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はじめてのふらっぐ

そうだ、フラッグ作ろう
と心の中で思ったなら!その時すでに行動は始まっているんだッ!

(正真正銘)初投稿です。新米パイフラ持ちのマルモと申します。
今シーズン始まって早くも3試合が終わり、我らが京都サンガは1勝1分1敗と、まあ可もなく不可もないって感じで。戦術面の考察をされてる方はたくさんいますが、残念ながら私にそんな知識はないので…今回は今シーズンから新しく振り始めたパイプフラッグの完成に至る過程と、そこに込めた想いなど諸々を書いていきたいと思います。
駄文で長文になりますが、時間のある方はよかったらお付き合いください。

発端

フラッグを作ろうと思い立ったのは過去ツイを見る限り去年の12月29日のようです。この2年でそれなりの数のアウェイに突撃して、J1チームのゴール裏は浦和を筆頭に明らかにフラッグの数が多く、京都のゴール裏はまだまだフラッグによる圧が足りないとは感じていました。それを多少でも増やせればとは前々から思っていましたが、明確にデザインなどを考え始めたのはこのタイミングです。

ただ、この時点で開幕まではすでに2か月を切っており、今振り返ると明らかに時間はない。同時進行でやらないといけない修士論文の執筆も考えるとギリギリもいいところで。
カラーの布をつなぎ合わせた3色旗とかなら比較的短い日程で完成するかもしれませんが、どうせならしっかりデザインしたものを作りたいと考えた私はかなりギリギリのスケジュールでフラッグの作製に取り掛かることになりました。

当初のデザインと迷走

デザインをするうえで制約というか、自分で設定した目標は当初こんな感じ。

  • サイズは2m×2mにして、それなりに大きいものにすること

  • 京都に関連するモチーフを入れること

  • 文字は遠目からは分からなくてもいいけど、しっかりとしたメッセージを入れること

特に2つ目の京都に関連するモチーフについて。クラブエンブレムにもあるような鳳凰のモチーフを入れてるパイフラは既存で振ってる方がいてとてもかっこいいのですが、私個人はクラブと結びついたモチーフよりも地域に結びついたモチーフをメインに据えることにしました。それによってチームを応援する地域そのものを象徴したフラッグにしたいと考えたわけです。

それで最初のモチーフとして考えていたのが「蹴鞠」。サンガスタジアム前にも蹴鞠の像がありますね。このモチーフで千年の都京都のサッカー文化を表現しようとしました。

ここで大問題。私絵心がありません。なので蹴鞠をモチーフにするにしても既存の画像を加工するしかないわけですが、蹴鞠の絵って大体昔の優雅な絵ばっかりで躍動感がないんですよね…(優雅な遊びなんだから当たり前ですが)どうにか躍動感のある蹴鞠の画像を作りたい…

そうだ、「MMDに狩衣のモデルを突っ込んでサッカーの動きをさせてそのスクリーンショットを撮ろう」

何を言っているのか分からねーと思うが(以下略)
俺も何をしているのか分からなかった

たしか年末年始休みの深夜1時とかで完全に深夜テンションでしたね。何がしたかったのかを軽く説明しときましょうか。

MMD、MikuMikuDanceは専用のモデルに自由な動きをさせた動画を作れるソフトですね。いろんなキャラのモデルを作って配布している人がいるので、好きなキャラにダンスをさせれるわけです。
このソフト用の狩衣のモデルがあれば、狩衣に躍動感あるサッカーの動作をさせることができます。で、探してみると…

あった。でもこのモデルにサッカーの動作をさせるのが難しいんですよね。サッカーのモーションがテンプレとしてあれば楽なんですけど…

これもあった。モーション配布もある。(これ作った方は何考えてたんだろう…)
でもってこれをこねくりまわすとこうなりました。

躍動感は出たのでスクリーンショットを撮って…パワポで文字とかと合わせて並べてみて…

こうなった。
うん、ダセえ!

フォントの問題、色味の問題、アシンメトリーで見にくいとか、問題はいろいろあるとは思うんですけども。一番の問題は、蹴鞠をしてるようにはもはや見えないことですよね。躍動感の方も、動画ならわるくないんですが画像として切り抜いてしまうとよく分からん…イマイチ。

今思えば、普通に優雅な蹴鞠の絵をシンプルに中央に配置したフラッグならそこそこ形にはなっただろうとは思います。ただ、その方針は自分の好みから外れてたので却下しました。でもってこの蹴鞠モチーフ案はこれ以上の改善が見られず、完全にボツになりました。MMDにかけた時間は一体…

モチーフの決定とデザイン

完全にボツにした以上、イチから考え直しです。
次に目をつけたのが、人の顔をアップにしたフラッグです。有名人なら画像を引っ張ってくるだけで済むので絵は描かなくていいですし。
こういうフラッグで有名どころだと浦和のゲバラとかですかね。

ご存じキューバの革命家チェ・ゲバラ(https://qr.paps.jp/ZfbJ4)

勝利の女神ヴィーナスの旗は京都を含めいろんなチームのゴール裏にいますね。あと個人的に好きなのはベガルタ仙台の東方定助の旗ですかね。仙台出身の漫画家の作品で仙台(のような街)が舞台の漫画「ジョジョの奇妙な冒険 第8部」の主人公。これもうジョジョ好きなだけだな?
まあとにかく、こういうのを京都を代表する人物でできないかと考えました。

その血の運命(https://qr.paps.jp/jeVOy)

ただ京都の人物で誰をモチーフに据えるかは結構悩みどころでした。お公家さんを据えても鼓舞って感じはしにくいですし、京都の武将って印象薄いんですよね…どっちかというと天皇がいて他所の大名が支配しに来る感じですし。となると鎌倉時代より前…

で、思いつきました。酒呑童子
思いついた瞬間勝ちを確信しました。完全勝利。デザインのイメージ、フラッグとしての意味付け、道筋が一気に開いた感覚。

酒呑童子は伝承に登場する大悪党、というか鬼です。平安時代に都の住人をさらって食ってたとか。
詳細はWikipediaが割と分かりやすいんですが、今回のデザイン上重要なポイントはこんな感じ。

  • 大江山(丹波と丹後の間)あるいは大枝山(京都と亀岡の間)に住んでいた

  • 住処は諸説あるが、老の坂峠に首塚大明神という酒呑童子を祀る神社がある

  • 源頼光の一行にだまし討ちで寝首を掻かれた

  • 首だけになっても源頼光の兜に食らいついた

重要視したのは最後のやつですね。首を落とされても戦う執念を感じるエピソードです。「負けとるやんけ」と言われるかもしれませんが「死んでも戦う」というのはいいモチーフになると考えました。

人物(?)が決まったら画像探し。「酒呑童子」で検索すると大量に出てくる美少女キャラと化したFGO酒呑童子を避けるために「酒呑童子 浮世絵」で検索して…一番フラッグに向きそうだったのがこれ。

歌川国芳作

まさに兜に食らいつく酒呑童子の首。髪のなびき方がキレイで、フラッグの動きに良く映えるだろうという目論見です。
この首と兜の部分までを使い、文章は酒呑童子のエピソードに絡めて「京都のために死んでも戦う」の英訳とすることを決めて、構図の検討に入ります。とりあえずペイント3Dのマジック選択で鬼の顔だけ切り抜いて…

初期案などなど

パワポで色々置きながら試して、左下の構図に決定。ただ、これだと赤色が強すぎると思ったので、鬼の顔色を紫に変更。これはGIMPという無料ソフトを使いました。黄色のまま残したい部分はそのままにできるのは大きかった…
あとは兜に食らいついてることははっきり見せたかったので、兜も含めて切り抜き直しました。
背面の渦巻き模様は配布サイトからベクター画像を拾ってきました。規約なんで出典おいておきますね…

最終的に業者への入稿を.ai形式(Adobeイラストレーター)でしないといけなかったんですが、それなりに互換性のあるフリーソフトInkscapeでなんとかなりました。
Inkscapeで作業→pdf形式で保存→拡張子を.aiに変更
って流れです。Inkscapeとillustrater間で互換性のない機能を入れないように注意は必要ですが、基本的にはこれで問題ありませんでした。
そんなこんなで完成品がこちら。

自画自賛にはなりますが、最終的にはデザインにかなり満足してます。ユニフォームで使われてるような紫を基調にしつつ、裏の渦巻きは京紫にすることで京都らしさを表現。京都の文字を目立つ金色にしたことで、遠くからでもそこだけは見えるようになりました。
ただまあ反省点もあって、鬼の顔の色ですね…紫の比率を増やせたのはいいんですが、背景色と近くしすぎました。鬼の輪郭が分かりにくい。背景色をもうちょっと薄くすればよかったかもしれませんが、サンフレの紫には絶対したくなかったのでね…色彩というかデザインの知識足らんかった…
あとパソコンでははっきりしてるように見えても、実際に旗になると見えにくいってのはなかなか難しいところ。

旗布の発注と旗竿の作製etc…

旗布の発注はサンガのパイフラの先輩に紹介していただいた堺のアートししゅうさんに頼みました。2m×2m、棒袋加工と先端の補強加工、棒袋を縛る紐を通す穴周りの刺繍4点、送料まで込みで25,300円也。安い!…とは学生の身分では言いにくいですが、たぶん他の業者さんよりお得だと思います。糸も目立たないよう紫にしてもらったり、とても丁寧な仕事をしていただきました。今回のケースだと納期は大体2週間ぐらい。

旗竿の作製はこちらのnoteを参考にさせてもらいました。
自分の場合、旗布2mに対して旗竿がだいたい3.5m。もちろん2本に分けて、ソケットで繋ぐ形になります。太さ「16」の黒い塩ビ管を使いました。キャップとか金属製ソケットとかも諸々買って、だいたい3000円ぐらいだったかと。

この長さだとサンガが公式で売ってるフラッグケースには入りきらないので、運搬手段として釣り竿用のベルトを買いました。これがなかなか悪くないです。メルカリで新品を買いましたが1000円しない安さで、しまうときもかさばらない。ただまあサンガらしさはもちろん一切ないのでエンブレムのワッペンとか付けれないかなあ…
持ち運びの際ですが、新幹線でも前後左右の座席にはみ出さないずに自分の背もたれに立てかけることができたことは備忘録として書いておきます。

以上、全部込みで30,000円ぐらいになりました。まあ…予算内予算内…
今季のユニ代と割り切ります。

そもそもなんで作ったの?

さて、少しだけなぜこのパイフラを作ることにしたのかという話を。
前提として、京都のゴール裏の数を増やして見栄えをよくする、フラッグに込めたメッセージでチームを鼓舞するといった目的はもちろんあります。
ただそもそもの話、私2024シーズンから当面は京都のホームゲームほとんど行けないんですよね。就職で京都を離れることになりまして、戻ってくる目処は立ってないどころか相当年数関西に戻ってこれない可能性もまあまあある状態でして。なのでホームのゴール裏のパイフラの本数を増やすという観点では私はほとんど貢献できませんし、作ったフラッグもそんなにたくさん振る機会がないかもしれません。
なのになぜ3万円もかけてフラッグを作ったかといえば、応援するチームに対する想いを形にすることで自分の気持ちを留めたかったから、というのが近い気がします。

京都サンガのサポーター歴はもう9年目とかになりますが、クラブに対する想いが自分の中で、「好きだから応援する」というよりも「応援するから好き」に近いと感じていました。言葉で表すのがちょっと難しいんですが、「楽しいから笑う」んじゃなくて「笑うから楽しい」みたいな…ゴール裏で熱烈に応援するという行動によって、京都サンガというクラブに対する強い愛着が自分の中で形作られていたと感じています。
ただ、これは裏を返せば応援という行動ができなくなったときに愛着が薄れていってしまうということです。実際そうなるかは分かりませんが、私はそうなる懸念を持ってしまいました。

そうやって社会人として過ごしていく中で好きなものへの関心を無くしていくことは1つの自然な流れなのかもしれません。それでも私は京都のゴール裏で応援している時間が好きですし、その中でたくさんの知人や友人もできました。ゴール裏を離れても、自分の気持ちが完全にそこから離れてしまわないように、しっかりコストをかけて凝ったフラッグを作り、またゴール裏に行く動機を大きくしたかったのかなと自分の行動を考察しています。

…まあゴチャゴチャ長々と書きましたが、要は「あんまり試合行けなくなるけどせっかく作ったフラッグの出番を増やすために頑張ってなるべく参戦するで」って感じでしょうか…
鬼のフラッグを見かけたら、「ああ、あいつ珍しく来とるんやな」ぐらいに思っといてください。

さいごに

なんか色々書いてるうちに、このフラッグが選手への応援やメッセージ性よりも自分の都合とか事情とか自己顕示欲で作られてるみたいな感じになってしまいましたが…選手への応援やメッセージはもちろん込めているつもりですし、そこはちゃんと行動で示したいと思います。
もちろんゴール裏として盛り上がりたいタイミングではなるべく多く振っていきますし、「死んでも戦う」というメッセージを込めた以上、ゴールを決められた後や負けた後などの選手に執念を求めたい場面でも積極的にこのフラッグは振っていきたいと思っています。
周りに迷惑はかけないように気を付けつつ、楽しくかっこいいゴール裏を作る一助となれればと思います。皆様、今後もこのフラッグをよろしくお願いいたします。

2024年3月15日

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