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スポーツ賭博騒動、関連2銘柄への影響はSports Betting Scandals Are Piling Up. What It Means for These 2 Stocks.フラッターとドラフト・キングスは下落

大スター大谷の衝撃

ジョンテイよ、違うと言ってくれ。

ジョンテイとは米プロバスケットボール協会(NBA)の弱小チーム、トロント・ラプターズのジョンテイ・ポーター選手のことだ。報道によると、ポーター氏は1月と3月に行われた2試合で、試合の結果ではなくゲーム中のプレーに賭ける「プロポジション・ベット」で不審な賭けがあったとして、NBAから調査を受けている。その賭けはスポーツ賭博の運営2社がNBAに報告する必要性を感じたほど、大規模で常軌を逸したものだった。

ポーター氏だけなら大した問題ではないが、ロサンゼルスで起きていることを無視するのは難しい。ドジャースの大スターである大谷翔平選手の通訳が、違法賭博で450万ドルを大谷氏から盗んだとして注目を集めている。1919年にワールドシリーズで八百長疑惑をかけられたシューレス・ジョー・ジャクソン選手とシカゴ・ホワイトソックスほどではないにせよ、メジャーリーグの大スターが賭博問題に巻き込まれたことは、関係者にとっては気になるところだろう。


CHUNG SUNG-JUN/GETTY IMAGES

合法的なスポーツ賭博に関する問題は、この二つの事件が見出しを飾るずっと前から議論されてきた。27日には三つの報道がフラッター・エンターテインメント<FLUT>とドラフト・キングス<DKNG>の株を押し下げた。

まず、全米大学体育協会(NCAA)が大学選手に関するすべてのプロポジション・ベットを禁止するよう要請した。また、リチャード・ブルメンタール上院議員(民主、コネティカット州)が賭博8社に対し、ギャンブル依存症の顧客の利用を停止するよう求めたと報じられた。さらに、ニュージャージー州が合法賭博の税率を15%から30%に引き上げることを検討していると伝えられた。これを受けてドラフト株は6.8%、フラッターは5.8%それぞれ下落した(訳注・終値はドラフトが2.37%安、フラッターが0.13%高)。

アナリストは「影響は軽微」

ただ、ウォール街のアナリストは、賭博各社への影響はそれほど大きくないとみている。ジェフリーズのジェームス・ウィートクロフト氏はフラッターについて、賭博増税が行われた地域では、賭ける人に不利なオッズを設定して収入を確保すると指摘した。JPモルガンのジョセフ・グレフ氏はドラフトについて、ニュージャージー州で賭博増税が行われても、オッズの調整などで「利益率を最適化」できるとみている。昨年はオハイオ州で賭博増税が行われたが、ドラフトの収益には響かなかった。

ギャンブル依存症の顧客の利用を停止するというブルメンタール議員の提案についても、両アナリストは影響は小さいと考えている。ウィートクロフト氏は、フラッターはVIPなど優良顧客の賭けを増やすことができると指摘。グレフ氏は、そのような規制が導入されても、ドラフトやフラッターなどの大規模な賭博業者には逆に利益をもたらすことになると予想している。

大学生の試合でプロポジション・ベットが禁止されても、影響は限定的だろう。グレフ氏によると、イリノイ州のスポーツ賭博で大学生の試合が占める割合は14%にすぎず、収益性も低い。ウィートクロフト氏は、合法的なプロポジション・ベットまで悪者扱いすることに苦言を呈する。グレフ氏は、ドラフト株の下落は「行き過ぎ」と述べた。ウィートクロフト氏は「フラッターは賭博増税、ギャンブル依存症者の利用停止、大学スポーツの賭博規制に対応できる比較的有利な立場にある」と考えている。

そうかもしれない。しかし、大谷氏とポーター氏のエピソードは、スポーツ賭博論争の始まりにすぎないだろう。オンラインスポーツ賭博にとってこれらの出来事は、その自由な成長がこれからはあまり自由でなくなることを示すものだ。

結局のところ、それは賭けに値しないのかもしれない。

この記事は「バロンズ・ダイジェスト」で公開されている無料記事を転載したものです。