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放送室_05/10

予行練習終了後
放送委員の先輩と共に機材の片付けをしていた
実行委員の方とのトラブルは(半ば強制的に)解決し、CDを焼いてくれた先輩の努力はドブに捨てずに済んだ。
けれどCDを叩き割りたいという話と怒りだけは静まらず笑いながら過ごしていると(名前の全くわからない)委員会顧問の先生からCDの調整を頼まれた。
先輩はわかりましたと了承しもう1人の先輩と放送室へいってしまった。

「 ねえ、彼大丈夫かな… 」

「 どうでしょう… わたしも委員長も呼ばれてますし、先輩は放課後放送担当でしたよね?補佐行きましょ。 」

「 え!?ウチもいくの!?いっていいの!? 」

「 いいじゃん!委員長権限で許す☆ 」

「 それで以前怒られましたよね?w 」

「 痛い所付かないで() 」


はっきりと覚えているこの会話は委員長と小学生時代から仲のいい先輩とのやり取り。
片付けが終わるなり元々呼ばれていたぼくと委員長は放送室へ向かった
中はもうカオスとしかいえなかった。
死にそうな顔をした先輩がCDを焼いていたから。
今日は直で来た為上履きを履いていない。
また昨日のようにロッカーでも蹴り上げたら次こそ足を壊してしまいそうで不安だった。
…やらないから多分大丈夫、と言われたから余計。

委員長と機材のチェックや音量調整、注意事項等を確認し原稿も再度作り直したりしているうちに時間は過ぎていった。
先輩達は皆優しい。敬語じゃなくていいと言われたりこんなぼくの体調を気遣ってくれたり。
優しいから大好きという訳では無い。先輩達の接し方が好き。
どうでもいいことでも、恋バナでも、愚痴でも、なんでも話せる。
きっと放送委員の後輩の中でぼくだけがこんな距離感でいるのだろう。
平然と先輩達の会話の枠の中に居て、先輩にごく稀にタメ口を使う。
ぶっちゃけぼくは同級生とは上手くやれていない。昔からそう。一線を置かれる。
うまく、話せない。
何故かは知らないけれど、きっとぼくがこういう人間だから。
もう気にしない。好きな人とだけ居る。そう決めた。
それが、きっといい。

先生が席を離れ暫くするとCDを焼いていた先輩が椅子から落ちた
…2度。
本当に過労死かと思った
息してなかった(?

「 先輩もう動かないでください寝てください 」

「 あ、起きたら沈めるから安心して? 」

「 委員長怖いっす 」

( 以下略 )


先生が教員会議へ行ってしまい帰れない現状を維持してしまったぼくらは雑談を繰り広げた。
本当に先輩後輩ですか。と自分に問いただしたくなるくらい楽しかった。
3時間近くだべっていた、と思う。
文化部所属へと変わったぼくは午後練はなかった。
本来ならば小学生時代の先輩と同い年の男の子が放課後の放送を入れるのだが何故か同い年の男の子がサボったので先輩とぼくとで放送をした。
最低ながらもサボってくれてありがとうと初めて思った。

先輩と愚痴をしながら放送を終え、帰路を歩いていた。
先輩は恋人様のお家のインターホンを鳴らした
ぼく居ない方がいいかなと思いその場をそっと離れた数秒後、ぼくの名前を呼ぶ先輩の声がした。
泣きそうになりながらこちらへ来ていたので一先ず会いに行く。
どうやらバスケ部の方々が怖いらしい。
ぼくは家に帰りたくなかった。だから先輩と暫く一緒にいた。
バスケ部の方々の姿が見えなくなった頃、先輩の恋人様の所へ再度向かった。
私服姿の恋人様を見つけた先輩は嬉しそうに駆け寄っていった。
あえたならよかった。そう思い次こそ離れようと先輩に声をかけた。楽しんでね、と。
その直後、先輩の恋人様に「 ーーちゃん? 」と言われ驚いた。一方的に面識があっただけの方に名前を呼ばれたのだから。

 「 わたしのこと知ってるんですか? 」

「 よく話聞いてるからw それに有名だし。 」

その “ 有名 ” がどの意味の有名なのか気になったが触れないことにした。どうせろくでもないことだから。

改めて先輩方に挨拶をしお幸せに〜と笑った
心からおふたりの幸せを願った。
長く、続きますように。と。

いつもと違う帰路をふらふらと歩きながらそう願った
今日も曖昧なオチでしかないこの文章を思い綴りながら。
きっと明日もこんな物語を綴るだろう。
嫌な事よりはいいかな、程度に。
気休め程度に、捉え思考を錯誤した。


ぼくの好む方々の
しあわせがずっと続きますように。
こんなぼくに居場所を与えてくれた、先輩方に。
こんなぼくを受け入れてくれた、大切な人達に。
大好きな、この場所に。

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