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DSDsの話.1-自身の身体状態とよくある誤解など-

はじめに

DSDs当事者としてのお話もいくつか記事を書けたらいいな、と思っています。本記事は全文無料にて公開しておりますが、何かしら参考になりましたらご支援頂けると助かります。

七星あずさの病歴について

私は女性のDSDsである"ターナー症候群"の当事者です。出生時にその合併症と考えられる先天性甲状腺機能低下症と診断され、3歳頃までは甲状腺ホルモンの服薬をしていました。服薬終了後も大学病院での経過観察は続き、幼稚園児の頃から背の順は常に先頭でした。中学一年生で成長スパートが見られないことから染色体の検査に至り、中学二年生で核型が45X0/47XXXのターナー症候群であることが判明しています。その際に卵巣があること、ターナー徴候やその他の合併症が無いことも確認されています。その後はヒト由来成長ホルモンの自己注射を約1年間行いました最終身長は140cmです。高校生の頃には自傷行為もあり、適応障害としてのカウンセリングと投薬を受けた経験があります。気が向いた時に女性ホルモンの値は見てもらっていますが、幸運にも卵巣があり、大きな合併症が無いため現在は健康体です。甲状腺も元気です。

七星あずさの性別について

わざわざこんな項目を設けること自体がおかしな話ですが、もちろん女です。70%女だの身体性別グラデーションだのは大間違いで、ただの女です。物心ついた頃から現在まで一貫して、女以外で認識された経験も身体が女以外の何かだったことも、全くありません。友人と何度か温泉の女湯にも入りましたし、転入時にはガスの手続きミスで近所の銭湯の女湯も利用しましたが、身長以外で健常女性と大きく違う部分は特に感じませんでした。出先のトイレ、公衆浴場などで困った経験は皆無です。性別二元で全く困っていないことは知ってもらえたらな、と思っています。ターナー症候群に典型的な核型は45X0ですので、Y染色体を持たないため明確に女児の病気なのです。ただ、過去にはいい加減な診断による男性症例も存在したようです。DSDsについては数が少ないためか、専門医以外だとあまり詳細を知らなかったりします。小児科医監修とされる記事にさえ、"半陰陽ってご存知ですか?"などと差別用語が未だに使われる始末です。

Natureにもターナー症候群について、"XYからY染色体が失われた"などと誤解を招く説明が書かれています。

私はターナー症候群ですが、異性一卵性双生児の片割れなどではありません。80%は父親由来のX染色体の欠損によるものとされています。

ですが、これでもターナー症候群は思春期に判明する主なDSDsの一つとして割と知られている方の疾患なのです。

七星あずさは子供が産めるか

私には卵巣も子宮もありますので、YESかNOかの二択であればYESと答えるべきでしょう。私に告知した医師からは不妊宣告を受けていますが、現在では不妊治療の技術も豊富なはずです。治療を受ければ自分の遺伝子を残せる可能性もゼロではないのだろう、とは予想しています。ただ染色体異常は発生しますから、妊娠継続はあまり望めないものと考えています。医師も私自身も妊孕性について、正確には把握できていません。最近になってようやく気が付きましたが、そもそも私は子供がそんなに好きではありません。

DSDs/ISには性別が無いのか

性別はありますし、我々の身体は中性や間性でも両性でもありません。DSDsには男性のDSDsと女性のDSDsがあり、身体も男女どちらかです。ただし疾患によってはすぐに判別しづらいケースも存在する、それだけの話なのです。それも現在ではきちんと判明します。個人的には"男女の身体バリエーション"という表現ですら好きではありませんが、つまりはそういうことです。私に言わせれば"バリエーション"や"身体の多様性"というよりも、"ただの疾患持ちの普通の男女"というだけのことです。NHKの番組で取り上げられた、身体性別グラデーションは誤りです。心の性別はグラデーションになるのだと思いますが、身体にはありません。DSDs/ISにも色々な人がいる、などと言われますが、そりゃそうだとは思うもののそれは完全にその方のアイデンティティの話ですから、きちんと分けて考えて頂きたいのです。身体についてはDSDs/ISであっても、男女どちらかだという事実だけが存在しているのです。私は身体中性を名乗るDSDs当事者について、例え診断書をお持ちだとしてもその行動を良くは思っていません。その人が自分を身体が中性だと考えるのはアイデンティティの話(=Xジェンダー、ノンバイナリー)であって、身体の事実とは異なるのに混同しているからです。DSDs/ISも身体は男女どちらかです。

DSDs/ISはLGBTQIA+でセクマイか

DSDs/ISそれ自体はセクマイともLGBTQ+とも無関係ですし、私自身もセクマイではありません。ですが、DSDs/ISの一部にはセクマイの方が居ます。トランスジェンダーの方も居ます。ですが、それは生活習慣病の人にもセクマイが居るのと同じことです。生活習慣病の人=セクマイと考えるのは誤りであること、生活習慣病がセクマイとは無関係な疾患であることは理解できると思いますから、DSDs/ISについても同じことだと知ってもらえたらな、と思っています。

ISは差別的な用語なのか

ISという呼称は差別的だから、DSDsでなければいけないのか?と考えておられる方も居るようですが、私に関してはISという用語に特に忌避感があるわけではありません。間性という和訳が実態にそぐわないため私はDSDsを使いますが、差別的とまでは考えていません。半陰陽や両性具有などと呼ぶのは明確に差別的とされます。私はこれらの言葉について、DSDsも含めてあまり自分のことだとは感じていません。私はターナー症候群ですが、当事者でありながらDSDsのことは最近まで詳しく知りませんでしたから。

両性具有が出てくる創作物は差別か

これは個人の感じ方によるのでしょうが、私については創作は創作として明確にされていれば全く構いません。そもそも、両性具有を自分のことだと思ったことなんか一度もありません。現実のDSDsについて両性具有と呼ぶのは差別用語、というよりも誤りです。そもそも、両性具有は現実のDSDsとは全く異なる存在ですから、混同されても意味が分かりません。DSDs=クマノミやカタツムリ並みの意味不明さです。我々は一番大きい個体がメスになるわけでも、雌雄同体なわけでもありません。どうしてもヒト以外の生き物を出したいのであれば、雄の三毛猫はクラインフェルター症候群だ、くらいに留めておいて下さい。私については両性具有とDSDsは全く無関係だと思うので、創作であればお好きにじゃんじゃんどうぞ、という考え方です。表現の自由は好きです。

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