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本の感想したい vol.3 本屋大賞編

あっちゅう間に4月が過ぎ去りました……
このままでは五月病を覚える間もなく、夏を迎えそうです。

すっかり旬が遅くなった気がしますが、本屋大賞の記事になります。
今回が投票初参加となったのですが、
コメント採用されたりして楽しさの風味は味わいました。

私が一次で投票した作品はかすりもしなかったんですが。
そんなことはいいんです。
ちょっとでも読んでみるひとが増えればいいな〜ということで、
vol.3は本屋大賞の各部門の受賞作の感想でも!

第21回本屋大賞の結果はこちらから↓



本屋大賞『成瀬は天下を取りにいく』 宮島未奈

第21回本屋大賞受賞作は――
宮島未奈さんの『成瀬は天下を取りにいく』!!

圧倒的ヒロイン力!
キャラクターの力がとってもすごい小説です。
滋賀県に住まうヒロイン成瀬が日常で巻き起こすあれやこれ。
彼女を見つめる登場人物たちの目を借りて、読者は成瀬を味わっていくことになります。

一見すると、独立独歩、唯我独尊に思える彼女ですが、
ページがすすむごとに見え方が変わっていき、彼女への理解も愛着も深まっていきます。
彼女が地元滋賀を愛するように、読者も成瀬というキャラクターを好きになること間違いなし!

滋賀あるあるばかりで地元の人しか楽しめないのでは?
と、危惧する方もいらっしゃるでしょうが、
はっきり杞憂であるといえます。

好きでしょう? 突き抜ける青春のあれこれ。
好きなんですよ。物語さえ突き破るキャラクターが。

なんなら、読んだ後に滋賀に行ったっていいんですよ。
しましょう、聖地巡礼を。
重たいことが一切ないので、安心して読めるエンターテイメントです。
ちなみに、サムネの成瀬は続編です。


翻訳部門『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』 ファン・ボルム 牧野美加訳

韓国発の書店小説です。
地域密着型の独立系書店を中心に、常連さんや作家さんと作り上げていく日常のあれこれ。
本好きなら一度は考えたことがある、自分だけの書店を持てたときにどうするか――そういう夢想と甘いだけじゃない現実が混ざりあったお話。

カフェ、読書スペース、仕入れの話、読書会企画、作家を招いたイベント
店主と店員、書店とお客さん、書店員と作家
様々な人間関係が、物語という物差しのうえで触れ合う。

実際に書店で働くようになったからこそ沁みること、
純粋にお客さんだったら思うこと、
文化拠点としての本屋が地域にどうやって根づいていくかが描かれています。ひとの心が通った場所になるには。

本屋が次々と閉店していってる昨今、
ほんとうに大切なことはなんなのか、
売る人だけでなく、読む人にも読んでほしい一作です。

発掘部門『プラスティック』 井上夢人

発掘部門とは、隠れた名作にスポットを当てよう! という賞です。
隠れた名作を、隠れていない名作として取り上げる。
投票者がプレゼンターとなって、作品をもり立てていく企画になっております。

まず、構成に震えました。
ワープロの文書ファイルを追っていく形式で語られる事件。
奇怪な事件がスピーディーに展開していくことで、読者は事件に引き込まれていきます。息をつく暇もなく真相まで駆け抜ける。
楽しさが途切れない、とっても良い読書でした。

惜しむらくは、発売当時に読めなかったことですね。
ネタが面白すぎたが故に、ネタの方が有名になりすぎてしまったのだ…
いまや、エンタメ系に触れていて、その存在を知らない人はいないのだ。
途中で気づいてしまうからこそ、構成の妙に目が行く。
意味がわかっても面白さの輝きは失われません。

作者の地力に撃たれる一作でした。
スリリングな読書をしたい方には、ぜひおすすめです。


おわりに

どうだったでしょうか。
私なんかより、本屋大賞のリンクを覗いてもらった方が購買意欲が高まることでしょう。

本屋大賞は書店も力を入れて展開しているので、参加書店に行けば目立つところにあると思います。

来年は私の推し本が取ってくれたら。
これからも書店員を続けていけたら。
末長く職場が生存していけたのなら。

では、いずれまた……
生き残っていたら、記事を書きます。
書くネタはあるけど、いまいち時間が取れないですが、
隙を見てまた書きます。

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