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シダネルとマルタン展内覧会

午前中は、家を出るギリギリまでメトロポリタン美術館展の記事原稿の執筆。
そして午後は、SOMPO美術館の「シダネルとマルタン」展の内覧会へ。
振り返ってみても、強行軍だったように思う。
展覧会の内容も良かっただけに、万全の状態で作品と向き合えなかったのが、少し残念かもしれない。

以下、簡単に感想を。

・今回の主人公は、アンリ・シダネルとアンリ・マルタンという、19世紀後半から20世紀半ばにかけて活躍したフランスの画家たち。
印象派の光の表現に影響を受けた画風から、共に「最後の印象派」と呼ばれる。
 しかし、実際は、印象派以外にも、当時ヨーロッパで流行した象徴主義から観念の表現を受け継いだ他、身近な人や風景を親密さでもって描き出したことから、「アンティミスム」にも分類されるなど、19世紀後半に現れた様々な美術の潮流を取り入れながら、オリジナルな世界を作り出していった観が強い。
 面白いのは、二人とも最初は国立美術学校で、保守的なアカデミスムの師に学んでいたこと。
 しかし、そこから飛び出して、シダネル(上)は北フランスの柔らかな光、マルタン(下)は南フランスの強く明るい光にインスパイアされて、対照的な画風を形成していく。

展覧会冒頭に飾られた二人の絵からは、空気の温度や質感すら漂ってくるかのようだ。

タイトルが「シダネルとマルタン」と付けられ、二人の間には実際に交流もあったようだが、あまりべったりした感じはない。
時系列順に、それぞれに焦点を当てた章を交互に配することで、コントラストが生まれ、メリハリの効いた構成になっているのが印象的だった。
私自身は、明るい色彩のマルタン派だが、一方で、展覧会中盤に展示されていたシダネルの食卓シリーズに惹かれるものを覚えた。

人の姿を描かず、並んだ食器によって暗示する、という手法が良い。
部屋に飾ったら、ずっと眺めていられるのではないだろうか。
この食卓シリーズは、シダネルの「顔」とも言うべき存在らしく、30点はあるそうだ。
また、後年の、ヴェルサイユを舞台に描いた風景画も興味深い。(そこで描いた油彩画が約130点、というのにも驚かされる。一度気に入ったら、トコトンはまるタイプなのだろうか?)


マルタンは、色が良い。(特に赤と緑!)

こちらの崖の上の教会は、マルタンお気に入りのモチーフだったらしいが、同じ南フランスが舞台のためか、セザンヌの作品を少し思い出した。


シダネルもマルタンも、今までほとんど知らなかった画家だが、今回新たに開拓できたことを嬉しく思う。


・・・・・・記事企画、どうやってまとめようかな。(笑)

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