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ちいさな商店街と「実態調査」

ECだけでお店が無いのに商店街理事、くまさんです。
零細・中小・ベンチャーなどなど支援して下さる中小企業庁(補助制度もたくさんあるから覗いてみましょう)が、3年に1度行っている「商店街実態調査」と言うものがあります。

これの発表は平成31年4月。前回は平成27年度。その前回比較の増減傾向から、小さな商店街として今後どうするべきか、推論・思索・帰結してきますね。なるべくフザケないように。

1. 店舗数は減少

1. イチ商店街あたりの店舗数は減少
 (前回調査54.3店→今回調査50.7店)

この、前回調査54.3店舗が、丁度私たちの三宮本通商店街に当て嵌まるのでイメージしやすいです。さてさてでは、高校生時代にのび太よろしく数学でゼロ点を叩き出した戦績を持つ私が計算しますね。(もうフザケた)

▼3年で-3.6店舗なので、
▼減少率 = -2.226%/年として、
▼5年後に43.2店舗、
▼10年後に38.54店舗…

一説には組合費の徴収率が70%を割ると維持が困難と言われているので、丁度10年後にご臨終予測ではありますが、それがもし加速度的・指数関数的に減少するとしたらもっと早く…そんな事も無くもないかも知れませんが、「新たな補助制度」「ほぼチェーン店化・ショッピングモール化」などの制度変化や概念変化が生じます。しかし前者は、時々の経済環境に対し適切(と行政が思う)な補助が行われ、それを上手く使えた商店街が発展をし、下手に使ってしまった・そもそも使えない商店街が衰退、最悪の場合は組合破綻します。後者のショッピングモール化は、もはや(現代の意味合いとしての)商店街とは言えません。10年後のスタンダードかも知れませんが。

これからの10年で商店街がどう生き残るのか、はたまたその意味を根本的に変えるのか…時代に抗う生き残り視点の施策よりも、先駆者を目指すオンリーワン・イノベーティブ施策の方が今日的だとは思いますが、10年後の結果は何が正しい選択と成るかは私には分かりません。なんせのび太ですから。「ドラえもぉ~ん、自分が書いた試算通りの決算になる財務系の道具出してよぉ~!」(フザケすぎ)

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2. チェーン店は増加

2. イチ商店街あたりのチェーン店舗数は増加
 (前回調査4.1店→今回調査5.7店)

チェーン店が増加傾向にあるのに店舗総数が減少という事は、相乗的に個人商店が減少している事を意味し、非常に厳しい状況にはありますが、今や「ただ物を売るだけ」では実店舗でもWEBでも商売の継続は不可能で、自店舗のブランディング・生涯顧客化等を考慮しない個人商店さんは消滅します。

そして市場を商店街だけに捉えない視点、つはりは都心・郊外・地方・海外・百貨店・モール・アウトレットモール・SNS・EC・越境EC・ライブコマース…「物を売っている場所は全て他人事では無い」ぐらいの気概が必要です。…となると、組合としても優良店舗が他へ行かない様に店舗の囲い込みや集客力強化をより意識し、振興組合はこの数値を深刻に憂慮すべきです。…って、(ΦωΦ)ニャア←この子が言ってました。


3. 業種別の比率

3. 商店街の業種別店舗数は、飲食店(32.2%)が最も多い(次いで衣料品・身の回り品店等(20.1%)、最寄品小売店(15.8%)等)

飲食店が断トツなのは分かる。イニシャルコストが低く、反面激しい淘汰で閉店率も高いので居抜き物件も多い。独自性を打ち出しレビューサイトでの高得点維持やリピーター育成に成功すれば長期経営も可能。そして次に…ん? 身の回り品? 最寄品? ってナニ? 物知らずな者の為にインターネッがあって良かったぁ~。

>「身の回り品とは、ハンドバッグ、ショルダーバッグなど小型の荷物を指します。 ノートパソコンやカメラバッグなども。」へぇなるほど。次点なのもなるほど。

>「最寄品とは、消費者が、特別な努力を払わずに頻繁に購入する製品。 例えば、タバコ、洗剤、雑誌など。 」"努力を払わずに"とは随分な言い様。

今後はファミレスのチョイ飲み屋化や、コンビニのお一人様商品の強化、Uber Eatsや出前館の様なフードデリバリー等が活況となり、飲食店にとっても苦境の連続ですが、立ち呑み屋さんでの旺盛さ・初対面同士での繋がりを見ていると、レジレス化やロボティクスの反動でカウンターカルチャー的に暫くは「縁」が持て囃されるんでしょうね。「縁-en-」好きな日本語の一つですが、「縁」って実は仏教用語で、固定的実体を認めない仏教において、因果関係の「因」を助成する間接的原因の事で………あ、「縁」がゲシュタルト崩壊起こしてきた………。

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4. 空き店舗率は増加

4. 商店街の平均空き店舗率は増加
 (前回調査13.17%→今回調査13.77%)

見ていると(様々ご事情あるかとは思いますが)空きのまま遊ばせておくデメリットを余り熟慮していない、家主さんが多い様に見受けられます。根拠としては、お店や事務所に使えそうな物件も只の倉庫と化している場合が多く、「他にも物件あるし、費用と時間掛けてまで綺麗にするのは面倒臭い」が本音だと思っています。

しばしばコミュニティ広場にしているローカル商店街も見掛けますが、実働し実益発生している所は極僅かでしょう。しかも集客力のある一階でなんて実に勿体無い。もう取り返しがつかない程のシャッター商店街では無いのなら、空きテナントは基本的に店舗で埋めてこそ商店街です。

…と言いつつ、三宮本通商店街の2階空き倉庫で多目的ラウンジを始めます。(令和2年2~3月予定)それは店舗も行政も企業も起業家も交えた、地域経済の波及効果を目的とする実益重視の共用空間です。しかし理想。*言うは易し。やるは難し。横山やすし。かつて吉本興業に所属していた漫才師。163cm。「やっさん」と呼ばれし、西川きよしとのコンビ漫才は熱狂的人気を博し、「やすきよ」として20世紀を代表する天才漫才師ィ……(*この区間ダミ声RAP)何の話してましたっけ?


5. 空き店舗、増えるってよ

5. 空き店舗の今後の見通しは、増加すると回答した商店街(53.7%)が最も多い。

危険。超危険。悲観の集団心理が働き、商店街全体を覆いますぞ!(ハチマキして頭部左右に蝋燭を立てたイタコ老婆のコスプレで) おぉ、そう回答した商店街の未来、げに恐ろしや、恐ろしやぁ…! チェーン店 or シャッター!

良くないですよ、ホント。悪しき言霊を燃料とするネガティブロケットエンジンが、空き店舗増加をフルスロットルで加速させますよ。と言いますか、その回答自体が真剣に空きを埋めようとしていない証拠かと。値下げなり計画的・特区的な誘致をするなり本気で埋めるべきです。

例えば、同業種店舗が総店舗数の10%もあればそこは「ほにゃららストリート」と呼ばれるんですから。例えば神戸牛ストリートなんてあったら、匂いと話題を振り撒くだけで人、特に外国人は集まりますから。(観光地化の弊害はさておき)神戸市さんには是非、牛肉特区(神戸牛非課税)を作って頂きたいモォ。組合内の談合で保証金・家賃軽減とかね。手段も方向性も幾らでもあるモォ。

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6. 専従事務職員ゼロ、7割

6. 商店街組織の専従事務職員(パート、アルバイト含む)は0名の商店街が74.8%。

幸い、三宮本通商店街では一人を雇用させて貰えるだけの理解と財源があります。それも極最近の事で、それまでは理事長が文書の配布や情報共有等を行い、事務所も無く自分の物件を使ってくれていました。まるで人柱の様なこの状況は打破すべきで、善意に頼り切りの組合はいずれ、人柱を誰もが拒み絶滅します。

現状は、それぞれの地域に"運良く出没した優良人材の善意"に頼り、何とか運営されている事が(基本形かと思われる程に)多々見られます。ですが、それは仕組みでは無いので「収益性のある事業を行い、活動対価として功労者に分配される状態」が正しいと思います。仕組みが作られていないと継承が出来ず、ノウハウや文脈も途切れてしまいます。実は殆どの商店街が任意団体で、振興組合はたったの2割程度なのは、奇跡的に出没したスター人材に甘え、組織としてのモデル形成を怠った結果なのでは無いでしょうか。


7. 商店街格差、進行中

7. 商店街の最近の景況は、「繁栄している(繁栄の兆しがある含む)」が増加(前回調査5.3%→今回調査5.9%)、「衰退している(衰退の恐れがある含む)」が増加(前回調査66.9%→今回調査67.7%、「まあまあである(横ばいである)」が減少(前回調査24.7%→今回調査23.5%)。

まず、この三つ(繁栄 ⇒ 増・衰退 ⇒ 増・まあまあ ⇒ 減)を見て誰もが思うのが「The 格差」でしょう。「政令指定都市・特別区(人口20~50万人以上)」と「以下その他」がより明暗を分け、衰退に怯える商店街が7割近くを占めているこの状況の解決策は、有体で恐縮ですが財源の再分配と適切な指導です。

再分配だけを行うと、1980年代末期に国から地方へ振る舞われた"1億円の無駄遣い" 再び、プレミアム商品券再びでしょう。当時、課題解決視点や先進的視点で有効活用出来た地方はほぼ無かったと思います。

現代でも地方が抱える課題はそれぞれで異なり他所でのセオリーが転用し難いので、もしも再分配されても専門の指導員が必要となりますが、課題抽出から必要な人材やソリューション等の選択と実践を根気良く行い、結果を出せる優秀な人材はほぼ居ないでしょう。そんなスーパー指導員を量産出来る程にガチ難易度仕様のシム商店街が、いつかシムシティシリーズからローンチされます様に🙏 いや、やはり基本は自分たちで知恵を絞り体を張らないとですね。


8. お客さん、増えてる♪

8. 商店街への来街者数は、3年前と比べて、減った商店街は減少(前回調査56.6%→今回調査55.1%)、増えた商店街は増加(前回調査11.2%→今回調査11.8%)

これは喜ばしい結果ですが、要因が何かにも寄ります。来街者数が増えた商店街の要因として、3年前より訪日外国人が1,000万人以上増加している事や、集客力の高いチェーン店、特にドラッグストアの増加等が主な要因かなと思いますが、それらが頭打ちした時の持続可能性を考慮した戦略が必要になります。

どういう事かと言いますと、例えば①インバウンドに寄り過ぎて高単価になり、従来顧客を遠ざけた後に訪日客激減。例えば②乱立チェーン店がほぼレジレス化となり雇用激減・独自性も皆無。例えば③ECの当日配送が当たり前になり在庫商売は売上激減…等々、起こり得る極近未来への対策・今だけを考えない冷静な判断が必要になります。冷製なパスタが執拗に絡みつく夢を見た事があります。


9. 外国人、来てます?

9. 外国人観光客数は、3年前と比べて、変わらない商店街が最も多い(57.5%)が、増えた商店街も一定数存在(21.3%)。減った商店街は1.4%。

やはりインバウンド増加率との解離があり、観光地型商店街または観光地近隣の商店街以外は無縁状態でしょうが、これからはどの地域にも関係性が有ります。いや、無いんだけど関係性を創りましょう。嫌がるお店が居たとしても、外国人は絶対に来た方が良い

人口減少推移が政府予測通りなら、殆どの地域で近隣住民は2〜3割は減少し、より小さくなってゆくパイの奪い合いです。逆に観光庁は2030年までに6,000万人の訪日を見込んでいるので、現在のゴールデンルート以外の開拓も更に進めます。日本全国津々浦々が訪日外国人誘致の対象になるのです。


10. インバウンド対策、8.7%

10. 外国人観光客の受け入れについて、取り組んでいない商店街が多い(行っていない商店街は77.6%。行っている商店街は8.7%)。

インバウンド増加は、外国人のマナーの悪さや治安悪化など「良し悪し」とも言われますが、それは最初の内だけ。仮に訪日6,000万人がピークアウトだとしても、"外国人が闊歩する風景"は多くの街で当たり前になり、良し悪し発言など過去の事となるでしょう。1㍉でも集客可能性がある商店街は、将来ジリ貧になる前に今すぐ検討すべきです。可能性が完全に0㍉の地域はECで稼ぎを増しましょう。

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11. 抱える問題ランキング

11. 商店街が抱える問題は、経営者の高齢化による後継者問題が最も多い(64.5%)(次いで店舗等の老朽化(38.6%)、集客力が高い・話題性のある店舗・業種が少ない又は無い(36.9%)等)。前回調査に比べ、店舗等の老朽化が回答割合上位3位から2位に上昇。

どの問題も急に訪れる天変地異の様な物では無く、完全に予測可能な問題ばかりです。なのに多くの方が抱えている状況なのは、「打つ手無し」と思い込んでいるからです。この腰の重い問題を打破させるのも、組合が担うべきだと思います。後継者問題に関しては、例えば適切なアドバイスを行える会計士の無料セミナーおよびケアを行っても良いし、地方銀行・信用金庫等にマイクロM&Aの手助けをして貰うのも良いでしょう。受託側も顧客獲得に繋がりますし、後継者不足による空きテナントにもならず一石二鳥です。

老朽化に関しても、例えば地域の工務店に依頼し、補修望む望まざる・老朽軽度重度に関係なく一度全店舗・全テナントビルを調査し、一斉に依頼する事で可能になるディスカウントプライスを提示して超煽れば(悪どい言い方だなぁ)、今だけ限定プライスに惹かれる店主さんも現れるでしょう。

打つ手、ぜんぶ打とう

沢山勝手を申しましたが、結局言いたい事は一つだけ。状況は悪化しているかも知れませんが、打つ手無しなんて事は無いんです。閉塞感に悩む組合さんも、孤軍奮闘されている方々も、考えることを諦めないで欲しいと願っています。

絵 と 文 と 写真:くまさん

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