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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章

映画が前編後編に分かれる場合、前編でひろげたふろしきを後半でたたむ、または前編の伏線を後編で回収、ということになるので、前編では驚愕要素満載なのに対し、後編は「あーこうなるのね、なるほど」と落ち着きがち。 あとまあ、結構予想が当たりがち、だった。今回は。まあアニメーションとしての完成度は高いし、きちっと物語をおさめているので、これは前編後編まとめて1本の映画として評価すべきなのかも。であれば、今年観たアニメ映画では確実にトップレベルに位置すると言える。 あと、気になったのは

    • 関心領域

      『関心領域』鑑賞。本作、不謹慎でない範囲で不適切に例えすとすれば、 全員集合で志村の後ろにはブルースウィリスが迫ってくる、 観客は気付いているから「志村!後ろ!」となる。 でも志村こと、ヘス夫人は鈍感すぎてまったく気付かない。 という構図なのではないか。 しかも、ブルースウィリスの全体像がみんなに見えている訳ではないことを制作側も見越している。 ので、冒頭画面を真っ暗にして音響のみで 「聞こえる?聞こえるよね?集中して!」 とハーレイ君になるための訓練を施してくれるという親切

      • 『家出レスラー』とスターダム

        『家出レスラー』の予告を観ても、あまり積極的に観に行こうという気にはならなかった。この映画の舞台となった女子プロレス団体「スターダム」は、理由は分からないがたまたま録画に入っていたから見出すという偶然があって、毎週TV放送でチェックしてはいる。してはいるが、そもそも推し選手はこの映画の主人公岩谷麻優ではないし(当時勢いのあった上谷沙弥選手であった)、「引きこもりだった私がアイコンになるまで」と言われても、そうかいとしか思えなかったから。本編を観るまでは。 しかし、鑑賞後は、

        • 猿の惑星/キングダム

          猿の惑星シリーズは旧作も含め観てきて、本作も三部作の出来がよかったから、それなりに期待はしていた。 そんなキングダム、部族の通過儀礼から、外部の侵略、そして奪還と、王道のストーリー展開で、それなりに楽しんだのではあるが、鑑賞後、なんとなくモヤるものが残るものとなった。そのモヤりポイントは構造的な問題であるものの、ネガティブなものかどうかはわからない。 高橋ヨシキさんがBLACKHOLEで、、「やっと第1作に戻ってくる」ようなことをおっしゃっていた。が、私には本作の結末は、「戻

        デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章

          デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章

          このnoteを見ている方ならうすうすおわかりと思うが、私は(iいかにも)男性作家が考えた女子が主人公のアニメは好んで観ない。理由としては、現実離れしているということになるか。物語の冒頭だけ観ても、その印象が変わらず。が、鑑賞後、その印象は反転していた。むしろ、私のような者向けに作られたんじゃないかという気がする。この映画はつまり、そういう映画である。後章もあるので、この辺にしておくか。 もう一つ、私が鑑賞に堪ええた理由としては、メイン女子5人のキャラクターがいわゆる典型的な

          デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章

          ゴジラ×コング 新たなる帝国

          私は普段、事前情報はあまり入れない主義だが、この映画については、どう遮断しても、「面白い」というのと、「IQが下がる」という2つが入ってきてしまい。つまりはそういう映画なのだなと覚悟をして鑑賞したが、まさにそういう映画だった。いや、面白かったですよ。こちらもIQ下げて観たので。 今回、ゴジラは明確に人類側の味方に舵を切ったが、それはかつての東宝ゴジラシリーズでも起きていたことであり、ゴジラとコングのやりとりからすると、ちょうど『三大怪獣 地球最大の決戦』(「ラドンモそうだそ

          ゴジラ×コング 新たなる帝国

          『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』

          私は『ハイキュー!!』の原作は全部呼んでいる。マンガとしても完成度が高く面白いのもあるが、登場人物の山口くんが自分と同じ誕生日というのもあって、推しキャラとして応援できたのもある。彼は他の主要キャラに比べ、最初は何も持たないただの弱いキャラであった。それが、ピンチサーバーとして自分を確立していくまでの成長として追うことができるのもよかった。 そんな私だが、TVシリーズはある程度はおっかけてはいたものの、お金を払って劇場版まで観に行くかというと、それは微妙である。しかも、チョイ

          『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』

          目には目を

          ジョーは絶望していた。 絶望しすぎて、命を断つということすら頭に浮かばなかった。何年も続く父親からの虐待がジョーを苦しめていた。しかも、身近のこの大きな問題に加え、もうひとつの漠然とした兆しが彼をより不安にさせていた。ある夜、その日も彼はまたこっぴどく殴られ、家の外に追いだされた。月もない、しんとした漆黒の闇が彼を迎えた。彼は生まれて初めて神というものに問いかけてみようとした。その時である。 ジョーの目の前の漆黒に、はじめはぼうっとした光があらわれた。その光はどんどん眩しくな

          目には目を

          アイアンクロー

          私はそこそこプロレスを観ていた時期もあるが、この映画の中心であるフォン・エリック家のことは知らなかった。事前情報についてもそこそこで鑑賞。 本作は、プロセスを扱うにしては、まず絵の美しさが目をひく。演出も、一家に起きる悲劇をそのものは写さず、控え目に表現しているのも印象的。プロレスには似つかわしくないようだが、どうして、試合などはプロセスのエッセンスを正しく伝えており、プロレス映画としても傑作と思う。

          アイアンクロー

          インフィニティ・プール

          ブランドン・クローネンバーグ監督作。ブランドン監督といえば、ここでも触れた『ポゼッサー』がある。『ポゼッサー』は一度鑑賞後、しばらく内容を忘れていて、もう一度見直してたら好きになったということがあった。なので、かなり期待を持ってみたが、期待以上であった。 物語の構造としては、都会から隔離された場所に行った主人公がとんでもないことに巻きこまれるという、構造としては、アリ・アスター監督の『ミッドサマー』と同じなのだが(テーマは違う訳だが)、私との相性としては、本作の方が断然合う。

          インフィニティ・プール

          オッペンハイマー

          待たされたねー。これだけ公開延期されると、観れない可能性も感じて不安になってしまうが、最終的には観ることができ、まずはよかった。 さて、私は日本人でかつノーラン推しなので、その観点から語りたいと思う。まず、本作は登場人物が多すぎたり、複数の時間軸が前後しているため難解と言われていた。カラーとモノクロで異なる時間軸というお作法は、『メメント』でやっているから、そんなに苦ではない。登場人物も、時間の前後関係も2度観ることで、自分の中で整理できた。整理できれば、あとは分子や核分裂を

          オッペンハイマー

          2024 J1#5 川崎フロンターレ3-0FC東京

          久々にフロンターレのことでも。 長年サポーターをやっている身、これまでどん底につき落とされたこと数しれずの身からすると、リーグ3連敗なんて、なんてことない。とはいえ、わざわざnoteに書くなんて気にまではならない訳で。こういう機会でもないとね。 今までフロンターレ、色々問題を抱えてきたが、前回鹿島戦の敗戦から2週間空いたのはよかったのだろう。鬼木監督も「リセット」といっていたが、まさに新規蒔き直しとなる1戦だった。 今回、戦前からプラスの要素になってうたのがエリソンの復帰

          2024 J1#5 川崎フロンターレ3-0FC東京

          三体(Netflix版)

          以前、原作と中国(テンセント)版についてはここに書いたが、今回Netflix版が配信されたので一気に鑑賞。なお、この記事のおおまかな部分は、BLACKHOLEの『三体』特集でとりあげていただいたので、そちらもぜひ参照ください:-) ネトフリ版はテンセント版みたく長くない。8話と短かくする代わりに、キャラクターを大胆に再構築。最初は、多様性のためのキャストかと思いちょっと心配していた。が、それぞれが原作(3部まで)の役割をちゃんと担っておりしっかり意味のある存在だった。かつ、『

          三体(Netflix版)

          デューン/砂の惑星 PART2(追記あり)

          前作は、「えーここで終わり?」感の強い作品だったが、今回は「どうせPART3あるよね」という思いで鑑賞にのぞんだ結果、結構楽しめた。ポールの成長譚として物語の筋が通ってる。ただポールが主人公ではあるんだが、この作品は女性達のキャラクターが際立っている。フローレンス・ビュー様はじめ、今回もバリバリ活躍のレベッカ・ファーガソンお母様や、謎のレネ・ゲゼリット、レア・セドゥなど、キャラクターも強い。IMAXの映像も美しい。アクションもバリバリ。フェイド・ラウサとの決闘でクライマックス

          デューン/砂の惑星 PART2(追記あり)

          ARGYLLE/アーガイル

          マシュー・ヴォーン作品を鑑賞するのはややためらわれた。というのも、前作『キングスマン:ファースト・エージェント』があまりはまらなかったので。が、本作はいい!もちろん、ケナそうと思えばいくらでもツッコミどころのある作品ではある。『キングズマン』もそうだが、『オースティン・パワーズ』ほどギャグにふりきってる訳でもない。が、観ていて楽しいならいいじゃないか。ラスト主人公ピンチの場面、若干デウスエクスマキナ入ってる気もするが、気にしない(一応伏線あったよね!)アクションも007オマー

          ARGYLLE/アーガイル

          映画ドラえもん のび太の地球交響楽

          子供と鑑賞。最近のドラえもん映画の中では、個人的には高評価。よかった点は、いつものいかにもな悪役がいないこと。今回の敵は、知性があるかも不明な地球外生物?なので、そこに絞ったのはよかったと思う。のび太の新恐竜だっけ?では、「カタキ」を恐竜絶滅だけにしとけばいいのに、また別に悪役を立てるのはtoo muchだと思った。しかも今回、戦う武器が音楽というのもいい。まあマクロスとかでやってることではあるけど、5人それぞれに楽器を与えて、最初は下手なのを訓練で経験値を上げてレベルアップ

          映画ドラえもん のび太の地球交響楽