マッチングアプリ(短編小説)
「だから、誰にでも出来ることって価値がないのよ。そう思わない?」
強制的に同意を求めるような聞き方に「そうかもね」と反射的に答えていた。
「貧乏には誰でもなれるの。働かないで、持ってるお金使っちゃえばいいだけだもん。だから、貧乏に価値はないの」
目の前のカナという女は三杯目のハイボールを飲みながら流暢に語りかけてくる。
「その意味でお金持ちってそれだけですごいと思わない? お金を稼ぐって簡単じゃないし、そこには努力や才能が必要でしょ?」
変わらず同意を求めるようなしゃべ