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「バイデン氏勝利ならS&P500は4.6%上昇」High Inflation Is Bad for Biden. What It Means for Stocks. パイパーのダーラム氏が試算

高インフレは逆風だが

今秋に米大統領選挙を控える中で、インフレは依然として高止まりしている。このままでは有権者がバイデン大統領から離れ、潜在的な投資家のリターンが損なわれる可能性がある。

3月の米消費者物価指数(CPI)のうち、変動の激しい食品とエネルギーを除くコア指数は前年同月比3.8%上昇と市場予想を上回った。これは早期利下げを期待していた投資家にとっても、インフレによる生活苦から解放されることを期待していた消費者にとっても悪いニュースだ。

ハリス・ファイナンシャル・グループのマネジングパートナー、ジェイミー・コックス氏は「CPI上昇分の半分以上はガス代と家賃で、インフレ率は3%台にとどまっている」と指摘する。

言うまでもないことだが、これは多くの米国人に悪影響を与える。公共交通機関を利用する都市生活者は車を持っていないかもしれないが、持ち家よりもアパートを借りる傾向が強い。さらに、石油価格の上昇はガソリンの値上げにつながる。

グレンメドの投資戦略・調査部門を率いるジェーソン・プライド氏は「エネルギーは家計にとって直接的な支出であると同時に、ほとんどの商品の製造・輸送にかかる基本的な構成要素で、結局は消費者に転嫁される」と述べた。

だからこれはバイデン大統領にとって悪いニュースだ。家計の負担が増えるニュースが流れれば、米国人の不満は大統領に向かう可能性が高い。

とはいえ、ここ数年の教訓は予想外の事態を想定することだ。誰がホワイトハウスの住人になるのかは、依然として議論の余地がある。


CHIP SOMODEVILLA/GETTY IMAGES

現職勝利ならイールドカーブがフラット化

いつものことだが、市場は未知を嫌う。パイパー・サンドラーでグローバル政策・資産配分を担当するベンソン・ダーラム氏は、投票日まであと数カ月に迫り、「市場を覆う選挙の影が色濃くなってきた」と言う。

投資家が神経質になる理由もある。11月の勝者が市場を動かす可能性を示すデータがあるからだ。

ダーラム氏は、バイデン氏勝利の可能性が高まると2年債と10年債のイールドカーブがフラットになり、その逆ならスティープ化する傾向があることを発見した。

ダーラム氏は、どちらが勝っても2年債はあまり動かないが、現在4.37%の10年債利回りはバイデン氏が勝てば3.93%に低下し、負ければ4.67%に上昇すると試算している。

さらに、バイデン氏が勝てばS&P500指数は4.6%上昇し、負ければ3.1%下落するとみている。

未知への恐怖

ダーラム氏は「トランプ陣営は現政権より法人税や規制に優しいと思われているため、この結果は意外に思うかもしれない。しかし、株式のリターンはキャッシュフローだけに依存しているわけではない」と述べた。

そしてまた、未知なるものへの恐怖が襲ってくる。ダーラム氏は「現職が敗れれば、次に何が起こるかについて重大な不確実性が生じる」と語った。

さらに、一部では常識となっていることだが、1928年の大統領選まで遡ると、民主党が勝った場合、初年度のS&P500は上昇する。

もちろんダーラム氏は、11月までにどんな変化球が登場するか分からないと多くの予防線を張る。投資家の認識が変わったり、市場が結果を先取りして動いたり、データの期間が短いため調査には限界があったりすることなどだ。

それでも、ダーラム氏の分析は投資家にとって一つの指針にはなるだろう。

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