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俺流読後かんそう文・鈴木涼美氏「グレイスレス」

 01/22 追記
 御礼 / たくさんのお運びに心より御礼申し上げます。どうか笑って読んでやってください。こういう場所です。本編同様、かんそう文も楽しんで頂ければ本望です。本当に有り難うございます。


以下かんそう文の初稿 

こちらの先生のことは話題というレベルにおいては聞き知っていたものの、当然という言葉を持ち出すと叱責を受けそうでもあるが、作品を読むのは初めてのことになる。未明に読了したのでかんそう文を一本仕上げておきたい。これはわたしにとって作者の名前と作品名が備忘録に刻まれた瞬間ともなる。例によってギッチリ思い込んだところからの"かんそう文"。そんな読み方もあるのか程度に落ち着けて欲しい。

 まず作品の仕上げの方向性において感じたことは【音の鳴らない風鈴と音の鳴る鯉のぼり】が幾つか作中に散りばめられていることだ。例えばを幾つか紹介しておこう。
a)ポルノ男優とポルノ女優
b)新人女優とベテラン女優
c)女によって調教された男と女を調教しようとする男
d)母親と祖母
e)仕事現場と自宅
 などなど、対極の存在を散りばめることによって作品の持つテーマを感じさせる手法を踏襲している_________と感じられ、この辺りの気配の作り方はわたしの好きな"やり口"であることから『ムフフ……そうなるわなぁ~』と始末をつけることが出来た。

 1/25 02:35 追記 思っても感じていても書かないことってあるわけで。
でもやっぱり書いておこうというヤツだね。誤解されるのも怖いし(笑)
 あのね、対極に置いた存在の「拾いが甘く感じられる部分」があると思うのね。例えばポルノ男優のこととか、父親のこととか、主に『男』に関する拾いは甘く薄くしていると感じた人が居ても不思議はない。だから"チェーホフの銃"的観方をすると"効き"が今一つに感じられる人がいても当然なのかなと考えるわけです。ただね、わたしの読み方から行くと、女にとっての________主人公にとっての倫理観という切り口が主体ですからね~ そう読むと効きを楽しむ目は持てそうだよね。
『あんたたちの都合に構ってらんないのよ。あたしにゃあたしの都合と倫理があるのだから』と眺めると落ち着きは悪くは無いと思えるのかなぁ。

 テーマは大きく分けて二つ垣間見ることが出来た…… ただ、このテーマは読み手の置かれた立場によって感じられるものは違うだろう。わたしの場合、二つ窺えたテーマのうち、一つは作品の三分の二のところで話は完結しており、最後の二ページは予定調和と「キメ塩」と落ち着いた。
 細かくは書かぬが、分かる人が分かれば良い話しとして記すと、昨年九十九歳で大往生された、瀬戸内の婆様のアイデンティーを鈴木涼美流にサラリと流し込んでいる。
 首の皮一枚で繋がっているつもりの"男社会"に対するアンチテーゼだ。
 実のところを書かせて頂くなら、作品自体は全くエロクもなく、グロくもない。色気もなければそっけもない。とてもではないが「エロ小説」「おかず」になるような代物では無い。むしろ、無機質。
 好色の系譜に載せられるようなものではない。野坂先生や近啓先生が怒るだろうし、荷風ならば卓袱台を返す。吉行は顔の横で煙草を持った手の親指を顎に添えながら「フフッ」とにやつくのか。

 アンチテーゼを機能させるために必要だったものが「倫理観」だとするのなら、作品が"アツく"なることは逆効果だ。むしろ無機質なものであり、淡々と進めることによってアンチテーゼは浮かび上がり機能をみせる。この辺の書き口は"流石だ"と感じられた。同時に、このテーマの一つを最後まで引き摺らずに三分の二…… 五分の三程度のところで終わらせているところも面白く読めた。先ほども書いたが、ラスト二ページは予定調和であり味を決めるために打つ塩と読める。
 作品をあえて章立てせずに一本通しで仕上げたのには、この辺りの匂いを消したかった……という作者の思惑が感じられる。
 章立てにするとテーマが章ごとに分散してしまうのが見え見えになる。通したテーマと中盤部分までのテーマ。
 そう読むと地文にも無駄は無いと思える。わたしの場合の話しだが、そう読まないと作品の理論がもたないと感じられたのだ。結果的に中盤までのテーマを浮かび上がらせるための理論を"通し"の中に活かすことが出来たのではないだろうか。そのためにはあの無機質な感じが必要だった~と読めば落ち着きは良い。

 さて、通しのテーマとして感じたことは読んだ人それぞれが感じるべきものかもしれないのでここでわたしが触れることは留め置く。

 文藝春秋さんは獲らせたかったのだろうね。今回。

 今回、わたしは初めて読ませて頂いたので、面白さを今一つ感じ切ることは出来なかった。多分、他作を読み込んでから読んでみると面白さが分かる作品かもしれない。
 がどうだろう。文藝の世界も思っていること感じていることを男女問わず書けるといいよね。多分、鈴木涼美氏も「バカバカしい」思いを沢山しておられるのではないだろうか。

 わたしの場合、読んでて面白いと感じられるのはやはりこういう系統なのだわ。全部書かないやつ(笑) 何が言いたいのよ……と考えるもの。
てかね「気配」や「伸びしろ」「余白」って自由でいいでしょ?
あくまで趣味嗜好の話しね。
わたしだって、エンタメ結構読んだもの。
純文とエンタメ並べた時に読み方違うからね。わたしの場合。

今回の鈴木涼美さんの「グレイスレス」。恩寵は無い… 失くした恩寵
恩寵なんかあるわけないし… となるかな。
 さっきも書いたけど、一番最初に手にする作品ではないというのが感想
何作品かを読んでから「グレイスレス」を手にすると面白味は分かりそうだよね。

世一

どなたか読まれた御仁がいらしたら、感想を勉強させてくださいね。
コメントあたりに投げ込んで頂ければ有難いです♬


 

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