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九州で初開催!「錦江町ローカルベンチャースクール2023」一次選考合宿で感じた、錦江町に集まる人たちのあたたかさ、しなやかさ、ひたむきさ。

今年度から九州に初上陸し、鹿児島県錦江町で開催中の「ローカルベンチャースクール(以下、LVS)」。これまでに岡山県西粟倉村と北海道厚真町で開催され、2016年以降に30件以上の起業家を輩出してきました。

対象は「好き」や「やってみたい」という気持ちを起点に、錦江町で事業を立ち上げたい方。ビジネスプランの精度よりも起業家としての本気の想いや覚悟を持つことを重視し、メンターや役場職員が参加者と全力で向き合う起業支援プログラムです。地域おこし協力隊の地域要件を満たす方には審査も実施しており、最終選考を通過すると最大3年間の事業支援を受けることができます。

本記事では、2023年1月6〜8日の2泊3日で開催した一次選考合宿の実施内容や会場の雰囲気をお伝えできたらと思います。今回は参加できなかった方、今後参加してみたい方の検討材料になれば幸いです!


町内外から7名の参加者が集結!

今回参加されたのは、すでに町内で事業を実践中の地域おこし協力隊及びOGの3名と、錦江町で新たに事業立ち上げを目指す町外にお住まいの方4名、計7名のみなさんです。さらに、町外からの参加者のうち2名は錦江町出身者の方と、町内で活動中の方・町にゆかりのある方の参加が多い印象でした。

参加者の事業内容はフェアトレード製品の輸入、果実酢・果実シロップの製造・販売、住宅・建築の断熱改修サポート、整体院、アーティスト・イン・レジデンス、私設図書館、草木染めブランド…と本当に多種多様。
みなさんがどのような背景で、どのような事業を目指されているのか、お話を伺えることがとても楽しみです!

会場には、廃校を活用したサテライトオフィス・コワーキングスペース「地域活性化センター神川」を使用させていただきました。こちらは音楽室だった部屋です

緊張のプレゼンテーションから合宿がスタート

錦江町LVS一次選考合宿は、1月6日14時にスタート。はじめに参加者お一人ずつ、この後の事業ブラッシュアップに向けて1回目のプレゼンテーションを行っていただきました。

現時点で考えている事業を人に伝えること、ここはどう考えてる?と質問を投げかけられるだけでも、新たな気づきを得られることがあります。

終了後に参加者のみなさんに行ったアンケートでは、「何を言われるんだろう…」とはじめはとても緊張していたが、否定や決めつけをされない温かな場で安心したという回答が目立ちました(ほっ)。

プレゼンテーションの後には、研修講師を交えた振り返りを実施。個人で自分のプレゼンの振り返りをした後に、参加者同士でお互いのプレゼンの良かった点ともっと伝えられると良いと思う点を伝え合いました。
この時間で参加者同士の交流が生まれ、緊張から和やかな雰囲気に変わったように感じます。

振り返りの後は、事業を考える観点として講師から10個の問いが投げかけられました。合宿中だけではなく、この先も考え続けたい内容もあり、3日間の合宿の中でどの問いに重点を置いて考えるのか・考えたいのかは、それぞれの状況によるため、その人自身の判断に任せられました。

例えばこんな問い…

自分はこのLVSで何を得たいのか、これからどうありたいのか、実現の手段は本当に起業なのか。

参加者の皆さんからは、日頃の活動の中で見落としていたポイントを整理できたという意見が挙がりました。(わたしなら、この問いの答えを出すだけでも3日間が終わってしまいそうです…。)

なぜ起業するのか?に真剣に向き合う対話の時間

考えるポイントを整理したあとは、いよいよLVSのメインコンテンツであるメンタリング(メンターとの対話)の時間に。メンターとして参加されたのは、ローカルの起業に関して豊富な経験や知見を持つメンバーや町をよく知る役場職員、計11名のみなさんです。

参加者はメンターのいる7つのテーブルを25分ずつ回り、「その事業で本当にやりたいことはなに?」「どうしてそうしているの?」といった質問を受けたり、自分の考えを言葉にしたりしながら、事業の根幹を掘り下げていきます。今回のLVSでは、1・2日目の2日間で25分×10回以上のメンタリングが行われました。

起業はあくまで、自分がやりたいことを実現するための手段。
「なぜその事業をするのか?」が自分の中でしっかり腹落ちしていると、人に事業や商品・サービスの魅力を伝えやすくなり、自然と顧客からの応援を集めることに繋がります。また、思うように進まないときや迷いが生まれたときにも選択や決断がしやすくなり、頑張り続ける理由になります。

だからこそLVSでは、新規性や収益性、市場性といったビジネスプランの精度よりも、事業を立ち上げ、続けていくための原動力や土台となる「思い」や「情熱」を明確にすることを大切にしています。

参加者は自分の事業に、メンターは相手の事業に真剣に向き合い続ける、メンタリングの時間。終わったときには集中し過ぎてぐったりされている方もいらっしゃいますが、「こんなに自分の事業や人生について真剣に考えたのははじめて」「たくさんの人が自分に真摯に向き合ってくれることに感動した」といった感想が毎回寄せられます。

今回も参加者からは、
「実現性を厳しく詰められたり、考えを否定されるのではと身構えていたが、親身になって話を聞いてもらえた温かな時間だった」
「回数を重ねたことで、最後の最後に気づけたことがあった」
「なぜ自分がその事業をやりたいのかという軸が太くなった」
といった感想をいただくことができました。

ちなみに、錦江町役場からは部署を横断した6名のみなさんにメンターとして参加いただきましたが、初めてのメンタリングにも関わらず、目の前のおひとりにまっすぐに向き合い、応援したいという気持ちが伝わる真摯な対話が印象的でした。時には、参加者のお話を聞いてこれまでの役場の取り組みを省みられている方もいらっしゃるなど、とても誠実なみなさんに参加いただいたと感じたひとときでした。

1日目の最後には、参加者とメンター、運営スタッフを含む懇親会を実施しました。この頃にはすっかり参加者の緊張がほどけた様子に。和やかな雰囲気で乾杯が交わされ、1日目の内容を振り返る方や、ご自身のやりたいことを熱く語られている方もいらっしゃいました。

自分のやりたいこと、目標や夢を語ることができる相手や場所って、実は貴重なように思います。互いが真剣に向き合い、共に濃厚な時間を過ごす中で、いつの間にかこの場にいる全員が自然と「同志」や「仲間」になっていたのではないでしょうか。

新田町長直々に情熱のプレゼンテーションも

2日目の午前中には、新田町長より錦江町の現状や今後の展望、そのための重点施策について直々にプレゼンテーションいただく時間がありました。

こうした場に自ら足を運ばれるフットワークの軽さ、「町の未来をよくしたい」という思いをご自身の言葉でまっすぐに届ける情熱、意志のこもった構想と実行力。
参加者からは「自分も一緒に頑張りたいと思った」という感想が寄せられ、この方が錦江町の未来を推進されるリーダーで、町にチャレンジの渦を生み出す中心にいらっしゃる方なんだなと、改めて感じることができました。
(この記事を読んでくださっているみなさんにも新田町長の魅力をお伝えしたく、まずはぜひこちらの記事を読んでいただきたいです!)

午後にはメンタリングの続きを実施した他、自由時間も設けられました。
自由時間ではメンタリングを受ける、考えやプランをまとめる、町内に足を運ぶなど、過ごし方はその方に任されています。今回は、町長に話を聞いてほしいと直々のメンタリングを申し込む方や(町長はメンターや審査員ではなくゲストとして参加されていましたが、参加者の希望によって実現しました)、個人でプラン作りに集中される方が目に留まりました。

いよいよ明日3日目は、一次選考プレゼンテーション。この日はみなさん、遅くまでプレゼンテーションの準備に時間をかけている様子で、夜は更けていきました。

一次選考プレゼンテーション、そして最終選考会へ

迎えた3日目。参加者のみなさんが、3日間の成果を形にして伝える時間がやってきました。
プレゼンテーション後、地域おこし協力隊の要件を満たす参加者には審査が行われ、審査対象ではない方にはフィードバックが伝えられます。

7分という短い時間で、それぞれの思いとプランを伝えた今回のプレゼンテーション。拝聴していて、1日目のプレゼンテーションと比べ、事業の原点や輪郭がくっきりした印象を受けました。

事業において大切にしたいこと、事業を通じて実現したいこと、提供したい価値とその価格、これからの事業に必要な要素、そして自分自身の「課題(目標を達成するために取り組むべきこと)」…参加者お一人おひとりの事業、人生にとって大切なことが言葉になっていた、と感じました。中には、自立を目指さなくてはという焦りによって、ご自身のわくわくや大切にしたかったことが見えなくなっていたと気づいたという方もいらっしゃいました。
みなさん、心なしかすっきりした表情でお話しされていたように思います。
プレゼンテーション後のフィードバックでは心に触れたものがあり、涙を流される方もいらっしゃいました。

審査結果としては、審査対象2名のうち1名が通過。
結果とフィードバックを受けて、これから約1か月間、ご自身で事業ブラッシュアップを進めていただき、2月の最終選考会で最終プレゼンテーションを行うことになります。

ローカルベンチャースクールを続けてきた理由

なかなかこの場の価値を一言で伝えることは難しいのですが、参加者のみなさんを含む全員が互いに本気で向き合って応援し合えた、“錦江町らしさ”を感じる真剣さとあたたかさに溢れる3日間だったと感じています。

参加後のアンケートでは、ある参加者の方から「LVSはその人の人生を応援することが前提にある、想像以上に温かい場だと感じた。綺麗事や理想が否定されない、お守りのようなものをいただいた時間だった。」というお言葉があり…むしろ、温かいお言葉をありがとうございます…(泣)!

最終選考会後には、参加者のインタビューをnoteでご紹介したいと考えていますので、引き続きよろしくお願いいたします!


錦江町ローカルベンチャースクール公式サイト



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