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還らぬ日々がまた息をした時。

電車の中で咽び泣く。
声にならない声が込み上げる。

ただただ、何粒もの涙になって 
流れていく。

還らないものを想っては
名前を付けられない感情が止まらなくなる。

もう一度戻りたいと願うわけでもない、
あなたに逢いたいわけでもない、
あの時の自分になりたいわけでもない。

もう会いたくないし、戻りたくない。

今を生きる私は、今を見つめていて、
確かな幸せを感じて過ごしているの
あの時よりも今の方が大事
解放された私の心と身体は、どこまでも私だけのもので、
それを分かった今、私がちゃんと抱えなきゃ、守らなきゃと思ってて
そのために毎日ひたすら私と向き合って生きてる

そんな日々が私をもっと私らしくしてくれて、
その度に私は、大切な人達をもっと大切にしたくなって、
平凡な毎日がもっと愛おしくなる。
もっともっと私の人生を生きたくなる。

あなたと過ごした日々の渦中にいた、あの時の私も
あなたとみる月、雲一つない空、道端の花、金木犀の香り、美味しそうな焼き立てのナン、お腹を抱えて笑えるお気に入りのサラリーマンの動画、初めて近くに寄った時に覚えた柔軟剤の香り
全部嫌になるくらい嬉しくて、幸せで、大好きで。
一つ一つが確かに私の日常になっていって、
いつしか2人で一つみたいに思ってた

あなたが笑えば私も笑う
あなたが怒れば私も怒る
あなたが悲しめば私も悲しむ

あなたが優しいものに包まれていればそれでいい
温かい気持ちでいられればそれだけでいい
神様がいつもあなたを見守ってくれていれば
隣にいるのが私でなくてもいい。

何がこんなにも強く、あなたを愛させたのかよく分からない
でも、あなたと生きる日々に夢中だった。


未だに残る情愛なんてものはない
あなたにしか埋められないものもない
あなたと過ごした時間はもう幻と同じくらい、
私の中で分厚い霧の向こう側

それが晴れることはもうない

この先、どんどん遠くなっていくだけ
遠ざかる記憶はいつしか私の中で呼吸しなくなって、ちゃんと死んでいく

今日みたいに突然息を吹き返すことも少なくなっていく

ちゃんと死んで、ちゃんと還るんだよ。 
そして、別の場所でちゃんと生きてね。

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