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随想好日「Over Tourismに対する考え方」

インバウンドの伸びが堅調である。これ自体は私どもにとっても有難いことであり、文句を申し上げる筋合いではないものの、残念なことに三年に及んだコロナ下で事業から撤退したクライアントさんや、縮小したクライアントさんなどもおられ、コロナ以前のサービスが提供できているかと云えばそうでもなく、契約が解除や休止のまま停止していたり、わたくし個人の病気などもありコロナ前と同様のサービスは厳しいものとなっているのだが。

さて、朝のワイドショーなどを見ているとオーバーツーリズムについて声高に報じている番組も見られる昨今なのだが_________。
 この言葉自体、日本のそれぞれの地域に住まう人たちから見た言葉であって、観光客、インバウンドツーリストの立場に鑑みた言葉ではないのは理解いただけることだろう。

 "ここ"に住まう良識と知見に溢れる皆さんであるのならご存知の通り、「観光先進国」と云われる国に存在して、我が国に存在していないシステムがあるのだが、それが「ツーリストポリス」だ

残念だが、日本にはそのシステムが無い。
わたしは既に十年以上前からツーリストポリスの制度策定と設置を提唱してきているのだが、日本はいまだに手をこまねいている。

手をこまねく考えられる理由(問題点と課題)となると________
※財源の問題
※人材の問題
※訪日ゲストのシーズナリティー
※職務分掌上の棲み分け
※言葉の問題

等々が上げられるだろうが、自国民の生活を守りつつインバウンド市場からの利益享受を願うのであれば、オーバーツーリズムという都合から派生した言葉を使う前に、適切な受け皿を構築すべきが義務ともいえるだろう。
ここに列記した問題点や課題は概ね解消可能な条件ばかりだ。
要するに、最初のタタキ台を作ることが大変なだけであり、概ね解消可能なことばかりなのだが。

大阪万博、IRなどツーリズムマーケットと密接なかかわりをみせるイベントやインフラが登場を控えている。
自国民の安全で安心な生活を守り、インバウンドゲストの安心で安全な旅を守るためにも、国は早急にツーリストポリスの制度策定に汗して欲しいものである。

この世で起きることなどは概ね想定出来ることばかりである。
あの世の理はあの世に行ってみなければわからない。
想定外という言葉を持ち出すのも良いのだが、まずは徹底的に想定してみるべきであり、想像してみるところから始めてもらいたいものだ。

「特区制度」を導入し、自治体管理下での制度汎用。
財源は国からの自治体向け交付金と、インバウンドゲストの宿泊税、施設使用税などを考えればよいだろう。
人材は「添乗員派遣協会」と「通訳ガイド協会」などとのアライアンスを軸に進めると「非正規雇用」が常態化した彼らにとっての就労機会増進にもつながる。当然、高齢者雇用促進も視野に入れることが出来るだろう。

まずは政治家の皆さんや自治体の首長さんに、観光先進国と云われる国のツーリストポリスの事業を視察に行ってもらいたいものである。
特に観光施設状況、情報の数値化とディスクローズは日本の場合遅れている。ツーリストポリスの事業と施設のアライアンスの構築は様々な可能性を生み出すだろう。

オーバーツーリーズムという言葉自体、愉しい言葉ではなく、むしろ悲しい言葉だということを思いだしてほしいものだ。


※この一週間ほど、本宅のハラール関連原稿へのお運びが顕著だったのだが、お役に立てただろうか。
お役立ていただけていれば有難いのですが。

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