室に入ると健吾先生が渋い顔冴子先生に詰められたみたい
クルボアジェのナポレオンを差し出すと表情が綻んだ、エジンバラクリスタルのブランデーグラスもペアで渡す
健吾先生は箱から取り出し、紙を剥がし錫の封印を斬る、コルク栓を抜いて音をさせグラスに注ぐ、香りが部屋に広がった
「私は良いや、涼ちゃん使ったグラスは後で返すね」
「ん? グラスは冴子先生にあげます、苦労してるんでしょ?」
冴子先生の口元が笑った 苦笑

「別れてからは苦労してないよな、いや夫婦で居たときも、そんなに苦労はしてないだろう」
出たニブチン男の戯言 思考のチャート狭ぇ

「いやぁ、グランドスラム並みのビハインドだ、(株)鈍通からひっぱりやすくなったな」
健吾先生上機嫌 接触禁止の文言の有る誓約書を無視して暴れたんだから、Macdonaldまではギリセーフ、7階まで上がってアウト アドバンテージが上がったのはわかる

「こら、宿六、酒喰らうのはお許しが出てるが、依頼主様に必要事項、さくさく歌っちまいな」
健吾先生ブランデーをくいっ どぼどぼっと注ぐ、グラスを大物ぶってブランデー持ちにして、左右に回す、香りが立つ イケメンなのにカッコウ付いてないぞ唐変木
「山本の奴、ずっと素人童貞で、やっと嫁を貰ったんだが、これが出来た嫁でさ、結婚したとたん、モテる様になったらしい」

女に磨かれて男は成長する、漢に変わっていく、その過程でモテ期が来ることは良くある、身だしなみが整い、立ち居振る舞いも女房に恥ずかしく無いように気を使うことで他の女性への知らず知らずのアピールになる

「嫁のお陰でモテる様になったのに、奴は勘違いしちまった」
オマエモナーと僕は頭の中で呟いた

「でも、メッキはすぐに剥がれ、大人しくなっていたが、インターンの世話をするようになり若い娘相手に暴走 これまでも何度か問題になりかけたが、奥さん・上司に制止され思い留まっていた、が アヤちゃんが来てブレーキが壊れたようになり、奥さんには離婚も言い出していたそうだ」
こらこら、健吾、そこ余計だ 

「バカだよな、女房のお陰でちょいとグレードが上がりモテ期が来たのに勘違いするなんて」
「自分のバカが身に染みる? 健吾もそうだよね」
健吾先生、クルボアジェを吹き出した僕のネルシャツに被害が、Amazonだから良いけどさ、浮気とストーキング方向は違えど、勘違いが原因ですか 男ってバカねぇと男の身である自分で想う

「健吾さん、ナポレオンは進呈するから、報告はよぉ」

「奥さんは被害届を出してくださいって、それでないと本人の目が醒めないでしょうと言ってる」
もっともだ
「で、山本実の父親から電話が有り、明日、地元の鈴木参議院議員とこちらへ来るそうだ」
所轄に鈍通と通じてるやつが居るって事か?
「へぇ、アテンドしないよ?」
健吾先生、一瞬黙った こいつ勝手にアポ入れやがったな おまえか山本実の実家に連絡しやがったのか?

「そっそうだな、会わない方が金をひっぱりやすいだろう」
「んなこたぁどうでも良い、気分悪いんだもの」
議員本人も来ないで、利口ぶった第一だか第二の秘書が来るんだろうし

「またまた、涼次我儘な」
「我儘を通すために依頼料払ってるじゃん」

田舎代議士は国会議員の威光を持って若造をねじ伏せ、地元・旦那の山本家に恩を売ろうと想ってる

票に格差がある以上民主主義じゃない、それで選ばれた代議士なんてロクなもんじゃない、地元・自分らへの利益誘導しか考えない愚民が選んだ立法府の奴バラの大物ぶりの茶番なんぞ すっとこどっこいだ
「見るだけ不愉快だよ、ちゃんちゃらおかしいや」

「大丈夫よ涼ちゃん、明日は私もアテンドするから、きちんと健吾に仕切らせて」
「たのんます」

「よぉ腹減ったよ、飯でも行こうぜ」
「健吾先生とは気分じゃない、冴子先生とならいつでも歓迎だが」

「なんだよ、つれねえな、明日拗ねちゃうぞ いてててて」
冴子先生に、思いっきり頬を抓られている

「やい、宿六、涼ちゃんは全部お見通しだよ、おまぃさんも山本実と変わらねえ、まだアヤちゃんに色目使いたくて仕方ねえんだろ、しまいに消されるぞ、そうなっても私は止めないし悲しんでもやらないからな」
健吾先生涙目

「ごめんねぇアヤちゃん、涼ちゃん、きつく叱っておくから、明日は任せてね」

そして家へ戻った、コンシェルジェは交代していたので詫びとお礼の伝言だけしておいた、引継ぎが有ったようで話は早かった

部屋に戻る ドアを締めたら抱き着かれた
「妬いてくれた? 妬いたんじゃないか」
アヤの頭の上に頬を乗せる
「ん~つがいに割り込まれるのが不愉快でさ、邪魔すんなって感じ」
「あ~香織ンやエリにも、そこはかとなく、そんな雰囲気を発してるよね」

「そだよ、アヤが大切でアヤとの時間が貴重、アヤへの自分の想いが日々の糧なのにさ、茶々いれられると憤慨する」
「悲憤慷慨して憤死しそうなくらい?」

「アヤとの時間、もっと欲しいから憤死はしない、邪魔する奴に産まれて来たことを後悔させる」
「冷静に過激だね、私が涼次を磨いた?」

「そだよ、最高の女と番って、僕は成長してる磨かれてる」
「私もだよ、田舎出のもっさい女が涼次に見て欲しくて、香織ンに手伝ってもらって、磨いて、涼次と睦むたびに磨かれて」

「愛してる」
抱き潰すほど抱きしめた 愛しい



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