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Horizon Forbidden Westをプレイしました。

前作〜本作のネタバレを含みます。
トロコン。プレイ時間は111時間。
達成度は100%にした

難易度ノーマル(一部除く)でプレイ。こまごまとしたデータポイントは全然回収できてはいないけど、概ねの要素を遊びきってからメインクエストをクリアしたらプレイ時間が100時間を優に超えててびっくりしました。メインクエスト中心で行く場合は30時間程度で終わる分量だと思います。

楽しみにしていた続編(前作のおさらいも添えて)

「Horizon」シリーズは、大自然に生きる「原始的な狩猟生活を営む人類」と「高度に自律制御する獣型の機械」の対比構造となった世界観を持つ狩猟アクションRPGだ。ありそうでなかったSFゲームでめちゃくちゃ面白そう!となって、前作「Zero Dawn」をプレイし、DLC「凍てついた大地」含め90時間程度楽しんだ。

続編ということで、ゲームは前作のストーリーのおさらいから始まる。

主人公のアーロイ。スーパーフィジカルウーマン

雑にストーリーを紹介すると、前作「Zero Dawn」では、その世界に住む一部族「ノラ族」の異端者(部族から切り離された人間)の主人公「アーロイ」が、幼い頃に見つけた万能なこめかみサイズのデバイス「フォーカス」を使い、部族で使命を与えられ世界を旅することになる。
その過程でHorizon世界の人類の営みや、機械の獣たちはどこから来て、何を目的とするのか、朽ち果てた現代文明の機械や建物は一体どうしてそうなったのか。アーロイは一体何者なのかといったものがストーリーを進めると明らかになっていく。

地球復活のテラフォーミングシステム「ガイア」の概要図

前作の終盤で、Horizonの世界を形作るきっかけになった企業や人々が明らかになる。2050年代に、実業家「テッド・ファロ」の率いる巨大ロボット企業「ファロ・オートソリューション」を中心とする企業群により、有機物を即座にエネルギーに変換できるバイオマス技術が発明され、彼はそれを軍事ロボットに適用し巨万の富を築く。しかしある日その機械たちが暴走、地球の有機物全てをエネルギーとする自己修復および生成を繰り返す機械が人類および地球自然に襲いかかることになる。その勢力はどう抗おうか勝てる見込みがなく、地球滅亡へのカウントダウンが刻一刻と迫る中で、天才科学者の「エリザベト・ソベック」が、現在の人類滅亡を引き換えに、地球環境の浄化と未来の人類の再出発を目指す「ゼロからの夜明け(ゼロドーン)」作戦を発案。高度に発達したAI「ガイア」とその副次機能たちにより、人類滅亡後に地球環境の浄化を行い、浄化を完了したタイミングで、2060年代までの人類の叡智を教育した新たな人類を外に解放することで、再び世界を元通りにするといった1000年単位のテラフォーミングシステムを構築。一見完璧に見えたこのプロジェクトは、自らの技術で世界を滅ぼす現実に耐えられず正気を失ったテッド・ファロが「新しい人類は無垢であるべきだ」と言い放ち、人類の叡智を司るシステム「アポロ」を破壊。その影響で、ガイアの作用により地球環境は戻ったものの、人類は原始的な生活から始めるほかない状況となっていた。

主人公のアーロイはエリザベトの生体認証を突破できる

前作は、上記のテラフォーミングシステムにエラー(想定と異なる地球環境の変化)が発生したときにリセット(絶滅)させる機能を司る副次機能「ハデス」がなんらかの信号によりアーロイのいる時代で暴走し始め、1000年前の戦争で使われた機械たちが再度稼働し始める。その過程でガイアは自衛のために自爆し、その暴走を止められるのはエリザベトの遺伝子を持ち、ハデスを停止させるアルファ権限のあるアーロイのみ。

凍てついた大地でも彼女の活躍は届く

結果的に周囲の部族の協力もあり、機械の襲撃を退けハデスは停止。メリディアンは平和となり、アーロイは周囲から疎まれる「異端者」から周囲の尊敬と羨望を集める「救世主」になったのであった。

そして始まる「禁じられし西部」

メインクエスト序盤までのストーリーをざっくりと。
テラフォーミングシステム「ガイア」の復帰を目指す

ハデスを退けたアーロイたちの世界は間も無く崩壊の兆しを見せ始める。地球環境はガイアによって保たれていたが、ガイア亡き今は環境を保持できるシステムはなく、テラフォーミングシステムの暴走が始まっていた。サン王国で救世主と崇められるアーロイはすぐに「ガイアのコピー」を探し求め、既に半年間彷徨っていたが、一向に成果が上がらず焦燥の日々を送っていた。

外宇宙への進出プロジェクト「ファー・ゼニス」

オープニングで探索する遺構(スペースシャトルの発射場)で、アーロイは前作で宇宙進出および他星系への移住を目指す「ファー・ゼニス」が秘密裏にガイアのコピーを奪っていることが判明。そのデータは盗まれることを見越していたゼロドーンのメンバー、トラビスにより破壊されてしまい、手がかりが失われる。

知識の探究者「サイレンス」彼の真意は前作ではわからなかった。

そんな中、サン王国の王都メリディアンにあったテラフォーミングの受信塔が突如信号を出す。調べたところ、ハデスのデータは持ち去られていた。そして塔を上りその先で現れたホログラム映像には前作のハデス打破への道を開いた知識欲を原動力に動く謎多き男、サイレンスの姿。彼はアーロイに「禁じられた西部」に来いとメッセージを残し消える。アーロイたちのいる東側(コロラド州やユタ州)と西側(ネバダ州とカリフォルニア州)は地理的な断絶および過去の民族の諍いから容易に往来が出来ない状態だったが、カージャ族のサン王国と西のテナークス族の和解の会談を実施することになっており、その流れに乗じてアーロイは単身「禁じられた西部」へと旅立つことになる。

テナークスの逆賊のリーダー、レガーラ

東と西の境界線「焦土の光」でテナークスの3支族の緊張感のあるやりとりがあったものの、カージャの捕虜のファシャーブの助けもあり、通行の許可を得る。しかし、いざ会談のタイミングとなった際に、突如現れたテナークスの逆賊レガーラ率いる「機械獣を乗り回す集団」の襲撃に遭い、カージャ、テナークス共々壊滅的な被害を受ける。機械獣を乗り回す(オーバライド)技術はアーロイとサイレンスしか知らない以上、逆賊はサイレンスの差金であることを確信した彼女は、先ずは持ち去られたハデスとサイレンスの行方を追いつつ、ガイアのコピーを探すこととなった。

ハデスはサイレンスの尋問によりほとんどのデータを吸い出されていた

ハデスとの邂逅と消滅、そして施設の奥でガイアの不完全なコピーを手に入れたアーロイは、ソベックの生体情報を持つ人間にしか開けられないドアを突破されたことに驚きを覚える。その先には、未来的な装飾を身に着けた人間たちと、自らと瓜二つの人間の存在だった。

一切の攻撃が通じない未来人に襲われその場から命からがら逃げたアーロイは、ガイアの再起動に成功する。アーロイのフォーカスから得られた情報をもとに、未来的な装飾を身に着けた人間たちが「ファー・ゼニス」であること、彼らは表面上は失敗とされていた外宇宙への進出し、8.6光年離れたシリウス星系への移住を達成していたこと、そして彼らが前作「Zero Dawn」でのハデスの暴走のきっかけとなった信号の発信源と関係していることが判明する。また、ガイアは素体のため彼らに対抗できるほどの機械の軍団をつくる処理能力を持っておらず、機械製造をつかさどる副次機能「ヘファイストス(前作DLCで登場した暴走して強い機械ばかり作るAI)」を取り込むために、まずは地球環境(水・土壌・生物)を保全する3つの副次機能を回収しガイア本体の処理能力を向上し、その後ヘファイストスと融合する手段で地球を数か月延命させることができるという。

ゼニスとともに現れたエリザベトのクローン「ベータ」

まずはガイアの処理能力を上げるためにアーロイは広大な西部を旅することになる。もうひとりのエリザベトのクローンを連れた彼らの目的は何なのか?逆賊に与すサイレンスの本当の目的は?といった疑問点が徐々に明らかになってくる。

「Forbidden West」で何が変わった?

やはり最高のビジュアルと向上した探索の幅

空を滑空できる「シールドウイング」

私はPS5版でプレイしたが、テレビ側が4K60fps出力に対応していなかったため、2Kのパフォーマンスモードでプレイした。動きはぬるぬるでかつファストトラベルの読み込みがかなり早く、時たま画面が突然ブラックアウトして一瞬読み込みが発生する以外は快適だった。何よりもフィールドが素晴らしくきれいで、フォトジェニックなところを見つければ即フォトモードを起動して撮影するといったのは前作から変わらないどころか、ハードの進化でより良くなったと思う。

機械炉も毎度ながら良いデザインしてます

探索についても、前作よりも縦方向の探索がさらに強化された。フィールド上のかなりの面積の崖はつかめるようになっており(フォーカスで掴めるところをガイドする機能まであり親切)、プルキャスターという特殊装備で崖を一気に登ったり、壁を破壊したり、足場を下ろしたり、物資箱を落としたりとアクションの幅がかなり広がっていてとにかく楽しい、話を進めると高所から滑空できたり、水中に潜って探索ができたり、最後のほうになれば空さえ飛べるようになる。

水中ダンジョンもあり、新鮮。戦闘はできない。

探索の幅が広がったとともに、持てる資源や物資のキャパシティが増えたどころか、余剰分をしまう「保管庫」が実装されたおかげで気兼ねなく△ボタンを押しまくれるようになったのは本当に良い点だと思う。その分今作は矢弾などの資源の消費が激しいのだが、マップ随所にある「作業所=(セーブと武器の改造ができるところ)」で資源の補充が可能なため、物資不足に悩まされることはほぼなかった。

おつかい感が低減されたクエストたち

ドローンの回収など今のご時世に流行っているものを反映している。

前作「Zero Dawn」はクエストといえば、指定の場所に行く→フォーカスで痕跡をたどる→その先で戦ったりする。といったものがほとんどで「おつかい感」がかなり強く、ワンパターン感は正直否めなかった。今作は探索の幅が広がった影響か、やっていることはそう変わらないものの、おつかい感の低減が図られていたように思える。メインクエスト以外にも本編キャラの絡む「サブクエスト」や「サイドクエスト(英語ではErrands=雑用)」、機械の部品集めをする「回収契約」などたくさんあり、飽きることなくプレイできた。

トールネックって倒せるんだ。。。ってなった

靄のかかったマップ情報を開示し、探索の助けになるトールネックについても一工夫が加えられており「はいはい高いところにのぼって背中に乗って上に登ればいいんでしょ」というトールネックが一体しかおらず、背中に乗るためにギミックを解除したり、弱ったところを強力な武器でこかせてオーバライドしたり、トールネックを製造したり、どう考えても下から乗れないやつがいたりとバリエーションが豊かになっててどれもよかった。

トールネックの機械炉もある

機械炉も同様、最後に強敵と戦うという基本的なところは一緒だが、各機械炉のデザインが結構違っており、どれも楽しくプレイできた。また前作ではサンダージョーなどの大型の機械は機械炉が設定されているにも関わらずその機械炉がないためオーバライドできなかったのだが、今作はその機械炉があるおかげでサンダージョーでもストームバードでもファイアクローでも最終的にオーバライド可能になってしまう。

機械炉をオーバライドしても不完全なため、該当の機械の素材が追加で必要
チャージャーに乗ってコースを走る「機乗走」

「機械をオーバライドできる勢力の存在」がいる西部では、それに関連したコンテンツも実装されている。前作だとストーリー中にシャドウカージャでの闘技場イベントと狩場くらいしかなかったが(もっとも、これらはオーバライドしていない)、今作では機械に搭乗しレースができる「機乗走」があったり、闘技場がきちんとエンドコンテンツになっていたりしていてよいと思った。機乗走は個人的に(操作感およびゲームバランス的に)あまり好きではないけど、敵を殴り倒したり搭乗者を弓矢でヘッドショットできるクッソ蛮族レースってのは確かにおもろい設定だなあと感心していました。

戦闘の幅も広がった

今作のスキルツリーは豊富。戦闘スタイルに合わせて強化しよう

前作では、「機械を狩るゲーム」の割に、狩る機械の種類が少なく、高級コイルを集めるためにサンダージョーを狩るくらいしかやることがなくなってしまう(DLCの凍てついた大地で多少改善はされた)のがちょっと残念だったのだが、今作は機械の種類を30種類以上に増やし、また各機械に強化種以外に変異種(Variants)を設定しており、特に不満はなかった。武器種や属性も増えており、前作みたいに「氷のブラストスリングで凍らせて粘着爆弾や長弓でドーン!」みたいな一辺倒な戦い方にはならず、敵に合わせて追加された状態異常「酸」「呼水」「暴走」「プラズマ」「粘着」などを活用して戦えるようになり、前作以上にフォーカスで敵の弱点や部位を突くことの重要性が上がったように思えた。

強力な「義勇」スキルで戦闘を有利に進めよう

また、今作では「武器スタミナ」と「義勇」というパラメータが追加され、前作ではいつでも弓の複数打ち(マルチショット)が出来、実質ノーコストで強力な矢撃ができたのだが、今作ではマルチショットなどの複数打ち機能や、粘着のブラストスリングの粘着機能といったものは武器スタミナを消費して発動するものになっている。また、スキルツリーを成長させることで「義勇」スキルを獲得できるのも今作の特徴で、一定回数矢の火力が上がる、周囲に衝撃波を飛ばす、近接攻撃を強化する、ステルス能力を大幅に上昇させるといったことができ、ここぞのところで発動して戦闘を有利に進めることができるようになった。

敵もしっかりと武装を固めている

また、今作ではテナークスの逆賊という勢力がある都合上、対人戦の機会も増えており、アーロイの近接攻撃に「コンボ」の概念が追加され、今までのR1弱攻撃、R2強攻撃のボタンの組み合わせ(一部ディレイ入力やホールド入力、方向キーの組み合わせにより、盾崩しや連撃、範囲攻撃や飛びのき弓矢コンボといったアクションが楽しめる。また、敵も頭を防具で固めてたり、デスブリンガー砲をぶっ放してきたり、盾を展開してきたり、同じ攻撃ばかりするとパリィしてきたりして、上記のコンボを活用して戦えというメッセージを感じた。

ゲームプレイに関する感想

ヴィスタポイント。前作のヴァンテージポイントに相当する。

探索面については、上述のとおり前作よりも広く、高さ方向への探索が広がったことで終始楽しくプレイできたし、戦闘面も手数が増えたことでやれることが多く、闘技場などのエンドコンテンツも備えており前作に比べて楽しめるところが増えていたのがよかった。また、保管庫の存在や素材集めにもフラグ管理ができるようになっており、プレイの利便性はすごくよかった。

但し、困ったことに不具合も目立ち、特にメインクエストのフラグ管理にかかる不具合(所定の位置にターゲットが出てこず、全然関係ない場所にスポーンしているせいでその位置をマップを練り歩いて割り出さないとと永遠に詰む)や、槍攻撃ができなくなるバグ(7回発生)、一瞬画面がブラックアウトする(しょっちゅう)、敵が地面を突き抜けて地中に落ち攻撃不可能となる(3回発生)、収集要素の鉄の花を解除したところに収集物が存在しないせいで一生回収不可能となっている。など、前作ではほぼなかったバグが今作はよく見られた。ゲームのボリュームが多く細かな不具合がたくさん出ることは仕方ないところかもしれないが、クエストクリアできなくなるようなバグは出てほしくなかったのが正直な感想です。

スロータースパインのデザインすき

また、これは私のプレイングの問題だと思うのですが、武器が増えたせいでその武器や改良矢弾を活かしきれないままゲームを終えてしまったので、もう少し早い段階で改良矢弾が出るようになってほしかった。というのが正直な感想です。属性のキャニスターハープーンとかスタッガートラップキャスターとか使わず終いです。

このゲームは難易度の調整が任意で、ゲロ甘からベリーハードまであるので、私みたいにストーリー中心で楽しもうと考えているプレイヤーは迷わずノーマル以下の難易度にすればいいと思います。

ストーリーに関する感想

アーロイの変化

前作のアーロイは、異端者として歩んできた人生から基本的に「ひとり」で生きており、メリディアンを救い救世主となった後も世界の異変に対応すべく、シャトル発射場でついてきたノラ族の仲間ヴァールさえもメリディアンに放置して西に向かってしまうくらいには「ひとりで何とかしないと」という使命感で動いている。

エリザベトも内に孤独を抱えて生きていた

その孤独はエリザべトにも通じており、希代の天才で結果的に人類を救うこととなる彼女も、良き支援者に囲まれつつも真の意味で他者に心を開くことがなかった。

信頼できる仲間との出会い

今作では最初は孤軍奮闘していたが、窮地をヴァールに助けられたことをきっかけに一人で戦うことへの限界を感じ始め、前作の数少ない理解者や、部族の従来のしきたりに囚われない価値観を持った新しく出会った人たちと、ガイアのいる拠点に招き、フォーカスを渡して滅亡前の知識を共有していくといった変化が出てくる。

人間の力を信じ、一緒に生きていく

仲間想いながら、最後は自己犠牲を払い孤独を貫いたエリザベトと、仲間と一緒に戦い抜く決断をしたアーロイの対比が、エリザベトが持つ役割の終わりを象徴しているように感じた。

マイナス思考ながら、いざという時の行動力が高いところにリズの片鱗が見える

また、今作ではエリザベトのもう一人のクローン「ベータ」とアーロイの対比構造も象徴的だ。まるでエリザベトの生き写しと言われるレベルの強さを持ったアーロイに対し、ファー・ゼニスに養育されたベータは高い能力を持ちながらも引っ込み思案かつマイナス思考で、当初はアーロイもそういった態度を見せるベータに対しうんざりしていた。ベータにとって、フォーカスの記録越しに見るアーロイの姿は、同じように孤独な育ち方をしたにも関わらず弱さを見せず生きている強い女性であり、それに対して自分は弱く失敗作でしかないと思い込むようになる。アーロイはそんな彼女に対し、自分にも弱さがあるが、窮状となっても合理的に考え戦い抜くことを教えてきた亡父ロストの存在が原動力となっていることを教え、ベータに弱さと立ち向かう勇気を授けることとなる。

ヘファイストスの捕獲は二人の共同作業なしではできなかった

自らの弱さを克服したベータは、彼女にしかできないことをすること、つらい状況でもアーロイを信じ耐え忍ぶことを誓い、アーロイもそんな彼女を「妹」と呼ぶようになる。エモい。

ファロについて

前作で地球環境の破滅を招き、「ゼロからの夜明け」作戦の非常に大事な機能をぶち壊しながら行方をくらませるという全世界の悪扱いされたテッド・ファロが、ゼロドーン作戦以後どうなったかといった話が本作で分かるようになるのだが、これでもかってくらい醜悪に描かれていて面白かったので、これについては詳細なストーリーを紹介したい。

さすがに趣味が悪すぎる。

テッド・ファロは開発した機械の愛称をスカラベ(コラプター)やケペシュ(デスブリンガー)やホルス(タイタン)など自らの製品にエジプト由来の名前を付ける趣味があるのだが、その趣味はゼロドーン以後にも受け継がれる。彼はサンフランシスコに自らを王(=ファラオ)と称えるようなシェルター「テーベ」を建設し、愛人を囲い爛れた生活を送っていたことが判明する。そして、すでに正気を失っていたファロはその気をさらに加速させ、住人全ての脳に生命のOFFスイッチを埋め込み、ファロが気に入らない人間を強制的にシャットダウンさせてしまうという惨いことを平気でやってのける。その一方で、ファロ自身は永遠の命を得ようと側近に研究を続けさせる。

テッド・ファロを「偉大なる始祖」と呼ぶ民族の存在

ファロに心酔し、自らをファロの魂を受け継ぐ人間だと自称するシーオの存在もファロの人間性の醜悪さを引き立たせる。シーオもファロと同様に利己的で自分勝手な思考を持ち、ファロの真相を伝えようとしたアーロイでさえも「ファロそっくりだ」と認める始末。

新しい世界で崇め奉られる存在になろうとしていた

ファロが永遠の命を得ようとしたのも、アポロの知識を吹き飛ばし自らの罪を隠したうえで、何も知らない純粋無垢な新人類に知恵と導きを与える。すなわち新世界の神になろうとしていたということが判明する。そして、彼は自らのことを「天才はいつも孤独」と独白しているが、「自己犠牲で自ら孤独を選んだ」エリザベトと、「自分勝手で自ら孤独になっていった」ファロの人間性の対比をまざまざと見せつけられて最高だった。

そんなファロは最終的に1000年以上の間、人ならざる者への変貌を遂げ生き延びており、シーオの側近にあっさり焼き殺されてしまう。あれだけファロに心酔していたシーオは一瞬で冷めた上で口封じをすべく同行者全員を殺せと命ずるあたりマジでファロってる。そしてシーオは崩壊するテーベから脱出中にファロの像の頭につぶされて死ぬ。ファロは転生さえも許されない存在であるというのを具に表したシーンだと思う。それほどファロには同情の余地もないってことですが。でもシーオをキャラクター図鑑に入れないのはさすがにやりすぎじゃないすか?笑

ティルダについて

利己的で、妄執の象徴として描かれた

アーロイたちが今いる世界がなぜ危機的な状況であるかの原因が、彼らにあった。秘密裏にシリウス星系の移住を成功させた彼らは、1000年以上生き永らえてきた不老不死の存在であることが判明する。スーツのバリアにより肉体的なImmortallyを保障された彼らは、数百年にわたり仮想現実の世界に浸るという現実逃避の極致に至った存在となっていた。彼らの真の目的は最後の最後まで明かされることはなかったが、その中でもゼニスを裏切りアーロイサイドについた、かつてのエリザベトの母代わりであり恋人でもあったティルダの存在は欠かせない。ティルダはリズ(エリザベトの愛称)とBroke-upしてから1000年以上リズのことを想い続けるというスケールのでかすぎる妄執を抱えた女性として描かれている。ちなみに当のエリザベトは「ティルダとかかわったのは失敗だった」と述懐しており、なかったことにしたい記憶として残っているようだ。

レンブラントの油絵の質感すんげえ

ゼニスでエリザベトのもう一人のクローンであるベータに干渉し趣味のオランダ絵画を押し付け自分好みのリズに仕上げようとしたが、内面があまりにもかけ離れていたため見限ってしまった。その後、地球で出会ったアーロイの行動力、決断力、リーダーシップを見たティルダは彼女を「リズの生き写し」と呼び、ゼニスを裏切ってでも協力すると申し出る。

プレイしてて「こいつヤバッ…」って声が漏れたシーン

結局彼女は(自分のことが大好きな)エリザベトと理想の世界を築くことにしか興味がなく、拒否されても聞く耳を持たないあたり、不老不死という究極の欲望を手にしても人間の欲って尽きないよなって思いました。

今後の展開について

今作で、ホライゾンシリーズのラスボスの存在が明らかになった。肉体的でなく精神的なImmortallyを目指したゼニスは「ネメシス」という任意の機械に精神をアップロードできる精神体を作り、その精神体が歪んだ価値観により狂い、ゼニスは瞬時に滅ぼされてしまう。さらには地球への逃げる生き残ったゼニスを滅ぼすべく、まずは地球のテラフォーミングシステムを破壊するための絶滅信号をハデスに送信、そして自らもゼニスにとどめを刺すために地球に向かってきているという状況がわかった。ゼニス亡き今ネメシスはただただ無差別に全てを滅ぼそうとする存在へと成っており、アーロイたちはそれらを迎え撃つこととなる。

利害関係からくる協力から次のフェーズへ進む

今作はゼニスとの闘いに関し、各サイドの利害関係がたまたま一致したからサイレンスやティルダと協力したまでで、アーロイ含めお互いに最後まで胸の内を明かすことはなかったし、実際最後にティルダは自らの妄執を明かし、サイレンスは黒幕の存在を知ってながら道中で明かすことはなかった。

前作、今作で部族間の諍いと機械文明や未来文明との闘いといったものがひと段落つき、次の作品からは「人類共通の敵」と対抗すべく全部族が一致団結し共闘する展開となるが、今のところ絶望的な展開しか考えられないのですが、どうするんでしょうね。ヘファイストス逃がしてしまったからまた強力な機械が出来てしまうことは間違いないですし。。。

機械と共生することもできるようになるだろう

今作のストーリー、私個人の感想としては、世界の全容が明らかになってきた前作ほどの感動はなかったし、逆賊のレガーラがいまいち魅力が出ない敵キャラで最後までかませ犬で終わってしまったのがかわいそうだなと思ったところはあったが、地球の負の遺産にケリをつけエリザベトの役割が終わり、孤独だったアーロイが仲間を得て、絶望的な状況ながら次のフェーズに向けて前向きに戦うことを決断するといったアーロイの成長物語で、十分に面白かったと思う。次の作品ができるかはわからないが、楽しみに待ちたいと思う。

余談

追加コンテンツはあるのかな?

2023/4/23 DLCについては以下記事に

一応ほぼすべてのクエストを埋めたつもりではあるのだが、スキルツリーのスキルポイントが結構足りてないので、もしかしたら追加コンテンツがあるかもしれない?公式情報見てないのでテキトーに発言していますが。

2022/4/21追記 闘技場でなぜか再度挑戦をこなすとスキルポイントが増える仕様(?)となっていたので、もしかしたらないかも

2023/4/23追記 DLCでスキルが追加されたため、レベル60までのスキルポイントでは全てのスキルの習得は不可能です。ただし、スキルポイントは振り直しが可能です。

話し言葉について

私個人はSFの細かい設定の整合性がどうとかはあまり興味がなく、話が面白ければオールオッケーというスタンスなのだか、よく思えばこいつら違う民族なのに何でフツーに会話できてるのか、とか、過去のホロデータや音声データの会話内容を何故理解できてるのか。とか前作のゼロドーンでは特に疑問を持ってなかった(話通じなかったらストーリー進まないよねって言えばそうなので)。
しかし、今作では西側のみならず、海を越えたさらに西方の民族(恐らくハワイ系)でさえ言葉が通じることにちょっと疑問を覚えた。文字としてはカージャやオセラムで異なっていることは世界のデータポイントで読み取れるが、話す言葉の実態については、今作クリア後に拠点にされていたアルヴァのデータポイントで判明する。
そのデータポイントによると、学習機能のアポロが失われた影響で、各エレウシスではマルチサービターによる最低限の学習しかできなかったため、新人類(今のホライゾン世界のご先祖たち)はひとつの言語しか学ぶことができなかった。とのこと。元々は各エレウシス毎にマルチリンガル教育を行い、もとの世界のような多様な言語を話せるようにしたかったらしい。恐らくその言語はアメリカ英語であり、そのお陰でアーロイたちは過去のデータを読み取れるのだろう。なんか無理がある気はせんでも無いが…(言語は変化していくものだと思っているので)

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