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【Yチェア】 正規品と格安リプロダクト どこが違う?

2023/10/29追記:2年間使ったレポートを書きました。こちらもぜひ。

巨匠ハンス・J・ウェグナーがデザインしたことで有名なYチェア。
柔らかな木の質感に使いこむことで馴染んでいくペーパーコードを使った座面がなんとも魅力的ですよね。
手作業でペーパーコードを貼って組み立てていることに加えて、有名デザイナーが作ったということでブランド化しており、
カールハンセン&サンの正規品だと定価80000円オーバー。
ネット通販でも滅多に割引はされておらず、なかなか気軽には買えない価格になっています。
そこで候補に上がって来るのが、リプロダクト製品。
(リプロダクト:意匠権が切れた製品を別メーカーが複製して販売する製品)

今回は正規品とリプロダクトを1脚ずつ購入してみたので、比較を行いたいと思います。


まずは正規品の紹介から
https://www.carlhansen.com/ja-jp/ch24
正式名はCH24 WISHBONE CHAIRというようです。

こちらは木の種類と表面の仕上げが選べるのですが、いい木材だとお値段も張るので(ウォルナットなんて16万とかするし、、、)
木材は一番安いビーチ材(ブナの木らしい)、表面仕上げに少しだけお金をかけて、オイル仕上げ(+5500円)にしました。国内の倉庫に在庫があるとのことでしたが、納期は3週間ほどかかりました。

お値段: 定価88000円ですが、購入したインテリアショップで偶然セールをやっていて、2割引の70400円で購入することができました。それでも2脚買うと1ヶ月分の給料がぶっ飛びます。


続いて、リプロダクト。
Amazonで買いました。

木の種類は選べませんが、木の質感そのままのものと、黒の塗装があるようです。本家も塗装はありますが、木の温もりがなく無機質な感じがするので今回は無垢のものを選びました。
木材は北米産アッシュ材のようです。
プライム配送商品なので、直ぐに届きます。

お値段: 20880円、本家のアッシュ材はビーチ材よりも高くて、お値段110000円〜ですから、実に1/5以下の金額です。安い!(といってもIKEAやニトリの椅子よりは高いのだが)


ということで、リプロダクトが先に届きました。まずリプロダクトで目を慣らしてから正規品を評価するというなかなかいい順番です。逆だとショック受けたり使う気なくしたりしそう。。



恐らく製造は中国だと思いますが、輸送時の傷つきを考えて、各部品にプチプチの緩衝材が貼ってありました。剥がすのが面倒くさいのと、カッターを使うと傷つけそうで怖い。(ワクワクしすぎて急いで剥がしたので写真なし)

緩衝材を剥がし終えて、パッと見はいい感じです。木目が主張しすぎな気がしますが、木の温もりもあるし、形状自体もYチェアです。


意外にペーパーコードもしっかり貼ってるし、座り心地も新品時点では悪くないです。脚の裏に着く、床の傷つき防止のフェルトももともと付いています。


気になるところがあるとしたら、
・背もたれの棒材のRエッジがややきつく、背中に食い込む感じがすることと
・木材の仕上げが機械研磨だからなのか、木材自体の品質なのかわかりませんが、
木目に沿って小さな凹凸(削れ)があり、表面を撫でると引っかかりを感じます。(衣類に引っかかることは無さそう)


ややエッジがシャープな背もたれ

棒材の端部は表面の凹凸が気になる

木目が主張しすぎのような気もする

細かいところを考えず実用性だけ考えると十分合格に思えます。
むしろ、ペーパーコードの手作業込みでこの価格は安い。


続いて、正規品が届きました。
この時点ではリプロダクトの座面が馴染んできていて、なかなかのお気に入りになってました。

やはり巨大な箱に入ってきます。
インテリアショップで買ったからでしょうか?梱包材は全て剥がされており、お手製の床の傷つき防止のフェルトテープが付属していました。暖かい御心遣いありがとうございました。(こちらも急いで開けたので写真なし、、、)

パッと見だと、リプロダクトより木目が主張しすぎず、上品な印象です。ペーパーコードの張り方も綺麗。
触ると、木肌のすべすべとした感触に驚きます。しばらく触っていたくなるような、そんな感じの滑らかさです。
背もたれのRも食い込むことなく滑らかです。

そして2つを比べてみると、Webで見る限りはぱっと見同じだったのですが、
正面は大体一緒の感じです

しかし、側面視が・・・


背もたれの高さと角度が少し違う!
これは座り心地にも影響してくるはずですが、正規品のペーパコードが馴染んでいないからか、いまだそれほど決定的な違いは感じられません。

さらに、よくみるとペーパーコードの太さも違います。リプロダクトの方がコードが太いため、巻く量は少なそうですね。組立は楽になると思うので、目立たないところでコスト削減しているようですね。テンションは正規品の方が強くてリプロダクトの方が弱く、リプロダクトは座るとギシっと軋む音がします。


左が正規品、右がリプロダクト

また、正規品で銘板がつくところには、○検の検査印が。


細かいですが、普段目にも触れない検査印の右の内壁の部分についても仕上げの差があり、リプロダクトは研磨されずささくれ立ってますが、正規品はきれいに研磨仕上げされていました。

やっぱり木の仕上げや木材の高級感、ペーパーコードの材質等、もろに原価にきいてくるような部分は正規品の方が圧倒的に満足度が高いです。しかしながら、それが約7万円の差かというと、そうでもないと思いました。
リプロダクトの方も木製には変わりないので、これから長く使っていく中で木材の変化や味の出方が楽しみではあります。

<総評>
・ブランドや工芸品としての品質や手仕事の丁寧さを求めるのであれば、カールハンセン&サンの正規品を選ぶべき。
・実用性重視で、少しおしゃれなペーパーコードの椅子が欲しいのであれば、リプロダクトで十分。


少し変わった考え方としては、リプロダクトを購入して自分で背面の棒材を削ったり、オイル仕上げしたりして、仕上げの品質を改善して使うという手もあります。
ペーパーコードを自分で張り直すのは面倒だと思うので、
必然的に加工範囲がペーパーコードを巻いていない棒材のみになりそうですが。

以上のレポートがご購入を検討されている方の参考になれば幸いです。


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