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アザラー、北へ行く 〜第1回 北といえば北関東〜



そもそも「アザラー」とは?

アザラーというのは、アザラシを愛してやまない人のことである。初出がどこなのかは分からないが、2016年にはおたる水族館のブログの中で、「アザラシを愛してやまない『アザラー』」というフレーズが確認できている。

アザラシのどこを愛しているのか、と言われると大変だ。原稿用紙が100枚あっても足りないかもしれない。
簡潔に言ってしまえば「顔の表情が豊かで見ていて飽きない」「平和そうな顔をしている」「胴長短足なフォルムが抱きしめたくなる」「目がクリっとしていてキュート」「おヒゲが立派」「優雅に泳いでいる」「陸地ではイモムシみたいに動いていて助けてあげたくなる」「柔らかすぎず硬すぎずな触り心地」「乾くとふわふわ」「寝顔が可愛い」「あくびも可愛い」といったところだろうか。これでもほんの一部だが。

そんなアザラシは、全国の水族館で見られる中で、北海道はゴマフアザラシの生息域に近いこともあってか飼育数が多い。しかも、雪の中を泳ぐアザラシや、大きな水槽を縦横無尽に泳ぐアザラシなど、内地ではなかなか見られないような姿を見ることができる。

私は北海道が好きだ。アザラシも好きだ。
そして、北海道にはたくさんアザラシがいる。
こうして、旅程が決まった。

これがアザラシ
これはアシカ
これはトド
この子はセイウチ
これがアザラシなのだ



プロローグ 朝7時の神戸空港

水曜日の朝7時だというのに、神戸空港は人でごった返していた。有給休暇取り放題の私や、スーツに身を包んでいるビジネスマンはともかく、平日に大きなスーツケースを持って遊びに行くとか、君たち仕事は大丈夫なのかと心配になる。

今回の最終目的地は、北海道のおたる水族館。
昨年の9月に訪問して以来、およそ5ヶ月ぶりという短期間での再訪。というのも、おたる水族館は夏営業と冬営業という2パターンがあって、冬営業期間中はアザラシが「凍るど!プール」というマジで凍るプールに移されるらしい。プールが凍ってたら絶対に可愛いし、凍ってなくても雪とアザラシの組み合わせは最高だ。
さらに、冬はペンギンが雪の上をお散歩するという、ペンギン好きにはたまらないイベントが開催されているらしい。
そのためだけに北海道に行くのか? と聞かれると返す言葉が出てこない。でも、可愛いのだから仕方がないよね。

手荷物を預けるために並んでいると、周りの人からは、「沖縄は暑いですかね」とか「札幌の雪は大丈夫かな」とか「ライブ楽しみだね」といった声が聞こえてくる。みなさん、那覇や新千歳、羽田空港に向かうらしい。
私だって、最終目的地は北海道だ。


朝9時、茨城空港に到着。
茨城空港の天気は雨。この日は最後まで雨だった。

繰り返すようだが、今回の最終目的地は北海道小樽市のおたる水族館である。けれども、北海道に行く前に寄り道をしておきたい場所があったのだ。



初めての水族館! アクアワールド茨城県大洗水族館!

何を隠そう、私はアザラーである前に水族館オタクである。長崎まで車で自走して、長崎ペンギン水族館→下関市立しものせき水族館海響館→島根県立しまね海洋館アクアスと、3泊4日で水族館の「はしご」をしたこともある。そういうタイプのオタクだ。
しかも、聞くところによると、この水族館のアシカショーはすごいらしい。だから、ぜひとも訪問してみたかったのだ。

アクアワールド茨城県大洗水族館

水族館に到着すると、ちょうど「ゴマフアザラシのもぐもぐタイム」が始まるところだった。アザラシさんの水槽は少し距離があって、もっと近くで見たい気持ちはあるけれど、そこは心の眼と、カメラのレンズに頑張ってもらうことにする。

一生懸命ごはんをあげながら解説もこなす飼育員さんと、黙々と魚を食べるアザラシ。この構図がたまらなく良い。
ごはんの時間には、色々な芸を見せてくれることもあるが、大洗のアザラシさんは、黙々と魚を食べて続けているように見える。おそらく、一般のお客さんにはそう見えているに違いない。

アザラーに語らせると、そうは見えていない。ごはんをあげているだけのように見えて、途中では吻タッチ(飼育員さんの手のひらに、吻=鼻先をタッチすること)をしていたり、アザラシさん同士も吻タッチ(アザラシさんは鼻と鼻をあわせて挨拶をするという)をしているし、バイバイのポーズ(前肢を振る)だってしている。こういったハズバンダリートレーニングを通じて、アザラシさんの体調を確認しているのだ。
あと、アザラー的には、もぐもぐタイム中にアザラシさんがヨダレを垂らしているのも好き。ごはん、美味しいもんね。

これが吻タッチ

続いて「イルカ・アシカオーシャンライブ」を鑑賞する。
室内に巨大な水槽と広いステージ。こんな広い場所でアシカ2頭ってどうなんだろう……という心配は杞憂だった。
アシカ2頭とトレーナーさん2人が縦横無尽にステージを駆け回り、迫力いっぱい笑いいっぱいのステージを見せてくれました。さらには、イルカの背中にアシカが乗ってプールを一周するという、イルカとアシカの信頼関係なしにはできない演目まであった。一緒に頑張っていてすごーい!

ひと通り見て回って、最後に見るのはもちろん、「ゴマフアザラシのもぐもぐタイム」である。アザラシはなんぼあってもええですからね。
別の飼育員さんも頑張って解説をするが、アザラシさんは黙々とお魚を食べるだけ。でも、アザラシが幸せならオッケーです。




人間の「もぐもぐタイム」の話 意外といいぞ茨城県

今回の茨城探訪では、もともとは電車とレンタサイクルを使う予定であった。しかし、天気があまりにも悪かったので、急遽レンタカーに課金して散策することにしたのだった。

予定外の移動手段変更により、遠くまで行けることになった。そこで気になってきたのが、大洗町から那珂川を渡ったところにある「那珂湊」という街だ。ここには、那珂湊おさかな市場という食のスポットがあるらしい。
着いてみると、雨の降る平日午前11時半頃だというのに、驚くほどの人でごった返していた。みんな、今日は仕事じゃないんか?

ここの2階に寿司屋がある

明日は北海道で回転寿司を食べる予定なのだが、私はここでも回転寿司を食べることにした。北海道と茨城で比較をしてやろうという、ちょっと意地悪をしたくなったのだ。

美食の宝庫である北海道と、北関東三兄弟の茨城県では、いささか分が悪いのではないか。なにせ、ここは北関東である。地味だし、あまり見どころもない。寿司だって、たぶん普通だ。
などと思いつつ、ひと皿目は「光り物3種盛り」を手にした。奥からイワシ、カツオ、スズキが並んでいる。

美味しい。めちゃくちゃ美味しい。ネタが大きいし、味も濃い。鮮度もバツグンだ。口に入れた瞬間に笑みがこぼれる。
一体どうなっているんだ。こういう三種盛りって観光客向けで、ひとつぐらいは微妙なものが入っていてもおかしくないのに、これは全員がスターのように光り輝いている。なにこれ美味しい。

イカを食べる。これも美味しい。
コリコリしていて旨味がぎゅっと詰まっている。なにこれ美味しい。

マグロのええとこ。めっちゃええ味がします。
口の中でとろけるような味わい。なにこれ美味しい。
他にも白身魚3種盛りだとか色々と7皿食べて2,070円。価格も良心的だ。

7皿を食べたが、どれも絶品であった。茨城県、実はめちゃくちゃいいのかもしれない。北関東は地味だとか見どころがないとか言った人、頭を下げて那珂湊に向かって土下座をしたほうがいい。すいませんでした。



アザラー、今度こそ北へ行く

大洗港フェリーターミナル

アザラー、ようやく北に行きます。
移動手段は、例によってフェリー。だから大洗に寄り道する必要があったんですね。移動中の様子は、こちらの記事からご確認ください。
次回、北の大地でお会いしましょう。


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