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WHOへ反旗をひるがえせ! ~パンデミックは作られ、我々は喜んで自由を差し出す~

2024年4月13日、池袋に2万人近い人たちが集まった。時事通信によると「新型コロナウイルス感染症対応の教訓を踏まえて世界保健機関(WHO)が5月の総会での採択を目指す、権限強化などに向けた「パンデミック条約」に反対する市民」たちだ。

参加者は「ワクチン反対」「憲法改正反対」など、いろんな思いで集まっていたと思うが、基本はWHOによる国際保健規則改訂と、パンデミック条約に反対するというのがメインテーマだ。

そもそも命に係わる感染症は日常的に蔓延している。

WHOや世界の保健機関が「新型コロナウイルス感染症対応の教訓」と言ってるのは、2020年からの新型コロナパンデミックの対策として「市民の行動変容」を促す力が足りないから強化したいということ。ではWHOに力があったら、何ができれば何がしたいのか。
 
新型コロナが蔓延する前から、風邪症候群から肺炎腎炎心筋炎につながるウイルスは日常と共にある。

心筋炎の多くは「原因の多くは感染性で、風邪などと同じウイルスによるもの」。
日本心臓財団HPより。

アジア・アフリカ諸国では結核やマラリアなど非常に深刻な感染症に悩まされている。

 上記記事によるとサハラ砂漠以南のアフリカでは、新型コロナ以外の感染症で、年間270万人が命を落としているという。なにより食料危機や貧困や不衛生で日々人が亡くなる国で、新型コロナウイルスがどれほどの脅威だっただろうか。

WHOは言った「そこにパンデミックあれ」と。そしてパンデミックがあった。

2020年1月30日、WHOは「世界的な緊急事態」を宣言した。BBCが伝えるところによると、テドロス事務局長は専門家委員会による緊急会合の後、スイス・ジュネーヴで記者会見し、「前例のない大流行」に「前例のない対応」を実施していると表現した。その時死者数は213人。WHOが懸念したのは「比較的貧弱な国々に感染が拡がること」だった。

「WHOが「緊急事態」を宣言 新型ウイルス、感染18カ国に」(BBCニュース)

そして3月13日にWHOのテドロス会長は「テドロス事務局長は、「新型コロナウイルスはパンデミックと言える」と述べて世界的な大流行になっているとの認識を示した。緊急事態を宣言したときの懸念はあたらず、宣言後ひと月で大流行し多くの死者を出したのは欧米先進国だった。

WHOのパンデミック宣言後、多くの新型コロナ死者を出したのは欧米先進国
パンデミック宣言後、コロナ検査が多くなったのも欧米諸国

新型コロナの検査を多く行ったのも欧米先進国だった。WHOは3月13日の時点で世界各国に「症例発見、接触者追跡を強化、モニタリング、接触者や発症者の隔離」と感染対策の通達を出している。

2020年3月20日通達のWHOの感染対策ガイドライン
「Critical preparedness, readiness and response actions for COVID-19」

接触者を追えば追うほど、検査をすればするほど「コロナ陽性死」は増える。検査をしなければ他の原因で死んだ人、検査をすればコロナで死んだ人だ。追わなかったら、ウイルスを特定しなかったら「なんだか今年の風邪はきついねぇ」で済んだ話かも知れない。
 
その後、アメリカでは過激なステイホームと陽性者を老人ホームに戻すなどして高齢者が多く亡くなった。

最初は医療者によって「死因計上」がバラバラだったが、6月になるとWHOから正式に「コロナ陽性で死んだら、他の基礎疾患があってもコロナを優先して死因に入れろと正式にお達しがくる。みなさんご存じ日本の厚労省による「なんでもコロナ死にカウント」もWHOの方針を踏襲したにすぎない。

とはいえ、超過死亡を見ると欧米諸国にとっては久々の「命に係わる深刻な感染症」だったに違いない。しかし途上諸国はその程度の死者を日常的に受け入れている。たまたま欧米で厄介なウイルスになっただけ。この頃はまだアジア・アフリカにとってなんの脅威もない病気だった。
 
それがWHOのパンデミック宣言によって「世界的な大流行」になったのだ。

実は何年も前から準備されていたパンデミック対策

2016年、「グローバル・ヘ ルス・セキュリティ」に関する会合が活発に行われ、2017年にWHOからとあるレポートが公表された。タイトルを「A Strategic Framework for Emergency Preparedness(緊急事態への備えの戦略的枠組み)」という。
 
この文書の中でWHOは

WHO文書「緊急事態への備えの戦略的枠組み」では、緊急事態を管理するための法律の制定及びIHRへの準拠の策定を求めている。

もちろん、ワクチンの準備に関して「グローバルな調整」を行うことや、「リスクコミュニケーション」と社会動員のためのメカニズムや戦略を準備することも含まれている。
つまり感染対策の周知やワクチン等の薬品流通を円滑にするための準備、もっと言えば「次にパンデミックが来たとなればすぐに行動できるよう、法律と広報の準備をしておけよ」と言う話である。

その点、日本は優等生であった。2013年には「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が施行された。文字通り2009年に世界的に流行したH1N1亜型インフルエンザウイルス対策の混乱を受けてのものであるが、日本はそもそもたいした被害ではなかった。しかしながら、我先にと「新型インフルエンザだけでなく、急激に流行して国民に重大な影響を及ぼすおそれのある新たな感染症が発生した場合にも適用される(第2条第1号)」法律を作り上げたのだ。 

当時も行政が緊急事態において国民の行動を制限するおそれを察知した人たちがおり、質疑応答などがあったようだ。自由権への影響など、様々なことに言及されているが、今回注目したいのはWHOに関すること。
 
この新型インフルエンザ特措法が発動するトリガーになるのは「WHOによるフェーズ4宣言」。つまり、この法律がそもそもWHOに依存したものなのだ。WHOがパンデミックだと言えば即座に効力を発揮する。新型コロナ騒ぎでも大活躍したのもさもありなんというわけだ。

新型インフルエンザ等対策特別措置法に関する質疑応答集

「ワクチンワクチン!」最重要ターゲットのアフリカ諸国に総スカン

さて、WHOお抱えの組織にGavi(Gaviワクチンアライアンス)という組織がある。「予防接種で誰一人取り残さない」というビジョンと、ワクチンの公平かつ持続可能な使用を増やすことで命を救い、人々の健康を守る有難い団体だ。それと同時にワクチン支援とビジネスを連携したいみたい。儲け口はどこにでもある。

「コロナ後の社会を創る 国際機関とのビジネス連携」P22
「コロナ後の社会を創る 国際機関とのビジネス連携」P32

そしてGAVIおすすめのビジネスが「個人情報の把握」だ。ID2020でもおなじみ。頼んでもいないのに、途上国のみなさんの個人データを把握して健康を守りたくて仕方がない。どちらかというと「ワクチンが打ちたい」というより「ワクチンやるから情報よこせ」という印象。日本企業もきっちりお役に立っているよう。そりゃワクチンに反対なんかしませんて。

「コロナ後の社会を創る 国際機関とのビジネス連携」P31

しかしながら、このWHOとGAVIの「おせっかい」はアフリカの途上国のみなさんのお気に召さなかったようだ。供給されたワクチンも捨てまくり。「偽情報や陰謀論が浸透している」からですって。GAVIさん言うにことかいて「接種率向上が進まないままなら、新たな変異型がアフリカで生まれ世界へ拡散しかねない」とのこと。

でも考えてもごらんなさいなと。冒頭でも書いたけど途上国では新型コロナなんかより深刻な健康問題山ほど抱えているのに、治験も中途半端なワクチンを健康な人たちが打ちますかね。
 
これは2020年春のニュース。

フランスの医師が「アフリカでコロナワクチンの治験をしろ」と言ったところWHOが「アフリカは治験場ではない」と批判したんだけども、実際は先進国が治験場になり、冷静なアフリカは治験をまぬかれたという皮肉な構図だ。科学風信仰が先進国から判断力を奪ったわけだ。

IHR(国際保健規則)改変とパンデミック条約

IHRの「引くほど図々しい」改変

かくしてWHOとGAVIによる「ワクチンを打って個人データをかき集める」作戦は失敗に終わり、アフリカは先進国から立ち上がろうとしている。しかしながらWHOは今回のパンデミックを仕掛けたときから、世界の人たちの「公衆衛生の管理者」である立場を強める道筋を立てている。逆に言えばそのためのパンデミックであった。「我々の言うことを聞かない連中が多いから、こんなに被害が広がったんだ」と広報することだ。
実際のところ、WHOのいうことを無視したアフリカが一番病気としての被害は少なく、厳格に守った地域の被害が大きい。しかし事実などどうでもいいのだ。
 
かくして、WHOが出した改正案がこちら。削除する部分に取り消し線、変更部分に下線が引かれている。

https://apps.who.int/gb/wgihr/pdf_files/wgihr2/A_WGIHR2_6-en.pdf

この改変の「気味の悪い点」について、上記をDeepLで日本語訳したものをを貼り付けながら、いくつか挙げていく。
まずは第1条。「拘束力のない」という部分を消している。つまり「拘束力を持つ」という内容に改変するという。

国際保健規則改正案 第1条部分

次に第三条。「人の尊厳、人権及び基本的自由を十分に尊重するものとする」を削除。そして

国際保健規則改正案 第3条部分

あとは48条。WHOが公衆衛生上の根拠を評価したあと、それが不釣り合いだと認める場合は、こともあろうに主権国家たる「当該締約国」に対し修正するよう勧告するという。

国際保健規則改正案 第3条部分

私たちが選挙で選んだわけでもない国際機関に、なぜ主権国家が指図されなければいけないのか。他にもいろいろ首をかしげる部分があるので、ご自身で読んでみて欲しい。

※後日談。この文章は4月の反対デモのあと書き始めたのだが、同じような反発は世界中であった。デモを起こしたり抗議があったり。そのおかげか、懸念部分は「今回の改正」からは取り下げられたらしい。

当該文書はこちら。まずは朗報。今後とも注視していかなければいけないね。

https://apps.who.int/gb/wgihr/pdf_files/wgihr8/WGIHR8_Proposed_Bureau_text-en.pdf


パンデミック条約の「本当のリスク」


さて、もう一方の懸念材料であるところのパンデミック条約。パンデミック条約とは「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)を受け、今後の予防・備え・対応を強化していくための新たな国際協調の仕組み、そして規範となる法的文書」のこと。条約なので厚労省と言うよりも外務省案件だが、これはIHR規則改変とセット。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ghp/page23_004456.html

パンデミック条約については、実はIHRと違い日本の新聞でも話題になってる。経済界が嫌がっているからだ。なにを嫌がってるかと言うと私たちが懸念するような「人権の侵害」ではない。技術移転や資金援助を強要されるのを警戒しているから。「加盟国間の意見の隔たりは大きく、交渉は不調のまま同月28日に会議が終了した。医薬品供給などで公平性への配慮を求めるインドやアフリカ諸国と、技術移転や資金支援で過度の負担を避けたい米欧や日本との間で主張に溝がある(日本経済新聞2024年4月5日より)。

「WHOパンデミック条約案、医薬品生産で対立 交渉難航」日本経済新聞(2024年4月5日)
※会員限定記事

まあ、日本政府やメディアとしては技術移転や資金提供への懸念を払しょく出来たらパンデミック状況は大いにありという流れにしたいよう。

パンデミック条約それだけで国民の主権は奪われない。しかしIHRと補完しあう関係だ。条約というのは国際間の法律。パンデミック条約を締結するということはIHRを遵守するという表明だ。パンデミック条約を語るのに、IHRに注目しないのはおかしいのだが、そこは全くニュースにならない。

法律や条約がなくても従順な我々はWHOに従う

今回のここまでさんざんWHOについて書いてきたが、我々日本国民と日本政府はIHRの改定やパンデミック条約がなくても、唯々諾々とWHOに従うシステムになっている。
パンデミックの際に公衆衛生の名のもとに我々の行動を指図する「新型インフルエンザ等対策特別措置法」には、WHOの文字はない。しかし、前記したように「新型インフルエンザ等対策特別措置法に関する質疑応答集」によると「どのような手段で(緊急事態に至るパンデミックが)発生した旨を確認するのか」との質問に「WHOによるフェーズ4宣言を確認した上で」とある。はなからWHO頼みなのである。

「新型インフルエンザ等対策特別措置法に関する質疑応答集」

つまりWHOへの警戒は当然必要だが、我々は足元の国内法、そして「海外の保健機関だより」の行政をどうにかしなければいけない。その我が国の「新型インフルエンザ等対策特別措置法」は今さらなる改悪の危機にさらされている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/b7348de89191c25db7e1a72bf426dbc223f1fe65

上記ニュース記事によると、「感染症の科学的な知見が不十分な流行初期の段階でも、医療体制の逼迫の恐れがあれば緊急事態宣言などの「強度の高い措置を講じる」と明記」とある。
WHOに拘束力がなくとも、政府がこれを認めて「WHOがパンデミックと言ったから」を理由にされたら、その場で我々はまた自由と発言の機会を奪われるのだ。
 
何かできることはないか。
とりあえず、パブリックコメントを政府に届けようと思う。


世界と日本の権威が我々の生活を管理しようと迫ってくる。
我々にできることは「従わない」と意思表示し、そして実際に従わないことだけかもしれない。

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