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小説投稿サイトとエイリアネーション

前回も書いたけど、小説投稿サイトにライトノベルをアップしました。で、それが5月20日で、6月3日には2作目となるSFをアップしました。まだ投稿サイトの文化に順応しきっていないので、色々とその文化について考えたことを書いておきたいと思います。新作のリンクを貼っておきます。

 理由があってノベルアッププラスのみに投稿しているので、まだ他のサイトのことはよく知りません。他サイトにしかない企画賞などもあるので、そのうち転載するかもしれないですけど、今のところまだその気はないです。なお、複数の投稿サイトに転載するのも割と自然なことらしいです。

ストックではなくフロー

さて、上記2作品は完結まで一気に書いて全話一挙公開しました。でも、投稿サイトではそれは推奨されない行為です。新しい話が公開されると、新作として上位表示され、結果としてPVを稼げるようになっているので、仮に完成させていてもタイマー公開するのが通常のやり方だそうです。まず、その文化に馴染みがありませんでした。

そして、連載で読まれ続けることが重視されるため、恐らく単話ごとに続きが気になるような構成にする必要があります。マンガであれば、読切ではなく週刊連載のような構造が望ましいということでしょう。昔から僕の作風を知っている数少ない友人は分かると思うけど、僕は基本的に寓話的短編を作るのが好きなので、まずそこにギャップがあります。

また、投稿サイトの作品設定で「完結」させるとフラグが立ち、最近完結した作品の枠で上位表示されます。これは見てもらえるチャンスなのですが、僕の場合、初公開と同時に完結設定しているので、そのブーストもほぼありません。投稿作品数が膨大なので、ロングテールだとか言ってマニアックな人が後から見つけてくれることはあまり期待できない。とにかく現代人はフロー勝負で、その波に乗る必要があるようです。

バックリンクとコミュニケーション

そういう中で、何人か書いている人を見てみましたが、みんな自分なりのマーケティングをしています。メインはtwitterで告知だと思うのですが、相互にフォローしてRTしあうコミュニティがあり、そこでのコミュニケーションによってインプレッションが向上するようになっています。なので、面白いツイートでバズれる人や、やり取りが上手い人は、作品の評価も伸びます。僕、面白いツイートとかあんまりできないんですよね。

Twitter上では他にも、色々と投稿者同士の交流用のハッシュタグがあり、一度僕も「#RTした人の小説を読みに行く」というのをやってみました。ちゃんと感想を書くと言ったので大変でしたが、Twitterのフォロワー様は少し増えたし交流もできました。ただ、少し疲れたので次やるのはもう少し先になりそうです。

そういうことで、僕の場合、こういう別ブログからの流入を狙う方が向いていると思います。Noteで僕の記事が表示されるような人は、似たタグを付けて近い文章を書いている人でしょうからね。今回なんかマルクスのタグつけますから。

評価ポイントと疎外

投稿サイト内では、独自の評価制度があり、ノベルアッププラスの場合には、応援ポイントという形式です。言葉よりもスタンプでポイントを投げ合い、なるべく現代的なコミュニケーションで交流を促すように設計されているようです。なお、僕の新作は現在応援ポイント0ですね。はい。

ノベプラは、のべらちゃんさんというマスコットアカウントもいて、投稿するとRTもしてくれます。そのアカウントの存在でリテンションを高めているとは思うのですが、いや、のべらちゃんさんとは仲良くしたいんですがね・・・。飛び交うポイントを見ていると、創作活動はこういう形になってしまったのだなあ、と思うことがあります。

いいですか? 労働の外でやってる生きがいがポイントで測られるのは、端的に言って商品フェティシズムの全体化による創作活動の疎外Alienationですよ(唐突なマルクス)。もちろん、その内部にいる人々がその物象化に無自覚なわけではなく、織り込み済みでシステムに乗っかってるわけです。でも、どうせ僕は応援ポイント0なんで、下部構造から攻めていきますよ!

それでも伝えたいことがある

ということで、ここからは、無名投稿者の戯言です。僕にとって自分の小説がどういうものかを再定義し、今後の小説投稿サイトに対する方針を書きます。

僕にとって、作品はそのメッセージ、特にその倫理性で評価されます。メッセージがなければ存在しないのと同じ。完結してもしてなくてもメッセージがあるものは存在してるし、無いものは存在してない。投稿サイトには昔から「エタる」という表現がありますが、エタっていようがいまいが、伝えようとしたものがあったかどうかが全てだと思います。

僕の場合、今のところの2作品は、どちらもメタヴァースが主題の一つでした。「ユニヴァースに戻れ」だけだと年寄りの説教臭いのですが、2作品セットにして、多少は複雑なことを言えたと思ってます。つまり、少なくともメッセージがあるという点で、僕は自作に満足しています。満足してなきゃ出さないです。もちろん、他の投稿者の方も同じでしょう。試しに書いてみたと言ってる人だって、自分では面白いと思って出してるはずです。

そして好きな伝え方がある

で、最初にも書いたけれど、僕は寓話的な話を書くのが好きです。テーマに沿ってシンボル、パラレルを沢山繋ぐ作風で、レトリックよりも抽象的関係性を重視します。1作目は、1幕と2幕を折り返して裏表になるように書けたし、2作目の方は主題以外の部分を削ってコンパクトにできたところが気に入っています。

小説は読む人の時間を食うので、効率は大事です。ノベプラの目安時間以内で読むとして、2作目は30分=アニメ1話分の中に、それなりの抽象概念を凝縮できたと思います。説明も省きました。「信用してるから説明しない」方が、好きな人にはウケるはずです。

Twitterの投稿者界隈では、何文字書いたか言い合っている人も多いのですが、正直、僕にはその感覚はよく分からないです。忙しい人の時間を使って読んでもらい、大事なメッセージを届けたいんだと思っていたら、文字数は少ない方がいいに決まってるじゃないですか。ミク歌を作ったりマンガを描いたりしてたのも、届きやすいと思ってたからです。

でも届け方は分からない

でも、Web小説の評価システムは、単話ごとに出して面白くないと伸びない。長時間かけてコミュニケーションをしないと伸びない。それをせずに完結一括更新している僕のやり方は異星人Alien的だし、その自己満足のメッセージは、少なくとも一気に読んでくれないと伝わらない。これはなかなか悩ましい。そういう技巧が許されるのは、本当に小説が上手くてファンがいる作者だけかもしれない。

ということで、せめて似た人に届くように、こちらのブログで宣伝してみることにしました。もう1回、リンクを貼っておきます。このブログを最後まで読むような人なら、ぜひ両方読んでみてほしいです。併せて読んで面白いような作りにしたつもりです。

1作目は、登場人物全員が数学者の名前になっている異世界ラブコメで、参考文献にジョジョとウエルベックと柄谷行人が載ってます。2作目は、ミソジニーと原子力発電を風刺したSFで、ダンテとフランシス・ベーコンが微妙に参照されています。どっちもR15ですがエロシーンがあります。

そういうことで、よろしくお願いします!

Image: stable diffusion

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