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1週間で成果を出し続ける極限の授業

こちらの記事は大学時代シリーズの記事になります。
前回の記事はこちらです ↓

私は小さい頃からデザインに興味があり、
その中でも、プロダクトデザインという、人の使い方を基準とした製品デザインを学びたいと考えるようになりました。

その後、1年浪人して希望の大学のデザイン学部に入学をしました。

この学部の1年生は、ほぼ必須科目で授業が決まっていますが、2年生以降は選択制の授業を選ぶことになります。
まずは自分自身をデザインするということなのでしょうかね笑

友人と一緒に授業の一覧を眺めていると、目に止まった授業がありました。

"ヒューマンセンタードデザイン"

他の科目は単位が2であるのに対して、なんと2倍の4です。
ただならぬ授業であることは間違いなさそうです。

友人の中にはキツそうな授業は避けて、単位2の授業を2つ取る作戦で卒業を狙う人もいました。

しかし、私は浪人をしてまでここの大学に入ったので、やる気に満ち溢れていました。

即断即決で受けることにしました。
そして、何人かの友人も一緒に受けることとなりました。

しかし、この時はまだ知らなかったのです。

まさか顔面が青ざめるぐらいまで教授に罵倒される授業だとは。


2年生になり、この授業がはじまりました。

この大学は世界で活躍するデザイナーの方達が立候補して教授になっており、中には世界の○○と呼ばれている教授までいました。
自主的に教授になって、今後の世界を担うデザイナーを育てるという目標のもと授業をされているそうです。

もうこの時点で志が高すぎてついて行けるか不安です


開口一番、世界の○○がすごいことを言います。

「この授業は去年までは大学3年生のカリキュラムでした。
しかし、近年の就職活動は早期化してしまい、大学3年生から動かなくてはいけません。
そのため、この授業を大学3年生でやるのでは遅すぎるのです。
私たちは大学に対してこの授業を2年生に対して行うように説得し、今の状況にあります。」

大学を説得?!行動力が半端ありません。

「みなさんには大学2年生のうちに、プロダクトデザインについてプロの世界の目線を知ってもらい、成長してもらいたいと思っています。

この授業は本来3年生でやるものであるため、

相当キツいです(真顔)


ですが、プロのデザイナーとして知るべきことを集約した授業としていますので、是非がんばってください。」

そこからルールが説明されはじめました。

  • 4〜5人のチームでやること。

  • 人が困っている箇所を見つけて改善点を発表すること。

  • 期間は1週間。これを4週連続で繰り返す。

チームは一緒に参加した友人たちと組むことにしました。

そして、この日の授業はこれで終わりでした。
過去の事例などは教えてもらえず、スタートしました。

早速、メンバー内で生活に困っているところについて案を出し合います。
ですが、ここからすでに問題が発生しました。

誰もブレストをやったことがないのです。

それっぽい感じで案出しをしていきますが、まったく議論は進みませんでした。

数日間議論を重ねても、一切名案は出ず、苦し紛れで「駐車場の満車状況がわからない問題」というテーマで行くことにしました。
この時点ですでに5日目に入ってます。

しかし、発表に向けてどんな準備をすればいいのかイメージも湧かないため、インターネット上だけで得られる知識をもとに改善策を発表してしまいました。

結果、教授たちから袋叩きに遭いました


「君たちの発表で出している改善策は現実ですでに存在してるよね?」
「現場に足を運んだかい?」
「まだこの授業の意味を理解していないようだね。」

5分程度の説教でしたが、20分ぐらいに感じました。

「ばーこし、大丈夫…?」

どうやらボロクソに言われたことで血の気が引いてしまい、顔が青くなっていたそうです。
ここまで正論で徹底的にメンタルブレイクをされたのは初めてでした。
しかし、真面目に授業を受ける気持ちはあるので、ノーヒントなら少しは手加減してほしいです笑

この授業は6チームが受けていましたが、残りの5チームも同じ状況でした。
しかし、最初の週から1チームだけはとんでもないクオリティの発表をしました。

この1チームはいわゆるデザイナーの卵が集まる精鋭部隊でした。
デザインを学ぶガチサークルに入っており、1年生の頃からデザインについて深く研究していた人が所属してました。
デザイナーの就職活動は狭き門なのですが、後にこの中からスポーツメーカーのデザイナーになる人もいたほどです。

このチームが目をつけたのは、

“違法駐輪”でした。

駅前で駐輪禁止の看板があるにも関わらず、自転車が停められていたことを題材にしたのです。
たしかに違法駐輪は歩行スペースが狭くなりますし、駅の利用者にとっては困ります。

もちろん、このチームは改善策まで実証済みでした。

それは”鳩のフンのシール”を使った改善策でした。
周囲を観察すると、違法駐輪されていないスペースがあったことに気付いたそうです。
これは、鳩のフンが落ちていることが原因でした。
自転車にフンが落ちることを嫌がり、違法駐輪する人たちがその一帯を避ける習性を発見したのです。

そこで、地面に鳩のシールを貼ってみることにしました。

すると、その一帯だけ違法駐輪が消えたのです


目の付け所が凄すぎます。

私としては完璧な改善策だと思ったのですが、教授達は厳しく、

「6チームの中で改善策を提示できたのはよかったです。しかし、この改善策は景観が損なわれますよね。」

と、上げて落とすスタイルでした。

ただ、この1チームのおかげで他のチームもどうやればいいのかイメージがついたようで翌週からは、改善策までを導いて発表するようになります。

私のチームは2、3週目は教授達にはヒットしない発表となりましたが、4週目に奇跡が起こります。

褒められました

それがこちらの水粘着テープです ↓

画面下部の文字が見づらくて申し訳ないです

目をつけたのは両面テープの剥離紙(裏側の剥がす紙)でした。
実は平成21年度のデータでは、年間あたり東京ドーム1775個分の剥離紙が破棄されているそうです。

ほんと数字って人を説得する上で強いですよね。
教授達が関心を持ちました

この問題に対して、水を使って解決することを実証しました。

構造は簡単です。
テープの裏側を切手と同じにしてしまえばいいんです。
下記画像の通り、ケースの真ん中にスポンジをつけておき、利用する時には水を含ませます。
テープを貼った後に、水をつけてあげれば両面テープの完成です。

おそらく教授達が求めていたものは、

学生ならではのシンプルな発想


だったのではないかと思っています。

例えば、電車の乗り心地を改善します、脳波でパソコンに文字を入力できるようにします、などの改善はすごいことです。
ただ、規模の大きすぎる問題は1週間という期間では改善点の実証まではできません
また、学生なので実証できることは本当に小さな改善だけです。

水粘着テープに関しては、学生ならではの観点で最善を尽くせていたところが褒められたのではないかと考えています。

4週間という短いカリキュラムだったのですが、半年ぐらいの密度に感じました。
個人的には極限の授業だったと思ってます。
もう二度とやりたくありません笑

余談にはなりますが、この授業で思わぬ収穫がありました。

それはグループディスカッションのスキルです。

この授業のブレストは、時間内に成果を出さなければいけないというプレッシャーの中やっていたので、就職活動におけるグループディスカッションに近かったのです。

おかげさまで就職活動時のグループディスカッション形式での面接は通過率100%でした。
が、企業研究がおろそかでその後の二次、最終面接で落とされました笑
もちろん、社会人になった今でも限られた時間内で次の方針を導き出す時にも役に立っています。

とても辛い授業でしたが、良い経験になったので書いてみました。
他にも役に立った授業があったので、別の機会に書いてみたいと思います。

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