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音程の話

おはようございます。音楽家、チューバ奏者、指揮者、金管バンドディレクターの河野一之です。

相変わらずチューバに指揮に金管バンドにと邁進させていただいていますが、みなさまお元気でしょうか?

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音程の話

僕は耳が良くないのか、はたまた知識や経験が足りないのか、またはもしかして僕の使っている楽器の特性なのか知りませんが、

音程が良くない奏者でした。

他の楽器と合わせる合奏や、ピアニストととのソロ伴奏合わせなどの録音を聴くと、

「うーん、なんかはまってないなぁ」

なんていうことがよくありました。

そんな中大きな転機が訪れます。

イギリス留学中に当時世界ランキング一位であったCory Bandに入団できてしまったのです。

ここからが大変です。演奏技術だって音楽性だって中途半端ではいられません、まして音程が悪いなどと言っていられません。

とにかく練習をしました。でもやっぱりなんか合わないなーという感じが少しの時間続きました。

そして、最終的にこの問題は解消され、その後僕の約2年間に及ぶ世界最強のバンドでの経験が始まるのですが、これは別の機会で話しましょう。

まず色々因数分解をしていくと問題は解きやすいです。そこで、

音程が悪いってどういうこと

では音程が悪い、良くないというのはどういうことでしょうか。

例えば、チューナー(音程を確かめるマイク付き機械、この機械に音を聴かせると自分の音程がチューナーに記憶されている基準の音程に対し、”高い””低い””近い”などを目盛で表記してくれる)

このチューナーの目盛に対し、完全に合っている状態が音程が良い状態なのでしょうか

この状態はプロ音楽家として実際の現場で演奏をすればするほど疑問が湧きました。何度もチューナーで確認をしながら演奏を行い、自分は442hz(日本の基準周波数、英国は440hz=日本に比べて少し低い。Hzが変わると音色や聞こえ方も変わる。)

この周波数=チューナーで合っている音を出していても周りと合わなかったり、指導者として演奏を聴かせてもらっている最中、奏者が「私はチューナーでしっかり合わせてきた」と主張をもらっても全体と合っていなかったりする現象が起きるわけです。

つまり、チューナーが示す442hzに対して目盛が合っている音を随時出していても、「音程が良いという状態では無い場合もある」ということです。

つまり、音程が悪い状態というのは、

①他の音と合わせて見たときに合っていない=調和していない状態

と言えると思います。

また例え他の音と合わせておらず、単音の羅列、つまり自分1人でアカペラのように演奏している中、②ある音に対してその進行上の音程が相応しい音程でいない状態も音程が悪いと言えるでしょう。(これは難しいのでいつか説明します。)

河野が身につけた能力:相対音感

河野は大変残念ながら?、幼少期はただ単にB'zを歌っていただけなので絶対音感というものは身につきませんでした。今ももちろんもっていません。

しかし、日本の音大で4年間、英国で2年間、そしてプロ活動10年以上をかけて身についた能力があります。それが相対音感です。

 相対音感とは、

相対音感(そうたいおんかん、英語: relative pitch)は、音程感であり、先に示された音との高度差(音程)によって、今問題としている音の連なりを捉える感覚である。ほとんどすべての人が本質的に保持していると言われる。

ときに調性や和声に対する感覚、コード感、といった説明もされる。
音楽教育の過程でソルフェージュ等の訓練を積んだ人は、特に鋭敏な音感を身につけている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%B8%E5%AF%BE%E9%9F%B3%E6%84%9F

こんな感じです。

この能力がこれまでの音楽専門教育の中で特出的に鍛えられましたし、先述したCory Bandでの演奏の中でも死に物狂いで得た能力でした。

この能力さえ鍛えれば、チューナーに対しての音程の確認はもとより、

その時その瞬間、鳴っている音に対し、すぐさま反応し、自らの音を調和させる

ことができます。この能力はとても有用で、自分自身これまでの音楽道で意図的に身につけたものではなく、足掻きまくっている末に知らず知らずに持っていた能力と言っても良いものでした。

相対音感の鍛え方

先ほど述べたように、相対音感が鍛えられると、その時その瞬間、鳴っている音に対し、すぐさま反応し、自らの音を調和させることができるようになります。

つまり、チューナーの目盛りに自分の音が正確に合うようにする能力よりも、その時その瞬間鳴っている音に対し、自分がどのような音を鳴らすのか

この部分を鍛えなければなりません。

つまり、簡単に書くと大きく分けて二つの能力が必要です。

①演奏をしながら今周囲で鳴っている音を聞く能力
②自分の思い通りの演奏ができる能力

この二つです。

はとにかく、一緒に演奏させてもらっている方々の演奏をよく聞くことから始めましょう。

ここは感覚的な話なので文章化しにくく恐縮なのですが、「ただ聞く」のではなく、「よく聞く」のです。

音色、音程、音量、タイミング、発音、こういうものを使って表現をしていくわけですが、それら全てを聴覚、触覚、視覚全て使って聞き、感じていきます。

この「感じ」をしつつ、自分の演奏を調和させ、幾人かで演奏するアンサンブルを一つの合奏として聞いてくださる方々にお届けするのです。

①をするためには②の自分の演奏を思い通りにできなくてはなりません。

譜面がさらいきれていなかったりし、管楽器であれば息や楽器の操作、タンギングなどの操作が不十分であれば、誰かと演奏をしていても他を聞きながらその作業を行うことなどできません。

音楽を誰かと演奏するというのは高度なマルチタスク作業です。(多くの作業を同時にこなす)、なのでシングルタスクが得意なだけでは独りよがりの演奏となり、調和は生まれません。

なので、まずは自分の演奏をできるだけ思い通りに演奏できるようにし、その時その瞬間鳴っている音を聞けるようにし、そこへ調和できるようにすることがハーモニー(Harmony)ということです。

最後に

普段お仕事をされながらお休みに楽器演奏を楽しまれている奏者にとって個人練習の際に自分以外の音と合わせて練習するのは難しいと思います。

しかし、令和6年現在、便利な機能がたくさんあります。

おそらく440hzでしょうが、チェロの演奏と合わせることができるYoutube音源

また、ソロの場合だったら伴奏のピアノや大編成アンサンブルの楽譜を楽譜制作ソフトに打ち込み、そこから出る音源と共に合わせることで相対音感を鍛えることができます。

河野の経験上、チューナーで確認や、録音をとってある自分の音が合っていないと感じ、口や奏法で無理やりその音程を矯正すると

・音色が悪くなる
・奏法がくずれ、他の音のバランスが崩れる
・音程は無理やり合ったとしても他の音と調和する音ではなくなる

ということが起きます。そのため、常に視覚的な音程の確認をし矯正ばかりするのではなく、ある基準の音を鳴らし、そこに対して自分の音を調和させていくという訓練がとても効果があります。(合奏というのは本来そうした行動の積み重ねでもありますし)

また楽器のせいという場合も考えられますので、いくら訓練をしても改善が見受けられない場合、素晴らしいマイスターのいる楽器屋さんへ相談させると良いです。金管楽器でしたら河野も相談に乗れますのでご一報ください。

もし音程や、周りと調和しない、自分の音が浮いて聞こえるなどにお悩みの方の一助となれれば幸いです。

All the best
Thank you

Kazz


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