「キャンセル・返品・交換」を正しく定義したマニュアルと自動化でコスト削減を実現しよう
ネットショッピングが当たり前の買い物手段として浸透するなか、顧客サービスの重要性が事業者にはより求められるようになってきています。顧客サービスのなかで重要な役割を果たすのがバックオフィス。業務効率化、生産性向上といったことが求められつつも、そのなかで高い顧客サービスの提供も必要とされます。ここでは、ECビジネスのオペレーションで多くの事業者が頭を悩ます「交換」業務について、私が代表を務め年間140万枚以上を売る「Tshirt.st」の事例を元に、顧客満足度をアップさせながら効率化するためのアイデアをお伝えします。
「キャンセル・返品・交換」をそれぞれ定義付けする意味
ほとんどのECサイトでは、「キャンセル・返品・交換について」など、キャンセルと返品、交換を同列に扱うような表記をしていますよね? お客様は読んで字のごとく「キャンセルする」「返品をして交換してもらう」と考えているでしょう。
この「キャンセル・返品・交換」について、お客様の行動を想像してみましょう。さまざまなシーンが考えられます。
「Tshirt.st」でも過去、「キャンセル・返品・交換」を一緒くたに捉え、その業務にあたっていました。年間200万枚以上Tシャツを販売するサイトなので、オペレーション業務の負荷は相当のものになりました。そこでこの負荷を軽減、オペレーションの効率化を進めるために取り組んだのが、「キャンセル・返品・交換」を受注プロセス別に運用フローを分解、そして「キャンセル」「返品」「交換」とそれぞれ定義付けをしました。
ECビジネスのバックオフィスにおけるオペレーションは複雑です。「キャンセル・返品・交換」を一緒くたのプロセスで運用することは不適切であると判断したのです。もちろん、バックオフィスに勤めるスタッフみんなが「キャンセル・返品・交換」の作業にあたれるように、マニュアル化してルール作りをしました。
それぞれの言葉について明確な定義付けをし、確立された運用手順で解消するアプローチを採用したのです。
それが以下の表です。私たちはこれを「キャンセル・返品・交換ステータス」と呼んでいます。ぜひ多くのEC事業者さんに活用してほしいと思っていますので、この画像をダウンロードしてご活用してください。
「Tshirts.st」での運用方法
「キャンセル・返品・交換」のオペレーションで最もコストがかかるのは、荷物が到着してからの返品処理です。
「Tshirt.st」では、注文後の注文内容(宛先住所、支払い方法、商品、数量)の変更や交換には応じないルールで運用。一定時間(たとえば倉庫作業開始前など)までキャンセルができるようにし、お客様自身がキャンセル処理対応するようにしています。キャンセルして再注文することで「交換」できることをお客様へ明確に伝えることで、スムーズな運用を実現しました。
商品をまだ発送していない場合に「キャンセル」を受け付け、再度注文を受ける形で「交換」を実現したいお客様ニーズの場合は、倉庫作業開始前まで受け付けるようにしています。注文のキャンセルがあっても、再注文によって顧客ニーズを適切に満たすようにします。
「Tshirt.st」が重要視しているのは、△のポイント(倉庫作業開始後、商品発送前の荷物番号確定前)でキャンセルを受け付けること。出荷前であれば柔軟にキャンセルを受け付けるようにすることで、出荷作業が行われていない段階での対応を可能にしました。
なお、返金処理は、お金を扱う権限が必要で、銀行振込など複雑な決済サービスごとの対応が必要。この部分においては、迅速かつ確実な手続きが求められます。
「Tshirt.st」からの提案
「キャンセル・返品・交換」オペレーションの負荷軽減、効率化を進めるには、「交換」を事実上なくす新しいオペレーションを構築していくことが求められます。
たとえば、表の「キャンセル再注文(交換)」は、あくまでお客様自身がキャンセル処理を行い、再注文するというフローを構築することで、「交換」という店舗側の処理業務をなくす運用を実現しました。
「Tshirt.st」では上記のようなアプローチで「交換」業務をオペレーションから減らし、迅速で柔軟な顧客サービスを提供できるようにし、効率的なオペレーションを実現しました。
「キャンセル・返品・交換」業務の改善は余地が大きいところだと思いますので、ぜひ今一度、見直しをしてみてはいかがでしょうか?
参考WEBサイト
https://www.tshirt.st/
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