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ちいさな商店街の「理事会」+自己紹介

実店舗が無いのに商店街理事、
本業はオリジナルのレディースブランドをネットのみで販売する会社の経営者。今風に言うと、D2C寄りのECです。
そんな、商店街的には外の人なのに中の人をやっているくまさんです。

1. 中の人(理事)になったワケ

しばしば、「お店が無いのになぜ商店街理事をやってるの?」と問われるので、今更ながら自己紹介がてら私が商店街ポケモン(タイプ:理事)となった経緯を書き記します。

それはかれこれ4年前。
会社を引っ越した先のビルが、たまたま商店街に面していると言うだけで大家さん(理事長)に「組合費」を徴収される羽目となり、「そのお金が何に使われているか?」が気になったのがそもそもの運のツキ。

加盟店舗数から試算した徴収総額に対して支出が余りに少なく感じ、使途不明金を疑い首を突っ込んでるウチに内情に詳しくなり、実は「ほぼ貯金してたダケ」と言うオチに呆れ、「じゃあ俺が!使って増やして商店街変えてやんよ!」と、今思い返しても恥ずかしい思い上がりで助成金申請し無事採択 ⇒ 理事に選任。そしてまちづくり道へと道を踏み外し、ボブ・ディランよろしく転がる石の様に転がってきました。

あ、今にして思えば大家さんからの事前告知が無かったのだから、組合費支払いの拒否権があったのでは…Acchonblique!😱

2. 平均69.5歳 vs 青二才

そんな、ほぼ怒りが原点である事に加え、「そもそもWEB屋なんだから、商店街が野と成ろうが山と成ろうが構わん!」と言う、のっけから嫌われる勇気で理事会に参加したものですから、「(社会的に)それは違う!」と思えば変えるべしと意見し、「(社会的に)良かれ!」と思えば突き進み、初めの2年は古残理事方々から多くのお叱りを頂戴してしまいました。なんせ当時の理事会は、只の報告および過去の思い出話しかしていなかったのですから…。

因みに当時の理事平均年齢は69.5歳と「人生の先輩」ばかりで、ポッと出の新人、しかも路面店さえ無い青二才に意見されたのではお怒りもごもっとも。今でこそリスペクトがあるものの、当初は「一体何なんだ? この思考停止の分からず屋たちは!?」と、怒りに怒りをぶつけておりました…これまたAcchonblique!😱

3. 浴びた「罵詈雑言」で打線組んでみた

その間に浴びてきた罵詈雑言はどれも思い出深く、目を閉じれば当時の感情(主に怒気や鬱憤や殺意)が仄かに香りますが、全て笑い話と捉えられる様になった今こそ、メモや記憶を頼りに打線を組んでみようと思います。(ウグイス嬢声で)「それでは~三宮本通商店街理事会罵詈雑言甲子園大会2016-2018抜粋~選手の紹介を致します~」

①(中)「こんなもん、私は別に新しい事だとは思わない」

補助金制度の締め切りが二週間後と知り、慌ててパワポを覚える所から始めて何とか計画書を作り上げ、生まれて初めてのプレゼンの為に徹夜でジョブズ本読んでYouTube観て挑み、見事採択を頂いた直後に浴びた有難いお言葉。(理事会の洗礼度:72点)

(二)「君はいつも、事後報告や」

企画は事前に何度も(たまにギリ直前で)お伝えしてから始めますが、基本的にお耳には届いていないので、毎度このような台詞を頂戴致します。いっとき余りに頂戴し過ぎて、自分のフルネームが実は「事後 報告」では無いのか? と混乱してたとかしてなかったとか。(島耕作度:77点)

(遊)「まったく興味が無いから知らん!」

簡潔ながらも実に多くの成分を含み、全てのシチュエーションで有効な打撃を与えられる強打者。まったくと言う事は興味ゼロ%。周囲を爆破する意味に置いて、彼こそがグラウンド・ゼロなのである。(キョトン度:95点)

(左)「あんなもん恥晒しや!僕の周り皆言うとる!」

まるでラノベのタイトルの様(略すとすれば「はじぼく!」)ですが、初めての街イベントを行った際に浴びたお言葉なので、アニメ化も舞台化もありません。生まれて初めて頂いた「恥晒し」と言うパワーワードに加え、小学生ばりの追い打ちがたまらない、珠玉のお言葉。(逆襲を誓った度:100点)

(一)「パソコンやる奴は、簡単にやりよんねやろ?」

瞬時に相手のアドレナリンを全開にさせる強打者で、4番候補だったのですが、PC作業者への単一指向性攻撃だったのと、やはり「恥晒し」の破壊力には勝てず5番打者に。(個人的殺意度:90点)

(三)「初めて聞いたのに、協力なんか出来るかいな!」

月イチ理事会の度にお話をさせて頂き、2年の歳月を掛け実現させた感涙の企画に対し、僅かなご協力を得ようとした際に浴びたカウンターパンチ。つまり24回お話しても足りなかったのである。(内輪ズッコケ度:88点)

(捕)「売り言葉に買い言葉やろ!」

この台詞を下さった理事に向かって話してはおらず、他の方との対話中に横から頂いたお言葉。いつの間にか私が言葉の販売員で、いつの間にかご購入賜っていた形が味わい深い名言。(不思議ちゃん度:88点)

(右)「どうせ失敗するから、そんな大きい事言わん方がええねん」

目標を立てて行動すると、イチローばりの高打率で頂けるお言葉。彼の人生は、失敗体験が成功体験を遥かに凌駕してきたのかも知れない。神よ、どうか彼に成功体験を。(アルジャーノンに花束度:83点)

(投)「ようは面倒やっちゅーこっちゃ」

そう、罵詈雑言を下さる方は、カラんでおいて9回裏で試合を放り投げると言う荒技を繰り出す。そう、ウチは面倒なんだっちゃ。(ラムちゃん度:78点)

補欠:「私は良いデザインとは思わない、これはデザインが悪い!」「全部半額にしたらええ!」「君らが頑張れる様に、私がやってやった」「こんなんやるって言ってた? あ、そう? かなわんなー」「わしらがまず面接せなアカンやろ」「もう、辞めさせてくれや~」…どれも代打の切り札として間違いないメンツである。しかしホント、嫌な事ほど脳裏に定着しやすいですよね!😉

4. 排他の源泉は「生い立ち」と「本能」

記憶に残っているだけでこれだけの罵詈雑言を頂いたので、細かなものを含めればこの数倍は頂戴していたかと思いますが、そこまで私を否定し殲滅せんとするお気持ちの源泉は大きく2つと推察しました。

ひとつは、やはりこの商店街を作り上げてきたと言う自負。神戸市場の戦後復興の起点となった2㌔もの闇市に始まり、三宮自由市場へと名を変え、闇市取り締まり後に経済は徐々に南へと移り、現在の繁華街を形成してきました。(誤認識してたらご指摘下さい)

その戦後復興を支えてきた両親や祖父母の背を見て育ち、自分たちもまた阪神淡路大震災と言う大きな障害を乗り越え、幼少から共に過ごしてきた仲間達や、商売仲間達と再興に命を張ってきた。その生い立ちに思いを馳せると、頂いた罵詈雑言に反射的怒りを覚えたとしても、私という異物混入に対する拒絶反応もやむなし。数秒後には「まぁ仕方ないよね」で済みます。

もうひとつは、本能とも言える脳内物質の仕業。「幸せホルモン」として有名な、人同士の繋がりに作用する向社会性を持つオキシトシンさん。仲間や組織を大切にする気持ちの要因なのですが、逆に排他的言動の要因にも成り、新たに入ってきた者を攻撃したり、仲間の邪魔をする者を排除したい気持ちを高めるという、イジメの切っ掛けにも成り得る脳内物質です。

オキシトシン分泌をトリガーとしたアドレナリン全開の状態に思いを馳せると、頂いた罵詈雑言に反射的怒りを覚えたとしても、彼らに取っての平穏(と言う名の無限ループ)を阻害しかねない異生物への拒絶反応もやむなし。数秒後には「まぁ仕方ないよね」で済みます。

5. 意識的に空気読まない事にした

そうして、相反する方々の排他的言動を許容する一方で、「このままでは、元町-三宮間の商店街は遠くない未来に死ぬ。」とも感じていました。事実、神戸の繁華街である元町-三宮間の経済は西側の衰退が進み、徐々に東側へと傾向し、2030年頃完成予定の三宮再整備後の未来予測から、三宮駅東側周辺の地価が高騰しはじめている様に、経済の中心地移動が現実味を帯びつつあります。

それはあたかも、大正時代から1960年代まで神戸随一の繁華街であったにも関わらず、市役所が三宮に移った事を切っ掛けに衰退した、新開地と同様の歴史を繰り返そうとしているかの様です。現代では更に、人口減少やWEB購買比率の高まり、テレワークの一般化等、オフラインの消費自体に向かい風が吹いており、今後は商店街を対象とした補助金制度も減額や採択の厳格化に向かうでしょう。

駅周辺の再整備完成が、三宮本通商店街タイムリミットとしてあと10年。それぐらいの心構えで意識的に行動しなければ、繁華街の中心的商店街でさえ(現状の形としては)消滅しかねない、待ったなしの状況にあると捉えています。

そんな、街への危機感・限られた時間への焦燥感(WEB業なのにね!😃)から私は、結論として「空気読まずにやる」事にしました。始めの2~3年は、反論されても「自分の理論」を信じる。スピードが求められる場面は「ある程度の合意」で実行。あとは「結果」を1つ2つ出せば、古残理事方々の見方も状況も180度変わると過去の成功体験から理解していたので(ご立腹させてしまった方々には申し訳無いのですが)、その様に行動させて貰いました。

6. 一、ニ度の成果で、やはり黙る

そう腹を括ると、理事長をはじめご理解ご協力を賜る機会も増えてきました。少人数ではありますが本当に人に恵まれ、神戸市に採択頂いた緑化メインの3年計画を遂行し、商店街自体の価値軸革新を目的とした次の3年計画初年度には、強力な同士達の協力によるイベント成功が大きな切っ掛けと成り、各メディアへの露出拡大・来街者への認知・ステークホルダー形成等の一定成果を得ました。

お陰様で徐々に、的を射ていない批判根拠の無い中傷を賜る事が減り、今ではその一切が消失しました。そして実に健全でスムーズな理事会が執り行われる様になったのです。反射的感情で他者を否定する人などそんなものです。

もしも同じ様な境遇に、リアルタイムで直面している方が読まれていたら、(何度も投げ出しそうになると思いますが)諦めないで欲しい。もし企画を折られても次を考える。次も折られたら次の次を考える。そのうち出る結果の1つ2つで嘘みたいに好転します。勿論、思い付きでは無く地域の文脈に沿った妥当な課題解決策である事が前提ですが😊

7. 他者の目の必要性

前回のnoteで私は、次の様に理事会を揶揄しました。

商店街の理事会なんて大抵(真の)リーダー不在で座談会 or 報告会だし(ウソウソ😃)、強いリーダーが居たら居たで強過ぎて周りはイエスマンになるしか無いし(嘘だよ!😊)、振興組合と商店さんとの距離だって案外隔たってますからね!(ウソウソぜんぶ冗談!😆)

ちいさな商店街と「他の市場(いちば)」より

…嘘じゃ無くてすいません。少なくとも三宮本通商店街ではその通りでした。強いリーダーのくだりは他で聞いた話ですが、商店集合体が運命共同体となった歴史を鑑みると、時にその様なモンスター…いえいえ強者が出現し村社会的構造が形成されてしまうのも、ある程度致し方無いのかなと思います。

ですが、内部で意見交換をする中で、実は反対意見や重箱の隅をつつく様な発言をされる方は貴重です。人は常に監視されている事で、怠惰や悪意や私欲の出現を抑制出来るからです。誰も意見が出来ない状況下では、余程のメタ認知能力が無い限り趣味に走ったり私利私欲に駆られたりするものです。

その様に、組織はやはり長く続ければ続けるほど偏りがちなので、他者の目は必要です。例えば二院制のように、社外取締役の様にです。出来れば周辺商店街同士で、各理事会には各理事長なりオブザーバーなりが参加されるのが良いと思います。そうする事で村社会的な有力者支配や、周辺との敵対関係も解消出来るし、いずれは連携や合併も生じるでしょう。理想論ですけどね😉

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