見出し画像

普通の女の子のわたしがプリンセスになった話

地球人長女宇宙人次女が愛してやまないアニメがある。

女の子の子育てをしているお母さんなら、きっとタイトルでお分かりかもしれないが、それはこの「ちいさなプリンセス ソフィア」である。

2015年に放送されたこのアニメが、我が家では今日も流れる。
どこがそんなに?と思う反面、冷静に見てとにかく異質のアニメではある。
今更だけど、まったく知らないひとのために、どこが異質か述べてみたい。
なぜかというと、今でも " 新しい " と思うからだ。

生まれつきのプリンセスではない

これが一番衝撃的だと思う。
ソフィアのお母さんは、エンチャンシアという国の街角で靴屋を営む一般女性であり、死別した夫の子どもであるソフィアをひとりで育てていた。
注文された靴をお城に届けに行った際に、お母さんは国王に見初められる。
その後再婚することで王妃となり、王妃の子どもであるソフィアも同時に「普通の女の子のわたしがプリンセスになった」のだ。
ちなみに国王にも前妻との子どもがふたりおり、子連れ同士の再婚である。

…目が点になるとはこのことだ。
玉の輿に乗るよりすごい、斬新。
はじめてこの設定を知ったときの衝撃は忘れられない。
一時期、地球人次女の夢は「プリンセスになりたい」だったのだけれど、その夢がこんな方法で叶えられるとは、すごい!

ちなみに、このアニメがアメリカで放送され始めたのは2013年のことらしいけれど、今でもまだ新しい気がする。

子どものプリンセス

ディズニープリンセスといえば、ラプンツェルや人魚姫のアリエル、オーロラ姫、美女と野獣のベルなど、ある程度の年齢だ。
基本的なストーリーでは恋に落ちることから設定として必須となっている。

けれど、ソフィアは子どもだ。
プリンセスとして最年少の白雪姫は14歳であるのに対し、ソフィアは8歳。
さらに生まれつきのプリンセスではなく「普通の女の子」出身のソフィアは責任や業、呪いといった王族として生まれた人間が持つはずの「宿命」を持たない。
背負った宿命と闘うさまが描かれるプリンセスストーリーとは一線を画す。

そして、” 女の子 ” であることは恐らくこの物語の中で特別な意味を持つ。
根拠は登場人物の名前だ。
義理の姉となった「プリンセス」の " アンバー琥珀 " 、プリンセスになる前からの友達である「普通の女の子」である " ルビー " と " ジェイド翡翠 " というソフィアに一番近い3人の女の子の名前だけが、宝石の名前だからだ。

その中でも「普通の女の子」で「プリンセス」であるのはソフィアだけだ。

プリンセスだけど、リーダー

特別な普通。
それがわたしが思うソフィアだ。

ソフィアの話は、いつもトラブルが起こってそれを解決する形で終わるという水戸黄門スタイルなのだけれど、その解決方法にソフィアの特徴がある。

・自分で動くのではなく、人を動かして解決する
・命令ではなく、お願いや協力を引き出すという形で人を動かす
・敵をいつの間にか味方にしてしまう
・悪者を一発で見抜く
・対立する両陣営を説得する
・人を勇気づけて、その人本来の力を引き出す
・男と女、といった概念の壁を壊す
・ピンチに陥るとソフィアのもつアバローのペンダントはプリンセスを呼ぶ(つまり最強)

ソフィアが発揮する新しい女性的なリーダーシップ。
それは兄であるジェームスの能力をはるかに凌ぐ。
そんな女の子の名前として、ΣΟΦΙΑ(ギリシャ語で“最上の叡智”)からきたSophiaソフィアという名前はふさわしい。
新しい時代のリーダーシップに求められる資質は「叡智」だというのがディズニーのメッセージなのかもしれない。
彼女は王室に後から加わった存在にも関わらず、いつも高貴さを表す紫のドレスを纏っている。

今まで ” 普通の女の子 ” として扱われてきたソフィア叡智が、プリンセスのような高貴な存在として ” リーダーシップ ” を発揮するという使命を果たす、そんな時代になったということなのかもしれない。

国王である義父からもらったアバローのペンダント

アバローのペンダントは、この物語の重要なモチーフだ。

ソフィアが国王である義父からもらったこのペンダントは、ピンチになると歴代のプリンセスを呼んでくれたりという力を持つが、反対に良くないことももたらす。
というのも、これがペンダントの魔法の力についてのメッセージだからだ。

”良き行いも 悪しき行いも
力となりて あらわれるであろう”

前述した ” リーダーシップ ” はこの「力」のひとつなのかもしれない。
そして「力」でありながら「呪い」ともなりうるアバローのペンダント、それは国王である義父からプリンセスとなるソフィアへのプレゼントだ。
ソフィアは「宿命を持たない」と書いたけれど、このアバローのペンダントを手にした時に「使命」が与えられたのではないかと考えられるのだ。

国王はなんでこんな力の強いペンダントを実子である息子と娘にあげなかったのかよくわからなかったけれど、これだと納得がいく。

のちにこのアバローのペンダントには別の王国のプリンセスが閉じ込められていたことがわかり、ソフィアはそのプリンセスの解放を成し遂げる。
それは、普通の女の子だったソフィアがプリンセスになる儀式とも取れるんじゃないかと思ったのだ。

古いアニメについてどんだけ語るんだよ、と自分で自分に呆れてきたので、今日はこれでおしまい。



お母さんが靴屋で働いていた、というのも気になる。
シンデレラも靴が縁を結ぶよね。
なんか意味があるのかな。


サポート嬉しいです!新しい記事執筆のためシュタイナーの本購入に使わせていただきます。