終電と始発

消しかけの世界。

ある秋の日、神様は世界を消しゴムで消していた。
思い描いたのは、こんな世界じゃなかった、と
ゴシゴシ消していた。
でもあまりうまく消えなかった。
神様は消すのに飽きてどこかへ行ってしまった。
人々は消しかけの感情で生きた。
意外にちょうど良かった。
まるで秋の空のように清々しかった。

ドバイの二十一世紀

仕事でドバイに来ている。この都市を意識したのはマルタからフランクフルトに向かうルフトハンザ機で隣に座った老人が僕に話しかけた時だったか。
この砂漠の上に造られた、いや、まだ造られつつある人口の都市では世界のどこかしろにある諸々が、分かりやすい例で言えば料理が、時には安価に時には中々の高額でエンジョイ出来る。
自分の少ない経験でも、こんなにローカライズされてない文化があっけらかんと集められて並べられ