リアルテテ

次いつその姿を見られるか分からない…
忘れないと思っていた。
でも、男らしく成長していくテテを見ていると、時の流れを感じずにはいられない。

最後に見た日から約2年、テテがまとう空気はだんだんと現実味を帯びてきた。

忘れたくない、奇跡的に一度だけライブで見ることが出来たその姿を、自分のために書き留めておかなければ後悔する。




絵本の中の優しい少年。

ナチュラルな透明感。

ガラス張りのアンティーク調の部屋を形取ったセット。その扉がゆっくりと開き、本物のキムテヒョンが姿を現す。

重力を無視しているかのように、ゆっくりふわりと大きく足を運び、雲の上から降りてきたような美しさと不思議さ、その肩からは、さらさらと星屑たちが流れ落ちるように光って見える。その小さな光の粒に無頓着に前に進む頭蓋骨の形は、見た事がない程に美しい。
柔らかく丸みを帯びた優しい頬の輪郭からは、遠目でも分かるくらいの高い鼻が綺麗な三角形を作り、テテの体が創り出すラインは夜空に浮かぶ星座のようだった。

あまりに綺麗で信じられなかった。

大きな背中、粘土をつまんで作ったような細い腰、そこからまっすぐと伸びた長い足は優雅で、空気の間にそっとつま先を入れながら歩いていた。


2019年11月の千葉マリンスタジアム『Magic Shop』。


背中と肩と身長だけ頑丈な男で、あとは儚い少年。

艶やかに光るカールがかった黒い髪には、したたるほどの甘い蜜が宿っていた。



日が暮れ、あおみがかっていく夜空に、より一層あやしい輝きを増していくテテは、私がそれまで動画や画像で見ていたのとは別の空間の住人だった。この世界には神からギフトが贈られた人がいるが、テテも、その黒い瞳の中には人々とは違うものが映っているような気がした。人とは別の何かを見ていて、テテだけの世界で生きていた。
彼は何を見て、何を思っているのだろう。その瞳の先には何があるのだろう。その瞳でこの世界を生きるのは大変なことなのではないだろうか。
そんな風に心配になるほどの儚さとミステリアスさが美しかった。

テテが歩くところ、触れる空気の異世界感、オーラがゆっくりキラキラしていて、テテの周りだけ時計の針がゆっくりと流れている。
周りの空気の束を美しい指でからめ、ダンスをした途端にテテと一緒にその空気や星たちも動くから、それごと大きく視界が揺らぎ、体が2倍くらいに巨大に見えた。とても迫力があった。これを「オーラ」と呼ぶのだろう。
なかでもLet Goは雄々しく怖いくらいで、テテの体が壊れてしまうんじゃないかとドキドキした。
その時に、「あぁ、テテは男なんだな」と実感した。

きっと見ているもの、感じていること、感覚が、周りの人が想像出来ないテテだけの世界の中にあって、彼はそこを基準にものごとを考えているのではないか。それくらい、テテがまとう空気は私が今まで生きてきた中で知り得た空気とは別の何かだった。そしてそれは、間違いなく美しい世界だった。


最近の素敵な男性に成長したテテに惚れ惚れしながらも、コロナ禍で会えなくなる前の妖艶で壊れそうに儚い妖精のようなテテも懐かしく思い、ずっと忘れないためにつづりました。


           (Grand Merci à soonshim3)

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