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今日もお酒日和

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中津市で発行されているフリーマガジン『スマイル』に掲載されているコラム「今日もお酒日和」をまとめています。見逃した方も過去作を見ることができます! 是非、見てみてください^^
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記事一覧

#World Beer Cup

#World Beer Cup

 先月、世界で最も権威のあるビールコンペティション「World Beer Cup」がネバダ州ラスベガスで開催された。世界最大のビール審査会での受賞は醸造家にとっての憧れであり、日本からも数多くのビールが出品され、金賞3銘柄を含む8銘柄が受賞した。

 その中でもフルーツウィートビール部門で銀賞を受賞した「かぼすセゾン」は、大分県別府市に醸造所を構えるBEPPU BREWERYのビールである。「Ja

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#マーライオンによろしく

#マーライオンによろしく

 3月下旬、友人から結婚したという連絡があった。小学生の頃からの友人で、今でも男4人で遊ぶ仲だ。彼は東京で働いているため頻繁に会えないが、年に数回はお酒を飲みながら近況を話したりしている。お付き合いしている女性がいることは知っていたので、結婚のしらせは嬉しかった。ただ、シンガポールへの転勤も同時に知らされた。

 転勤前に中津で一度飲もうということになった。今回は男4人ではなく、彼の奥さんも一緒だ

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#ハナタレ⁉

#ハナタレ⁉

ハナタレ⁉
 明治18年に創業して以来、黒木商店は宮崎県高鍋町でひたむきに焼酎造りに励んできた。ホワイトオーク樽で熟成させた「百年の孤独」は、ウイスキー樽での長期熟成を行ったプレミアム焼酎であり、当時としては珍しく、焼酎ブームを巻き起こした黒木商店の看板商品だ。また、「中々」や「㐂六」といった商品も人気で、全国にファンが多いことがうかがえる。

 他にも「爆弾ハナタレ」という商品がある。変わったネ

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#皇帝のビール

#皇帝のビール

皇帝のビール

 1519年、カール5世は由緒あるハプスブルク家の血を継ぎ、19歳という若さで神聖ローマ帝国の国王に即位した。カルロス1世という名でスペイン国王としても即位していた彼は、他にもたくさんの国を統治し、ヨーロッパに一大帝国を築き上げた。そして、その栄光を守りつつ、運命に翻弄され、様々な争いに巻き込まれていくこととなった。

 過度なストレスから過食症を患った彼は、朝から鰻パイをたくさん

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#時代を超えて愛されたお店

#時代を超えて愛されたお店

時代を超えて愛されたお店 浅草の中心、浅草一丁目一番一号に神谷バーはある。創業は明治十三年、時代が移り変わっても、庶民の社交場として多くの人に愛されてきた。

 神谷バーと言えば、電気ブランと名付けられたカクテルが有名である。明治二十六年に誕生したこのカクテルは、ブランデーをベースにジン、ワイン、キュラソー、薬草などがブレンドされている。「ブラン」はベースのブランデーから、そして「電気」は明治時代

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#クラフトビールに魅せられて

#クラフトビールに魅せられて

クラフトビールに魅せられて

 近年、大手メーカーもクラフトビールを積極的に販売している。一般的なビールとの違いは、やはり個性があり、多様性に溢れているところにある。また、小さな醸造所がつくるビールであることも条件の一つと言えよう。ただ、私が思うに、クラフトビールの最大の特徴は地域益に貢献できているかどうかだ。副原料に地域の特産を使ったり、他の店とコラボしたり、クラフトビールはいつも地域の人々の中

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#リタの鐘

#リタの鐘

リタの鐘

 日本のウイスキーの父、竹鶴政孝。ウイスキーづくりに情熱を燃やした彼は、遠く離れたスコットランドで製造方法を学び、多くの苦悩や挫折を経て、日本に本格的なウイスキーづくりを持ち込んだ一人である。

 日本で蒸留所を設立してからも苦悩は続いた。資金繰りに苦しみ、それでもウイスキーづくりに人生を捧げた竹鶴を支えたのは妻のリタであった。竹鶴がスコットランドにいた頃、周囲の反対を押し切って結婚を

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#ミリオン・ダラー

#ミリオン・ダラー

ミリオン・ダラー

 日本にペリーが来航し、横浜が開港された翌年の1860年、横浜の地に日本初のホテル「ヨコハマホテル」が開館された。このホテルにはバーがあり、日本にもカクテル文化が生まれたという。

 カクテル文化が根付いたのは、大正期に街場にバーが出来てからだが、それ以前に日本でもいくつかのカクテルが生み出された。ヨコハマホテルのチーフバーテンダーであった、ルイス・エッピンガー氏が創作した「バ

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#人間らしく

#人間らしく

人間らしく

 キャッチコピーとは何か。それは商品の印象を決める広告文と言えよう。例えば、オロナミンCのキャッチコピーである「元気ハツラツ」は短い文章にも関わらず、その商品の印象を強く打ち出している。

 壽屋(現・サントリー)の宣伝部に在籍していた開高健は、宣伝広報誌『洋酒天国』を編集し、日本に洋酒文化を根付かせただけでなく、いくつものキャッチコピーを生み出した。それは短文で商品の印象を決めると

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#ジャック・ガウディと伝説の鼻

#ジャック・ガウディと伝説の鼻

ジャック・ガウディと伝説の鼻

 スコッチウイスキーの代名詞である「バランタイン」は、モルト原酒とグレーン原酒をブレンドして作られ、その長い歴史の中で、数人しかいないマスターブレンダーによって伝統を紡いできた。ジャック・ガウディもその一人である。

 ブレンダーの仕事は様々なウイスキー原酒を組み合わせて新たな製品を作るだけでなく、既存の製品の品質維持などが挙げられる。つまり、そのウイスキーが持つ個

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#テパチェ

#テパチェ

テパチェ

 ジリジリとした暑さが続き、ビールの美味しい季節がやってきた。私にとっては、いつの季節もビールは美味しいのだが、夏のビールはより格別である。ただ、そうは言っても、毎晩ビールでは少し飽きてしまう。

 ジントニックやウォッカトニックでも良いが、違う飲み物を少し飲みたくて色々と調べてみた。すると、テパチェといった飲み物の記事が目に留まった。テパチェとは、メキシコの原住民であるナワ族の間で飲

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#僕のブルワリー巡行記③

#僕のブルワリー巡行記③

僕のブルワリー巡行記③

 大濠公園の南側に位置し、ビールの形をしたネオンが目立つ「大濠ブルワリー」は今年の4月にオープンしたブルワリーだ。私が訪れた日は、店内が客で賑わい、少し前までコロナ禍であったことを忘れるくらいだった。メニューはオリジナルである「OHORI〈SOUR〉」と「OHORI〈IPA〉」の2種類と4種類のゲストビールだ。

 私はメニューの中からおすすめの3種類を選んで飲むことので

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#僕のブルワリー巡行記②

#僕のブルワリー巡行記②

僕のブルワリー巡行記②

地下鉄箱崎線千代県庁口から徒歩4分。千代東公園横にある「あすなろブルワリー」は中津市出身の方がされているブルワリーである。店内はカウンターとテーブル席が2つあり、カウンター横にはガラス越しに醸造タンクを見ることができる。そして、カウンター前にはメニューボードがあり、そのお店で醸造されたオリジナルビールの詳細が書かれていた。

 ビールは使用する酵母によって、エール(上面発

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#僕のブルワリー巡行記①

#僕のブルワリー巡行記①

僕のブルワリ―巡行記①

 中洲川端駅を降り、冷泉公園の近くにあるビルの2階に「あおぞらブルワリー」はある。ブルワリーとはビールの醸造所であり、日本でもクラフトビールの影響でその数は増えてきている。

 4月上旬、私用で福岡に行く機会があり、以前から行ってみたかった「あおぞらブルワリー」を訪れた。ただ、その日の私は1軒目のもつ鍋屋でビール5杯と日本酒を1合、2軒目のバーでカクテルを3杯ほど飲み、だ

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