- 運営しているクリエイター
記事一覧
【掌編小説】卒業の#シロクマ文芸部
(読了目安3分/約1800字+α)
卒業の宣言を聴いて、もう三年になる。アスファルトの合間から力強く葉を広げたタンポポを見つけ、私は彼のことを考える。北海道で正社員として就職したのだ。連絡は控えているからどうしているかはわからない。せめて彼のそばに共通の友達がいれば良いのに、と思い、軽く首を振った。
昴晴とは、ものごころついた時から一緒にいた。隣の家に住んでいて、親同士が友達だったため、ほ
【Short Story】Stroll
I had ChatGPT translate a short story I wrote in Japanese, and made some additions and corrections. The original Japanese story is here.
"Just walking, is that all?"
"Yes."
Being Disappointed, I st
【Short Story】Thank you
I had ChatGPT translate a short story I wrote in Japanese, and made some additions and corrections. The original Japanese story is here.
'Thank you. And I apologize for any inconvenience.'
Upon r
【掌編小説】苦い珈琲よりも甘いココアを#シロクマ文芸部
(読了目安2分/約1,600字+α)
珈琲と、ほのかなバニラビーンズの香り。
アパートの玄関扉を開けた瞬間、俺の胸に頭突きをした凛花は無言だった。喫茶店の香りをまとった彼女は、声を殺して泣いていた。
ああ、いつものだ。
内心の安堵を悟られないように、俺はため息をついてみせる。風呂あがりで良かった。外気で冷えた彼女の頭を軽く撫でる。外は小雨が降っていたらしい。肩にかけていたタオルを彼
【掌編小説】どれい商人の娘#ウミネコ文庫応募
(読了目安5分/約4,000字+α)
今よりもずっと昔、乾燥した砂漠の町にココという痩せた少女がいました。
ココは働き者でした。朝早く起きると、井戸へ行き、洗った水がめにいっぱいの水を汲みます。ヤギにあいさつをして、乳を絞ると、ブルーノさんが起きてくるまでに、朝ごはんの支度をするのです。
ブルーノさんがごはんを食べ終わり仕事に出かけたら、お部屋の掃除をします。帰ってきたときにゴミが残っ
【掌編小説】走らない#シロクマ文芸部
(読了目安2分/約1,150字+α)
「走らないのか? セリヌンティウス。お前の友は走ったというのに」
俺は曖昧に濁し、酒で言葉を流し込んだ。何度となく行われる他愛のない雑談が俺の身体を縛りつけ、息もまともに吸えなくなる
あの日、磔刑に処されようとしていた俺の足下にあいつがしがみついた時、確かにそこには強い絆があった。誰にも負けぬ強い友情があった。俺があいつに抱く愛情と信頼と同等のものを
【掌編小説】永遠の恋人
(読了目安3分/約1,400字+α)
焼きつけるような陽の光に、彼は目を細めた。
腕を持ち上げ光を遮ると、白波の立つ海へと走る彼女の後姿が見える。彼女は楽しそうに、水を蹴散らす。
太ももあたりまで海につかると、彼女は足を止め振り返った。
『マサヤ』
彼女の幸せに満ちた声を聞き、彼も海へと走り出す。
しかし、彼がたどり着く前に、彼女は後ろへ倒れるように海に飲み込まれていく。