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なみだ_05/07

60tのクスリがぐるぐると回り吐き気と葛藤しているAM10:02。
何を思ったのか国語の授業中に突然小さいメモ帳に書き始めたこの文章。
気持ち悪さと昨日からずっと引き摺っている嫌な感情、思い出す度泣き出しそうになる心情、瞳を一瞬でも閉じてしまえば堕ちてしまいそうな微睡み。
此れ等を掻き消す為なのか、自分にも解らなかった。
ふと顔を上げると国語科の先生が立っていた。
ヒュッと喉が細くなった気がした。こわかった。
国語の成績は基本5をキープできている。
寧ろ5以外を取ったことがない。
だからか知らないけれど、脳裏に “  成績  ” が浮かんだ。
慌ててぼくは口を開いた
「 すみません、わからない所があったのでメモを取っていました… 」
苦笑を浮かべると先生はそっか、と呟き微笑み、ぼくの席から離れた。
時刻はAM10:20。
ノートはきちんと取っているとは言えど、先生のあの笑顔が怖くなり、そのまま文章を綴ったノートを閉じた。

PM12:45。
雨が降っていることを理由に体育館での体育祭練習へと変更された。
ほぼ全校生徒が体育祭練習に励む中、体育館の片隅で1人黙々と機材を操作しつつ、またあのノートを取り出し文字を綴った。
周囲には誰も居ない。
たまに先生が様子を見に来る程度だ。
ぼくは放送委員でもあり体育祭等に参加できない身体を持ち合わせていた。
「 …暇。寂しい。泣きそ… 」
あはっと笑いそう呟いた途端、ツーっと目元から頬にかけて雫が零れた。
あー…これ、どんどん溢れてくるやつだ。
自然と、そして不自然に、涙と笑みが零れた。
笑うしか無かった。笑っていないと昨日のように泣き止めなくなってしまう。
それは、それだけは、いやだった。
昨日素直に涙を流したのは信頼のある人の前だったから。本気で悲しかったから。寂しかったから。
そう想い考えていたら心底が冷えた気がした。
流れていた涙は止まっていた。
身体も、動かなくなっていた。

6限目も体育祭練習。
ぼくが放心状態になっている事を察した先生はぼんやりとしたぼくの意識を(半ば強制的に)取り戻し保健室へ連れて行ってくれた。
確か、PM13:40。
正しい時刻は忘れてしまった。
無音で真っ白なセカイに独り置いていかれたぼくは、不本意にもまた泣いた。
泣きながら綴り始めた。
最後に強くキツく抱き締めて貰えたのは何年も前で、優しく暖かく抱き締めて貰えたのも何年も前で。
久々に感じた昨日のあの感覚が忘れられなくて、離れなくて、泣いて、泣いて、そして綴った。
字は乱れ紙は湿ってしまった。
皆が頑張ってる中、ぼくは何をしているのだろう。
何故こんなに寂しいのか、苦しいのか、何も解らなかった。
時間だけが、過ぎていった。
気づいた頃には6限目は終わっていて、
ぐしゃぐしゃに乱れたぼくと、沢山の文字が書き残された紙だけが、騒がしい外の世界とは裏腹にある、真っ白な部屋に遺されていた。


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