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船旅が気になる人に知ってほしい「ジャンボフェリー」の魅力

はじめに


船旅がブームになりつつあります。

フェリーに乗っていても、若い人の姿を多く見かけます。特に関西と北九州を結ぶ夜行フェリーの航路では、ナウなヤングの姿が目立ちます。

理由はいくつか考えられます。コスパの良さとか、移動中にくつろげることとか――けれども、お船大好きオタクとしては「移動しているだけで旅になる」という点を推したいです。

一般的には「海が見える駅」「海が見える温泉」など、海が見える景色が、映える景色と言われています。

じゃあ、船旅はどうでしょう?
ずっと海が見えますね!
つまり、移動しているだけでずーっと映えるというわけです。

朝の明石海峡大橋
日本海を突き抜けるフェリーもあります

でも、船旅デビューをするのに、いきなり夜行フェリーに乗るのって勇気がいるじゃないですか?
そこで、はじめてのフェリーにオススメな「ジャンボフェリー あおい」について紹介しようと思います。


まずはジャンボフェリーの景色を知ってほしい


ジャンボフェリーは、数ある航路の中でも変化に富んでいて、私が愛してやまない航路です。

たとえば、高松港を出港してすぐのシーン。右手に屋島を望みながら、島と島の間を通り抜けて行きます。遠くに赤いしましまなフェリーが見えたり、小豆島から高松港へと向かう大きなフェリーとのすれ違いもあります。飽きる暇すら与えてくれません。

他にも、雄大な播磨灘の海原や、海から眺める神戸の夜景など美しい景色はたくさんありますが、一番の見どころは、明石海峡大橋のくぐり抜け!
これは瀬戸内航路のハイライトと言ってもいいでしょう。
遠くに見える淡路島の影が大きくなってくると、いよいよ左手には本州の街並みが見えてきて、大きな吊り橋がぐんぐんと近づいてきます。

夕日に照らされた明石海峡大橋が、海の青と空の青の間にそびえ立っています。首をぐっと反らしながら、橋をくぐっていきましょう。船って遅いように見えて、実は時速30kmほどのスピードが出ています。くぐり抜けは意外と一瞬です。
そして振り返ると、今度は夕日が沈む明石海峡大橋が見えます。

私は年に何度も、色々なフェリーで橋を東へ西へとくぐっているのですが、何度くぐってもワクワクします。橋をくぐるたびに、いつも新しい発見があります。ぜひ、皆さんも騙されたと思ってくぐってください。
橋はくぐるもの――これは船旅の合言葉です。

ジャンボフェリーってどんな航路ですか?


ジャンボフェリーは神戸港から坂手港(小豆島東部)を経由して、高松港までを結ぶ航路です。

神戸から高松まで乗り通すと、4時間40分ほどになります。電車や高速道路よりは時間がかかりますが、徒歩乗船だと2,000円を切るコスパの良さがウリです。三宮駅からは神戸港まで、高松駅からは高松港までの連絡バスもあるので、徒歩乗船にも優しいわすね。
車を積んでもそこまで高くないので、移動しながら休憩するという使い方もオススメです。

途中、小豆島に寄港して、そこでの乗船・下船も可能です。関西方面から小豆島に向かう場合の最短経路がジャンボフェリーになります。小豆島観光ならジャンボフェリーが圧倒的オススメです。


はじめてのフェリーに「あおい」をオススメする3つの理由

そんなジャンボフェリーには、2隻のフェリーが使用されています。それぞれ、1990年から頑張っている「りつりん2」と、2022年9月に就航したばかりの新造船「あおい」です。
りつりん2はレトロな雰囲気で、昔に乗ったフェリーの空気感が味わえるお船オタクからすると大変ありがたいフェリーなのですが……はじめてのフェリーには、断然あおいがオススメです。

オシャレな内装! 映えるデザイン! 瀬戸内海に浮かぶテラスリゾートは伊達じゃない!

あおいは、めちゃくちゃオシャレなフェリーです。公共交通機関とは思えません。フェリーというと、カーペット敷の雑魚寝空間や、無機質な椅子がズラっと並んでいるというようなイメージがありませんか?

あおいは違います。この船は、瀬戸内海に浮かぶテラスリゾートです。室内は明るく、インテリアの細かいディテールにもこだわりが感じられます。たとえば、このスペースに座って写真を撮れば、いかにもインスタ映えしそうじゃありませんか?

プレミア席であるリクライニング席は落ち着いた雰囲気で、ゆったりとくつろぐのにオススメです。前方にあるキャプテンシートには、引退したこんぴら2で使われていた双眼鏡があり、上側には本物の航海計器があって遊び心も満載です。

プレミア席に乗れば、足湯もセットでついてきます。ゆっくりと流れる景色を眺めながら足湯に浸かれば、まるで旅の主人公になったかのような気分になります。展望浴場はタオルを用意しないと……と遠慮してしまいますが、足湯なら手軽に入れるのもポイントが高いですね。


外に出てみましょう。
デッキは白基調のデザインになっていて、まるで海に浮かぶ公園のよう。とても居心地が良い空間なので、せっかくプレミア席を買ったのに、ついつい外に出てしまうほどです。
フェリーって、外に出て伸びをしたり、軽く散歩をしたりできるわけなんですよ。もちろん、横になってぐっ
すり寝てしまっても大丈夫。旅行の移動ってどうしても疲れが溜まりがちなのですが、逆にリフレッシュができてしまうのが、船旅の良いところです。


うどんのメニューは日本一! 船なのに本気出しすぎのグルメが楽しめる!

フェリーの中には、船内のグルメに力を入れている船も少なくありません。
そんな中、ジャンボフェリーはうどんに本気を出しています。どれぐらい本気を出しているかというと、2023年4月19日に、こんな面白いプレスリリースが出ました。

瀬戸内海の名物となっている「船内うどん」につきまして、皆様に手軽に味わって頂けるよう、できる限り安価に抑えて参りました。しかしながら、相次ぐ原材料価格の高騰で、従来の価格の維持が困難となってきたことから、このたび、一部うどんの価格改定をさせて頂くことになりました。

このご時世だから仕方ないよね

なお、この価格改定にあわせて、うどん麺の「増量(230g → 250g)」を行い、うどん満足度の向上を目指して参ります。

ちょっと何言ってるかわからない

かやくうどん 現行390円 → 改定後390円
きつねうどん 現行490円 → 改定後490円

うどんが増えただけでは?

NEW!! オリーブ牛&レモンのキーマうどん(温・冷) 690円

メニューも増えるの!?


うどんメニューでの個人的イチオシは、新メニューであるオリーブ牛&レモンのキーマうどん(冷)です!
冷たいうどんと、キーマカレーのオイリーな味わいが融合して、めちゃくちゃ美味しいです。合間合間にレモンをかじると、甘みと酸味と苦味でリフレッシュされて、さらにうどんが進みます。オリーブの実もクセがなく、苦手な人でも食べられるんじゃないでしょうか。
神戸市内だと、トップクラスに美味しいうどん屋だと思います。

オリーブ牛&レモンのキーマうどん(冷) 690円

ところで、うどんに使われているレモンは、かつてはジャンボフェリーの社長が育てたものを使っていました。おそらく人気すぎて社長の家だと足りなくなったのでしょう、今は香川県三豊市仁尾町の「健康レモン」を使っています。
無農薬ですので、皮ごと食べれます。ほどよい苦味と酸味、そして甘みのバランスがめっちゃ良いです。

2023年のうどんポップ
2024年のうどんポップ
社長はどこへ……?
もはやうどん屋だ


「あおい」ではマジなジェラートも食べられます。

小豆島の草壁港の近くに、MINORI GELATOという島の中では有名なジェラートのお店があるのですが、そのジェラートを船の上で食べられます。さすがにフレーバーは6種類のみと、本店よりは少ないですが、潮風に当たりながら食べるジェラートは絶品です!
私のイチオシは、小豆島の醤油を使ったしょうゆクランブルです。甘じょっぱさが癖になります。ぜひご賞味あれ。

ジェラート ダブルで550円
上がしょうゆクランブル、下はレモンクリーム

ついに来たぞスターリンク! 瀬戸内海で途切れないインターネットが使えるのはジャンボフェリーだけ!

なんと、ジャンボフェリーでスターリンクが使える時代がやってきました!
これまでは電波が圏外になりがちだった播磨灘でも、スターリンクを経由した回線のWiーFiに繋がります。
意外にも、中長距離フェリーでスターリンク回線が使えるのは、全国的に見てもジャンボフェリーだけなんですね。(さんふらわあ さつまは試験運用をしているところ)
すごいぞ、ジャンボフェリー!

……と、お船オタクはこれで通じるのですが、フェリー初心者からすると、一体何を言っているんだと感じていることでしょう。ですので、順を追って説明します。

まず、フェリーの船内は、窓際以外は電波が入りにくいです。というのも、フェリーは全体的に鉄でできています。ですので、室内はそもそもスマホの電波が入りにくいのです。
そこで、船内Wi-Fiを用意しているフェリー会社も多いのですが、さらに別の問題が立ちはだかります。それは、陸から遠いと電波が届かない問題です。そもそも、船内Wi-Fiは陸上にある基地局の電波を中継しているだけなので、陸地から遠いところを航行していると、元となる基地局の電波が届きません。陸から近い場所を走るジャンボフェリーでも、播磨灘だけは圏外になることが多いのです。

播磨灘は意外と陸地から距離がある

ところが、スターリンクは衛星回線を使うので、天気さえ良ければどこでもインターネットに繋がります。実際、能登半島地震でも被災地の通信手段として使われていました。
そういうことで、ジャンボフェリーではインターネットに繋がらない問題が発生しないわけなんですね。旅先の地図を確認しようと思ったら圏外、というのは思っている以上にやきもきするものです。そんな心配がないのも、ジャンボフェリーをオススメしたいポイントです。
ちなみに、スターリンクを導入するにあたって、ジャンボフェリーでは色々と苦労があったそうです。(と公式が言っていました)


私が愛してやまない、ジャンボフェリー高松発第3便のここすきポイント

14:00 出港直後に流れるあの歌

風が恋を運ぶ 海を遠く渡り
二人を結ぶ ジャンボフェリー
風の中感じる あなたの声感じる
届けてよ ジャンボフェリー

ジャンボフェリーの歌

ジャンボフェリーは、出港するとすぐにテーマ曲(?)である、この曲が流れます。この曲を聞くとジャンボフェリーだなって旅情が出てくるし、この曲を聞かないとジャンボフェリーの船旅が始まりません。
好きすぎるので歌えるようになりました。Spotifyで配信してくれたら聴きまくります。ジャンボフェリーさん、はよ。

14:10〜14:20 島の空気を吸いながら進む時間

あおいは、左手には鬼ヶ島のモデルともいわれる女木島を、右手には源平合戦で知られる屋島を望みながら、島と島の間を器用にすり抜けていきます。出港直後、あおいは、女木島・男木島に向かうフェリー「めおん」を追い越していきます。しばらくすると、今度は小豆島から高松へ向かうフェリー「第十一こくさい丸」とすれ違います。ほかにも、高速船や漁船など、様々な船が見られます。島も船も多く、景色が賑やかで好きなんですよね。

雌雄島海運「めおん」
国際両備フェリー「第十一こくさい丸」

また、高松〜坂手港の区間は、旅客が比較的少ないので、のんびりと足湯を堪能したり、ふねぴっぴでうどんをすすったりするのにピッタリな時間です。足湯は進行方向左舷側にありますので、瀬戸内の島々の景色を堪能できます。

15:10~15:30 坂手港到着前&出港後に流れるあの歌

そばで青い海はどんな時も優しく大らかで
淡い日差しの中
僕は願いを風に向かって叫ぶよ
瀬戸内の声 届けよ

STU48「瀬戸内の声」

歌の1番が流れる→歌をBGMに入港のアナウンスが流れる→エレキギターのグリッサンドからのサビがもう一度流れるという流れ、ジャンボフェリーは歌に全力を出しすぎなんよな。でも、そういうところが好き。
(何を言っているのか、乗ればすべてが分かります)

17:20~17:45 明石海峡大橋はくぐるもの

高松→神戸上り2便は、17時40分前後に明石海峡大橋をくぐります。20分前ぐらいにデッキに出ると、遠くに明石海峡大橋が見えます。あまり長くデッキにいると潮風で髪がベタベタになるので、これぐらいがちょうどいい時間じゃないかと思います。
瀬戸内航路では、ここが最後のハイライトとなります。カメラに夢中になるのもいいですが、下から橋を眺めて、その大きさに圧倒されるのも良いんじゃないかと思います。


17:50~ 夜行フェリーとのすれ違い、そして神戸へ

この時間になると、瀬戸内海を西に向かう、夜行フェリーとのすれ違いが見られます。この船に乗る人達は、明日九州でどんな旅をするんだろう……などと思いを馳せながら、夕焼けに消える夜行フェリーを眺める、そんな時間がとても好きです。
また、遠くには太平洋から南九州に向かうフェリーが見られたり、空には関西国際空港や神戸空港に向かう飛行機も見られます。到着直前の、夕焼けに包まれたセンチメンタルな気持ちになる時間帯ですが、実は海も空も賑やかな時間帯でもあるのです。

冷静に書くとこんな感じ。
実際の私はこんな感じ。

「名門大洋フェリー!また乗りたいなあ」
「Marine Traffic(船舶の位置情報アプリ)を立ち上げて、今日のフェリーを確認するぞ〜」
「阪九フェリーのふ〜ねこっ♪」
「あれ、さんふらわあの志布志行きじゃね? 遠いけどギリギリ撮れそう」
「さんふらわあは、船内で見れる位置情報のやつを一般的なやつにしろ」
「この時間はみんな客室に戻るから写真撮り放題で楽しいわ」
「そうか、日曜日は平日ダイヤか!宮崎カーフェリー見れるやん! チキン南蛮食べたい!」

うるさい
大阪南港→新門司港 名門大洋フェリー1便「おおさかⅡ」
泉大津港→新門司港 阪九フェリー「ひびき」
大阪南港→志布志港 商船三井さんふらわあ「きりしま」
神戸港→宮崎港 宮崎カーフェリー「ろっこう」
夕焼けに照らされる「空のテラス」
神戸港に着岸します

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