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B Corpはお歳暮送っちゃダメ?


B Corpになるということは、より良い社会・経済のために、勇気を持って行動すること、でもあります。
なぜなら、これまでの常識でビジネスをし続けていては、見えないところで人権が搾取され、不平等は是正されるどころか拡大し続け、気候変動が本当に深刻になり、より良い社会は遠いものになってしまうからです。

もちろん、本質的に「サステナビリティ」は単に脱プラ化することでも、何か我慢を強いることではありません。が、これまでの当たり前がここまで人権搾取や気候変動を深刻化させてしまっているので、まずは見直していくことから始め、私たち人間の営みや文化を後世にも引き継いでいけるようにすることを意味すると思っています。最近は「サステナビリティ」はもう死語で、今はリジェネラティブですよ、という声も聞こえてきそうですが、単なる言葉遊びではなく、これまで生み出してきた「負」をまず出さないようにし、「ゼロ」を超えて「プラス」に変えていく努力をしなければ悠長なことを言っていられないという危機感もB Corpたちの間にあります。

サステナビリティは我慢することではない、と強調しながらも、特にサステナビリティ更にそれを超えてリジェネラティブな社会を目指すB Corpたちはこれまでと逆張りをすることも時には必要で、とても勇気のある行動をしていると感じています。そんなB Corpと心を共にする私なので、日常の行動や選択にもできる限りの配慮をしたいと思っています。

が、常識と違うことをするので、やっぱりちょっと思い切った行動が必要ですし、文化に近しい慣習にチャレンジするには、相手側に抵抗があるかもしれません。「でも、そーいうトコから」という気持ちで日々感じていることをいくつか挙げてみます。

おもてなし vs B Corp


私が会社訪問させていただくと、お水やお茶を出していただくことがあります。本当にありがたいことです。基本マイボトルを持ち歩いているのでそのまま手をつけずに気持ちだけいただくようにしています(長い外出で水筒が空っぽの場合は地球にごめんねと言いながらいただきます)。
日本ではペットボトルの回収が進んでいて、ペットボトルからペットボトルにも生まれ変わっています。だから環境問題に詳しい方のほうが、実はそこに一生懸命にならなくてもいいと意見を伺うこともあったりします。まぁでも回収や再生にもなんらかしらエネルギーを使うので、基本的に新品でワンタイムなものは回数を減らしていきたいと思っています。

以前訪問させていただいた会社では、お土産までいただいてしまったことがあって、最初はなかなかお断りできなかったのですが、いえ、今もその気持ちは本当にありがたく受け取ります。
紙やボールペンなどのノベルティの場合は私の家にも溢れているので、新しいものは頂かないことにします。

ですのでもしこれをご覧になってくださったクライントの方がいらっしゃったら、ぜひ、何も用意しないでいただいても私の印象は悪くなりません(むしろ良くなるかも・・)ので、お構いなく、企業の良い取り組みや前向きな気持ちなどのお話をお土産に持ち帰らせていただきます。

お歳暮 vs B Corp


これはクライアント企業さんが悩まれていました。
B Corpの中に汚職防止対策として、金銭のみならず贈答品も含めた全ての形の賄賂を対象に制限しているかどうかが問われています。
「それってお歳暮送っちゃいけないってことかな?」
日頃の感謝の気持ちを伝えるために贈り物をする日本の素敵な文化は排除すべきでしょうか?
明確に認証機関側で定義しているものではありませんが、取引先に対して公平な競争市場でビジネスをしているか、つまりズルして取引優遇してもらっていないかがポイントになるので、
お歳暮を取引の優位性に関係なくすべての会社にお送りしているような場合には、汚職防止の対象にならないと主張はできると思います。
もちろん、相手との良い関係性の構築は結果的に取引につながることになるのでどこまで理詰めするのか問題はありますが、心の底から「これを直接的に優位に仕向ける」意図がない・もしくは第三者にそう誤解されないような行動なのであれば、少なくとも日本でビジネスをしている環境下では「B Corp目指すならお歳暮やめてください」というストレートなことにならないと思います(グローバル展開をしていて弁護士さんの助言など受けている場合にはそちらに従ってください)。
B Corpはありとあらゆる業種や規模の会社を対象にしている分、定義をガチガチに固めていないところもあります。1番大事なのは会社の意志と実践。「我々のビジネス環境下においては、ここで問われていることはこのように実践できると考え、こういう行動をしている」と主張できるものを考えていただければ良いと思います。

名刺交換 vs B Corp


私は小さな事業でありながらも、貯まった名刺の高さは3年で20cmを超えました。相当な量ですね・・でもワンタイムで、大体一度繋がってしまえばまじまじと名刺を見返すことはあまりなかったりします(スキャンしていつでも見られるようにしています)。
日本人の名刺交換はとても丁寧ですし、文化だと思います。お作法があって、交換の順序には身分の高い人からでありながら、交換する時には対等に互いに同じ持ち方で、スムーズに渡せるようになっています。その手先の震えに人間性を垣間見たりして、相手を知る手段の1つでもあります。
さらに、名刺はその人や組織の顔ですので、こだわって作られている方・組織もいらっしゃって、1つのアイスブレーキングのネタにもなります。
さらにさらに、印刷の技法にもいろいろあり、量産だけでなく、例えば縁の装飾だったり、活版印刷だったりは、職人の技によってできているものもあります。
とあるB Corpのイベントの企画中、「私今回は名刺渡さないことにします」と仲間に言われたので、「え、それはさすがに、私にはできないわーだってビジネスチャンスでもあるし・・」ってその瞬間思いましたが、まぁ一度手放してみると案外いけるものですね。
特に自分の名刺は数10秒見られてその役目が終わる、ワンタイムも甚だしいと思うのでここ半年は紙の名刺を発注していません。「これ渡さない名刺なんですけど」とか言いながら、毎度説明しながら、電子カードにしています。


だいたいの方には電子カードの読み取り体験を楽しんでもらえるのですが、私用のスマホを使っていただくことも多いので
「赤の他人に土足で上がり込まれた感じですよー」
なんて冗談まじりに言われることもあり、確かに。
「サステナビリティもええ加減にして欲しいわ」
ってサステナビリティをめっちゃ研究している方からも冗談で言われた時はおかしかったですが、
まぁとりあえずこだわってみています。

お客様 vs B Corp

とあるクライアントからサンプルで本やその他の商品をいただきましたが、送っていただいた時に1冊ごとにプチプチに包まれていました。とても丁寧でありがたいことです。他のものとセットですし、本の角は簡単につぶれてしまいます。
とあるB Corpを目指す会社では、せっかく再生素材を用いた商品だし、石油を使った不織布に包むのはやめたいところ、高級なブランド品を扱っているのに裸で渡してエコバッグに入れてくださいなんてありえない、という反対の声が上がったそうです。
お客様のため、ブランドイメージのため、とこれまで一生懸命がんばってきたことって捨てなきゃダメでしょうか?

私が好きな事例はパタゴニアのお客様を巻き込んだエコバッグシェアリングです。
食品の買い物に比べて、お出かけついでにふらっとストアに入るのがブランドショップですが、
そんな時はエコバッグを持っていなかったりもしますよね。
お店でショッパーを廃止して一見お客様に迷惑をかけるように見えることでも、
どうせ家に2つや3つエコバッグ余っているよね、というところからアイディアで不便さを解決しているので、まさに「我慢」ではなく、いわゆる「三方よし」的な事例ですね。


もう一度強調させてもらいますが、サステナビリティは我慢することではなく、むしろ今の便利さは保ったままいかにより良い行動や選択を取り込められるか、アイディア勝負だと思っています。先人たちの築いてきたこの便利な社会に感謝しながら、よりやさしい方向にアップデートすべく、日々考え続けたいと思います。