石神井公園の風景(エッセイ2)
芦花公園から荻窪行きのバスの中で
蘆花公園駅のバス停で15分以上大雨に打たれたあと、バスに乗れたことでひと安心した私。
バスは既に混雑しており、荷物の多かった私は、バスの運転手さんのすぐ後ろ辺りで手摺につかまって立っていました。
それからその荻窪行のバスは、大雨に打たれながら環八(環状八号線)
を走りました。
案の定、車は渋滞でノロノロ運転。
既に混雑しているバスだったにもかかわらず、バス停ごとにどんどん
お客さんを乗せるバス・・・。
バスは環八をゆっくり北へ進み、京王井の頭線「高井戸駅」に着いた時、
運転手さんが大きな声でアナウンスしました。
「もっと奥に詰めて下さい~!」
多くの人が奥の方へ流れて行き、私もその流れに沿ってどんどん奥の方へ
進みました。と、その時。
さっき傘に入れた青年が立っていました。
目が合い、「さっきはありがとうございました!」と明るく爽やかに言われたので、
「いいえ、どういたしまして・・・」と、にっこり会釈をすると、吊革につかまり隣に立ちました。
次のバス停で私達が立っていた目の前の席が空くと、すかさず「荷物多いので、どうぞ!」と席を譲ってくれました。
「ありがとうございます。」と、またにっこり会釈して、座らせていただきました。
それから、二人は話し始めました。
「どちらまでですか?」
「荻窪までです。」
「奇遇ですね!私も荻窪までです。」
「お勤めの帰りですか?」
「いいえ、私まだ学生です。。。」
「それは失礼。落ち着いて見えたので28歳位のOLさんかと思いました。」
普通だったら(失礼ね!)と思う女性が多いのかも知れませんが、当時、
年上に見られたい願望の強かった私にとっては、誉め言葉でした。
「では、学校の帰りですか?」
「いいえ、お花のお稽古の帰りです。」
「あ~それで、このお花!」
「はい。」
青年のルックスは、明らかに当時の典型的な就職活動中の大学生の格好だったので、今度は、私が「就職活動中ですか?」と聞くと、
「いいえ、大学生ではあるんですが、今は仕事の帰りです。私は、昼間は仕事して、夜学で大学通ってるんですよー。」
「それは、凄いですね!何の勉強をしているのですか?」
「建築の勉強をしています。今も、建築現場の帰りなんです。」
「そうなんですね~。私、昔から、住宅展示場に行ったり、家の図面見たりするの好きなんです。」
「図面が読めるなんてすごいですね。普通、なかなか居ないですよね~。」
「もう少しすると、就職活動なんですけど、外資系のインテリアの会社〇〇商会を受けてみようかと思っていて…。」
「そうなんですか!?それはまた奇遇ですね~。〇〇商会、うちも取引ありますよ。有名ですよね。建築業界で知らない人いませんよ。」
「そうなんですか!?」
・・・と、色んな話をしているうちに、終点「荻窪駅」に到着しました。
芦花公園のバス停から約1時間位経つというのに、ザーッという大雨は、まだ勢いを変えず降り続いていました。
「駅からは、どうやって帰るんですか?」
「自転車です(苦笑)。でも、これではちょっと無理ですね…。」
「私はバスなんですが、こんなに降っていては自転車は無理ですよね!?雨が止むまで、どこかでお茶でもしませんか?」
「あぁ・・・」
しばらく考えました。
(今すぐに帰るのは、歩いて自転車を押して帰るにしても、ちょっと雨が酷すぎる・・・それに、まだすぐ夕食の時間でもないし、まあ少し付き合ってもいいかな・・・)
「では、少しだけ。」
「どこかお店知ってますか?」
「時々、ピアノの生演奏をしている少し広めの喫茶店があるのですが、
そこはいかがですか?」
「いいですね!」
と、そこまで案内する途中、その青年は言いました。
「実は今日、私、誕生日なんですよ!」
「またまた~(笑)」
冗談だと思っていたら、どうやら本当らしい。
(今日って、何月何日!?)
中学生の頃から星占いの相性にはまっていた私は、この人が何座の人かすぐに知りたくなりました。
(お~私と相性の良い「乙女座」だわ✨)
「じゃあ、今日は、ご家族でお誕生日パーティーですか!?」
「いや~、私、寮に住んでいるので、誰も待っている人は居ないんですよ。」
「じゃあ、喫茶店のお茶ですが、ささやかながら、お誕生日のお祝いしましょうか」
「それは、嬉しいですね~💛」
そうして二人は、
喫茶店に入っていきました。
(つづく)
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