まずは背景を把握しましょう。【透析条件設定】~導入時・維持期などで変わる処方、条件設定方法、設定時に考えるべきこと~

ばじる🍃です。宜しくお願いします。

前回までは、透析に関わる装置について、まとめてみました。


さて、ここからは透析を行う上で考えるべきことについて、書いていきたいと思います。

透析を導入される患者さんと、維持透析患者さんとでは、透析を行うにあたっての条件といったものが変わってくるかと思います。

条件を考える前に、まずは患者さんの背景について考えてみたいと思います、

🔵導入期について

導入の患者さんは、どんな状態なのでしょうか。溢水状態で呼吸状態が悪いだとか、Kが高くて不整脈がでちゃってるとか…。そんな緊急事態で一刻も早くに透析治療を受けないと死んでしまう。。そういった場合もあるでしょう。はたまた、尿毒症物質が溜まって、血液検査のデータ上、そろそろ導入ですねといった準緊急状態で、そこまではあせらなくてもいいけど、近いうちに導入です。といった場合もあるでしょう。

一方で、維持期にあたる方については、どうでしょうか。

🔵維持期

基本的に、しっかりと透析や除水がされており、しっかりとデータが管理されていれば、そこまで緊急状態となることはないかと思います。

ただ、それはしっかりと管理されているとき。の話であり、管理がされていない、もしくは自身の管理不良によっては先にあげたKが高くなってしまったり、溢水となってしまったり・・・。

そして、透析を受けられていらっしゃる方々は、どうしても易感染症といって、感染に弱い状態の方が多いため、感染をきっかけに全身状態が悪化してしまい、そこから身体のバランスが崩れてしまう…といったことがあるかと思います。

また、透析をしていくと、どうしても尿量が減ってきてしまうため、そういったことで、体重の増えが多くなってしまったりだとか、血液検査のデータが悪くなってしまうといったことがあるかと思います。

はたまた、原疾患は何なのか、男性?女性?、高齢なのかお若い方なのか、透析歴はどれくらいなのか、趣味趣向は?食事はどんなものをとられているのか、レトルト?自炊?お弁当?、どのくらいの活動量なのか、アレルギーは?などなど。背景によって変わってきます。

ほんとに千差万別、十人十色ですね。

透析を行うにあたっては、患者さんの背景を知ることから始まると思います。

あなたの施設には、どのような患者さんがいらっしゃいますか。

背景について、ほんの一部ですがかいてみました。


さて、本題の、『 透析処方 〗についてですが、その背景や患者さんの状態によってかわってきます。

ではいきましょう、導入期。

基本的には、小さい1.1㎡とかの膜面積で行います。血流量も200ml/minとかではなく、100ml/minとかせいぜい150ml/minとかです。データが悪いのになぜかって???・・・それは、不均衡症候群を防止するためです。

不均衡症候群。それまで身体のすみずみまで溜まってしまった毒素を一気に抜こうとすると、頭が痛くなってしまったり、気持ちが悪くなってしまったりしてしまうことがあるのですが、それらのことを不均衡症候群と言います。

透析クリニックさんでは、新規導入患者さんをみる機会はあまりないかもしれせんが、大学や総合病院では導入患者さんがたくさんいらっしゃるかと思いますので、そういった症状の出現がないように注意しながら管理をしていくわけですね。

ですので、導入期については、そんな感じで進んでいきます。


それでは維持期について。維j持期については、正直ケースバイケースでここにはかききれません。ただ、ひとついえること。それは患者さんの背景を知ること、患者さんの身に起こっていることを考えること。そうすればおのずと条件が浮かんでくるかと思います。

除水量については、患者さん自身が把握していたり、いつものパターンを考えてみたり、心機能を考えたり、体格も確認したり、、、15ml/kg除水って計算もあるかと思いますが、やはりこちらに関してもケースバイケースになるかと思います。


一つだけ例を挙げてみます

例)50歳男性、原疾患は慢性糸球体腎炎。普段は月水金で4時間、夜間透析を行っており透析自体は順調。血圧は高めで180台ベース。MAX UFRは1.0L/h。自身で最大の除水量は把握している。普段はフルタイムで働いており、週末金曜日の夜に会社の飲み会で会食に。日曜日夜間あたりから胸苦しくなり、救急車要請。大学に運ばれてきたところ溢水の診断でICU行き。Kなどの電解質は許容範囲内。月曜日早朝、溢水のため緊急透析の依頼あり。アレルギーなし。クリニックからの診療情報提供書はまだ届いていない。でも準備をしないと。。。こんな症例の時、あなたはどんな設定を考えますか。

・・・

医師の指示のもとに条件を設定してくことは大前提なのですが、提案をしていくことはとても大切なことです。

まずは、今一番優先したいことは何かを考えます。今回の場合は透析よりもECUM(水引き)ですね。でも、透析日でもありますのでまずは透析4時間をベースに、除水については患者さんに確認しながら、レントゲンやエコー結果をみて考えます。途中で血圧が下がったりしたらECUMに変更したりします。膜は、働き盛りのお若い男性ですのでそこそこの大きさのものを提案します。血流もそこそことりますね。あとは、経過次第で適宜、調整していきます。


そんなこんなで、またつらつらとたくさん書いてしまいましたが、ただ透析の準備をするだけではなく、患者さんの背景や状態をよ~くよく認識し、対応していくこと。まずはそこを考えていくことが大事となります。

ほんとに奥深く範囲が広いですね、透析って。それだからこそまた、面白いんです。


最後までお読みいただきありあがとうございます🍃




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