見出し画像

テクニカル分析の目的

テクニカル分析を学ぶ時,様々なインジケーターに目が行きます.
片っ端から勉強すると時間がかかる上にテクニカルインジケーター博士になるだけでトレードスキルが上達しないです.
なぜなら同じものを分析するインジケーターが複数あるからです.
2つも3つも分析手段は必要なく,どちらかというと1つの手段を極める事が重要です.

よく同じものを分析するためのインジケーターを重複して表示し,「根拠が重なったから・・・」と分析している人がいますが,同じものを異なる表現で表しただけで根拠は全く重なっていなかったりします.
見かけの相関というやつです.

取捨選択するにも極めずに取捨選択するのはおかしい気がしますし,1つ極めるころにはトレードで勝てるようになりたいという当初の目的を達成できてしまい,学習戦略として破綻しています.

テクニカル分析の目的を一旦整理してみましょう.
初心者は目的にあったもの,必要なものを選び,それを極めていく方向で勉強すべきです.


1. ファンダメンタルズかテクニカルか

資金管理がトータルで勝つための概念だとすると,テクニカル分析は1回のトレードの精度を上げるためのものと考えると良いかと思います.

テクニカルトレーダーは基本的にチャートのみを見てトレードを行います.
ファンダメンタルズ分析を併用する方もいますが,私は使いません.
私はファンダメンタルズ分析を全く知らないので,完全に不要と言い切る事はできません.しかし,少なくともテクニカル分析のみで,月利10%は安定して出せます.正直なところ私の実力が未熟なだけで,上手い人は安定してテクニカル分析だけで月利20%以上も可能なんだろうなと感じています.

先ずはテクニカルもファンダもとせず,とりあえずテクニカル分析の力を高めてみてはいかがでしょうか.
ファンダメンタルズ分析をする人もテクニカル分析を使いますので,1つに絞るならテクニカル分析になります.
私はそのように考えてファンダメンタルズ分析を後回しにしよう.テクニカルを先に勉強しようと初心者の時に決めました.
2年程たった現在もテクニカルの勉強・訓練が終わりません(笑)

以下テクニカル分析の概要の説明です.

2.分析して調べるべき事

1つのトレードを行うにあたって,次の4つの決断を迫られます.
これらの決断を全て間違えなければ基本的に勝てます.

①ロング(買い仕掛け)か,ショート(売り仕掛け)か
②いつエントリーするか
③どうなったら損切りするか
④どうなったら利食いするか

したがって,我々トレーダーは①~④の決断を自分のトレードスタイルに合わせて可能な限り合理的に,つまり,より儲かり,より損失を出さないようにする必要があります.
これらを決断するための判断材料を集める事がテクニカル分析の目的です.

①~④の決断をトレードの専門用語と照らし合わせると,次のようになります.

※ただし,トレードは厳密な学問ではないため,定義がトレーダーによって異なります.大体一般的なトレーダーと同じかと思いますが,これは私個人の定義ですので他のトレーダーは他の意味で使っている可能性があります.

■環境認識

トレードで利益を出すには2つのパターンがあります.
・安く買って高く売る
・高く売って安く買い戻す
高い,安いなどと言っていますが,このような理想的なトレードをするには相場状況を見て高値圏と安値圏を見極める事が必要です.
そうすれば自動的に買うべきか売るべきか目線を決定する事ができるだけでなく,どこで決済すれば良いかという利食い目標もだいたい決まります.
環境認識ができていれば①の決断に迷いが生じないという事になります.

■セットアップ

セットアップとは準備するという意味ですが,トレードにおいては状況が整うのを待つという意味です.
高値圏に到達したからすぐさま売る,安値圏だから直ちに買うというわけでは無く,できるだけ天井から売り,底から買います.つまり,

ロング目線なら,価格がこれ以上下がらないと予想されるところまで引き付ける.
ショート目線なら, 価格がこれ以上上がらないと予想されるところまで引き付ける.

そうなるまで待つという事です.
例えば押し目買いをするならば押し目の下げが妥当な位置までくるのを待つという事です.
これをセットアップもしくはセットアップが整うと言います.
セットアップとは「エントリーしてもよさそうな状況になった」という事ですね.

■エントリートリガー

環境認識をして,セットアップが整ってもまだエントリーしません.
自分が求めるエントリーの条件を満たした魅力的なエントリーポイントの時にのみエントリーします.
条件を満たす事を確認する作業をエントリートリガーといいます.

エントリートリガーで確認すべき条件は3つあります.

1.機会損失の頻度
2.勝率
3.リスク(損失)とリワード(利益)の比

セットアップが整った後,
この3つの内容を評価し,合格である時のみエントリーします.
セットアップとエントリートリガーを合わせていつエントリーするかという②の決断を行います.

■ポジション管理

ポジション管理とは,エントリーした後にそのポジションを保有し続けてよいか管理する事です.
当然保有していてはいけない状況になったら決済します.
保有していてはいけない状況は次の2つのタイプがあります.

・目標価格に到達しない可能性が高いと判断できるとき
・目標価格に到達したとき

目標価格に到達しない可能性のある緊急事態になれば当然損切か薄利決済してしまう必要があります.
また,利食い目標は”到達する可能性が高い範囲で”できるだけ遠くに設定するのが合理的です.したがって,利食い目標に達したらそれ以上伸びる自信が無いはずであり,すぐさま利食いする必要があります.
目標価格に達したのにいつまでも保有する行為は,自信が無いのに保有している事になり,含み益をリスクにさらしている事になります.

以上の環境認識,セットアップ,エントリートリガー,ポジション管理がより良い精度でできる事が単一のトレードでの成功率を決定します.

3.まとめ

■分析ツールや理論について

これら環境認識,セットアップ,エントリートリガー,ポジション管理を実践する際に使う理論,テクニック,ツールは様々なものがあります.
数学の解は1つですが,解き方はいろいろあったりします.それと同様に,結局どう分析してもそれが正しく精度の高い分析であれば大体同じ結果になるはずです.

したがって,何を勉強してもいいとは思います.
しかし,分析して調べるべき事の何に寄与しているのかを明確に意識してください.
分析の目的はどのトレーダーも変わらないはずで,環境認識,セットアップ,エントリートリガー,ポジション管理を行い,①~④の判断が適格に行えるようにするために分析します.

■テクニカルの技術を磨くには

テクニカル分析は知識があるだけでは不十分です.
自転車を座学で乗れるようにならない事と同じです.
練習が必要で,練習した後,上手くいかなかったらその原因を明らかにして対策を練る必要があります.

原因を明らかにするにも知識は必要なので,先ずは勉強すべきなのですが,勉強した後,できるようにならないのは反省のクオリティが低いからです.
テクニカル上の失敗の原因は必ず①~④の判断を誤ったためでそこに帰着させる必要があります.
そしてそれはなぜなのか,環境認識・セットアップ・エントリートリガー・ポジション管理のどの部分なのかを特定する必要があります.
そこまでしないとまた同じ失敗を繰り返します.

原因を特定し,対策を練り,必要ならば練習する.それが振り返りです.
トレード日記を書く事ではありません.トレード日記を書く事は手段です.
私の場合,地道にwordファイルにこのnoteの記事のような内容をまとめていきました.つまり,研究ノートを作成していました.
トレード日記はほとんどつけていませんし,考えればわかる事はなるべく考えて結論を出すようにして,検証という作業もほとんどしていません.
1に検証,2に検証といわれますが,検証はじつは難しく,初心者がやっても的外れな統計をとる事になる場合が多い上に,相関関係(Aが起きたらBが起きる)を調べても因果関係(Aが原因でBが起きる)はわからないです.深堀や応用をしていくのに必要なのはどちらかと言えば因果関係です.

いずれにせよ,勉強するのはいいですが,本質をついて核心に迫ってください.それが極める事に繋がるはずです.
この記事が手掛かりになればと思います.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?