星知弥、坂本光士郎の行った韓国のSSTCとは?

今年から球速を大きく上昇させた星と坂本

ヤクルトの星知弥が今年に入ってから球速を大幅に上昇させている。

オープン戦で最速154キロを計測するなど周囲を驚かせ、シーズンに入ってからも安定して球速を出せている。

昨季のストレートの平均球速は145.8キロだったが、今季の平均は152.3キロ。7キロ近い球速アップをしている。

(データ出典:1.02 Essence of Baseball 閲覧日 2023/4/3)

 星がオープン戦で球速を大きく上昇させた時期、ある動画がTwitter上で話題になっていた。星が昨季のオフに韓国のトレーニング施設でトレーニングする動画だ。

 韓国の野球YouTuber、YASINYADUKによるこの動画は韓国のトレーニング施設、SSTCでトレーニングする2人の日本人選手を紹介している。1人は前述のヤクルト、星知弥。もう1人は元ヤクルトで現在はロッテに所属する坂本光士郎だ。

 星ほど劇的ではないが、坂本も今年に入って球速を上昇させている。まだ球速が出やすいとされるペイペイドームだけなため参考記録だが、昨季のロッテ移籍後のストレートの平均球速は144.6キロに対し、今季の平均は148.4キロ。4キロ近い球速アップをしている。

(データ出典:1.02 Essence of Baseball 閲覧日 2023/4/3)

 2人の球速アップがここでのトレーニングの成果とは断定できないが、このSSTCがどんな施設かを調べてみた。

SSTCとは

SSTCは、米メジャーリーグ球団およびドライブライン(Driveline)社と同一レベルの3Dモーションキャプチャおよび地面反発力分析システムを保有し、スポーツの全分野に渡って3次元動作分析を基に技術的、機能的、体力のさまざまなデータを分析提供をする専門企業だ。

https://www.wowkorea.jp/news/korea/2022/0121/10332183.html

 SSTCは上記の記事のように多くの設備を揃え、動作の分析を行うなどして、技術や体力などといったスポーツ選手のパフォーマンスを向上させる施設のようだ。

KBO(韓国プロ野球リーグ)のLGツインズとも提携している。

星や坂本はどんな指導を受けた?

動画内ではWowkoreaの記事中にもあった地面反発力分析システムを用いて星と坂本の動作を分析している。これらは数ある指導のうちの1つに過ぎないだろうが、動画内でどのような指導を受けたかをざっくり翻訳する。

(韓国語がわからないため翻訳ツール、Papagoを用いている)

星知弥の場合

 星は地面反発力を最大限に生かした投球フォームをしているという分析が動画内ではされていた。フォームについては完璧に近く、絶賛されていた。

 ただし、星は投球動作が優れている一方で下半身の弱さを指摘されていた。下半身を鍛えることでフォームを最大限に活かせるということのようだ。

2023/4/10 追記

星投手の動画について韓国語を翻訳してくれる方がいたのでツイートを埋め込みました。


坂本光士郎の場合

 坂本は星とは対照的に下半身の力は強いと評されている。

ただし、坂本は完璧なフォームの星とは異なり地面反発力を活かせていないと分析された。

坂本は地面反発力を発揮するために着地まで力を維持できるトレーニングを行うように指導されている。

選手によって適切な指導は異なる

星と坂本は球速を出したいという共通の目的がありながら、球速が出ない要因が異なっているため、異なるトレーニングを提案されている。

選手ごとの特性を見極めて適切なトレーニングを提案する、というのは理想だが難しくもある。それを可能にするのが優れた設備と運動力学や体育学に長けたコーチの存在だと思われる。2人の球速アップがSSTCの設備やメンバーによってもたらされたものならばすごいことだ。

オフに慣れない環境に身を置いた意識の高さ

 星と坂本の2人がこれからも成果を出し続けられるかは開幕してすぐの現時点では不透明だ。だが、昨オフにパフォーマンス向上のために海外という慣れない環境に身を置き、投資し、トレーニングに励んだことはプロとしての意識の高さを感じさせる。体力、技術の向上も大きいが、それらの意識の高さによって今年はこれまで以上の成績を残すことも期待できるのではないか。

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