見出し画像

【散文】桜

樹齢300年の老木に一輪だけ

願いを叶える、純白の花が咲く

春生まれの貴女に渡すため

僕は、境内へと登った


風が枝をしならせ

花を降らせる

天も地も

まわりもすべて


花あらしのなか

黒髪が揺れる

貴女の手のひらには

雪のように白い花びらが2枚


抱きしめた拍子に舞い上がった

僕らの願いは、色づき

世界にとけ込んだ


残されたのは

風と花と

天と地と

僕と貴女

よろしければサポートをお願いします!サポートいただいた分は、クリエイティブでお返ししていきます。