見出し画像

本棚に並べたくなる美しき作品「せんせいのお人形」【マンガ感想文】

マンガは、たくさん知ってるわけではないけれど、好きな方。
「これが好き」というものは複数あれど、もしたったひとつだけ紹介するとしたら、一切迷わずこれを選ぶ。

本棚に並べたい、純文学のような、聖書のような、それでいて絵画や音楽のようでもある作品。
タイトルからは一見想像もつかないかもしれない…けれど、このタイトルも、すごくすごく深いんだよなああ…
(comicoにはオトナなマンガも多く、当初「これももしかしてちょっといかがわしいマンガなのかな?」なんて疑っていた邪な私をぶん殴りたい…)

「せんせいのお人形」 / 藤の よう

comicoというウェブマンガ媒体出身のマンガで、完結作品。
comico上では記載時点(2021年6月1日)では最終話まで公開されており、根気強くCM動画さえ観ていただければ、数日かけて全話無料でご覧いただくこともできる。
が、1~10話まではCMなしでも今すぐ読めるので、リンク先からぜひ読みに行っていただきたい。
(以降、10話までで閲覧可能な範囲のネタバレにとどめるよう、気を付けながら紹介していこうと思う)

作品紹介欄には、こうある。

身寄りのない女子高生・スミカを名門女子高教師である昭明が引き取ることになった。 彼はスミカに宣言する。 「おれは教育するよ、君を」
(comicoより引用)

親戚をたらいまわしにされ、育児放棄されていたスミカ。
お嬢様学校の倫理教師で、一見冷徹で厳格そうな昭明。
主にこのふたりの視点を軸に、物語は展開していく。

昭明との暮らしの中で、自分の人生を取り戻し始めるスミカ。
そして、そのスミカに照らされるかのように変化し始める周囲の関係者たち。

スモーキーカラーのなかに圧倒的な白が差し込んでくるような美麗な世界観。
心の奥の奥の「そんなところにあったのか」と言いたくなる部分を、ぐっと掴まれ、引きずり出され、問われ、そして包まれる不思議な感覚。
生きるとは?学ぶとは?愛するとは?

シリアスなお話でありながら、テンポもよく、クスっと笑える部分も多い。
スミカや昭明を始めとした登場人物も皆、とてもいとおしい(私の推しキャラは一佐…14話初登場→訂正!13話の最後に出てきた!)。
描写も丁寧で、張り巡らされた伏線さえも芸術なのかなとさえ思えてくる。

毎回のタイトル設定も美しい。
以下、私の特に推薦したい回(泣くやつ)を厳選し、美しいタイトルと共に、ネタバレしないように必死に紹介したい。(読者の方はぜひ語り合いましょう…!)

第20話「学問の鳥瞰図」
スミカの芽生え回だと思っている。涙なしには語れない。
ファンの中でも評判っぽい、有数の傑作回。
第34話「湛える」
ちょっとしんどくなる回が続くこの頃を、湛える愛のような回。
ずっと先に出てくる対比的なタイトルを発見すると、また別の涙も。
第37話「蝶の優しい殺し方」
とある人物の奥が描かれる。
先々の展開をそっと示唆するかのような(深読みしすぎ?)、印象的なタイトル。
第41話「私の創造主」
第1部最終話であり、紙書籍最終話(後述)。
スミカの成長に心がポカポカするとともに、感動の展開に号泣。
第51話「二人のバースデイ」
核心に触れる、大きなターニングポイントの回。
表出された愛にこれまた号泣。
第61話「ダイニング・テーブル」
ほっこり回。スミカの存在で周囲が変わっていったことを噛み締めるつつ、実はダイニング・テーブルが象徴するのは、「本来そこにずっとあった」ことなんじゃないかと思ったりしている(また深読み)。
第91話「ホーム・パーティー」
白桜館でのお話は全部好きだけれど、たぶんこれが一番好き…
家族っていいなあ…と暖かな気持ちになる。
第112話「疾っくの疾う」
(特に昭明サイドからの)一旦の解決が見られる回。
昭明と一佐の関係性に改めてジンとする。
第114話「凪の夜」
一佐推しとしては外せない、ほっこりしあわせ回。
クライマックス前の凪を示唆している回でもある。
第119話・最終話
タイトルが秀逸すぎて書けないので省略…w
全ての人の行く先の幸福を想う素晴らしいラスト。

…ちょっと、いや、かなり熱く語ってしまったのだが。

実はこの「せんせいのお人形」、紙書籍でも読める。
但し、3巻まで。
4巻~つい最近発売された6巻は電子書籍として発行されている(おそらく次の7巻で完結かな…?)。

本棚に並べたい美しい作品なので、本当の本当は最後まで紙書籍で出してほしい。
私と同じ思いの人も多いようで、comicoの「電子書籍発売のお知らせ」のコメント欄は、「受注生産でいいから…」「割高でいいから…」と、紙書籍化を切望する声で埋め尽くされている。(なんとかならないかな~…)

最新情報は、Twitterで確認できるとのこと。

https://mobile.twitter.com/sensei_oningyo

最後にもう一度comicoのリンクを貼っておこう。さあ読んできて。



「書くンジャーズ」今週のテーマは、【マンガ感想文】
自分のサービスを推すより熱く語る火曜担当のみねは、「せんせいのお人形」の感想文を書かせていただきました。

メンバーの皆さんは、どんな【マンガ感想文】を書かれるのか、楽しみです!
日刊「書くンジャーズ」マガジンでチェックしておきましょう^^





この記事が参加している募集

推薦図書

マンガ感想文

いただいたサポートは、夫のしあわせのためにありがたく使わせていただきます!