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SL-1200MK4をゆるく音質改善してみる(3)

アプローチ2: レコード盤/プラッター上の振動対策をとる

これはアプローチ3とも関わりのある項目になります。先に説明してしまえば、「低域共振を抑える」を2つのアプローチから対応するものです。

低域共振とは?(再掲): レコード再生はアナログ動作であるが故、カートリッジのカンチレバーを支えるゴムダンパーをバネにした音楽信号とは無関係な共振(ブルブル)が発生しており、これがレコードの反りや偏心に反応してしまうと本来のソースに入っていない音歪が出てしまいます(混変調歪)とのこと。

アプローチ2は、低域共振の誘発要因であるレコード盤の反り自体を抑え、カートリッジの読み取りの暴れを抑えようとするものになります。

そこで登場するのが、ひとつはレコードスタビライザー、もうひとつがオヤイデBR-12というターンテーブルマットです。

このタンテマットは、ゆるいテーパー(すり鉢)状となっており、スタビライザーをレコードの上にのせることでタンテマットに密着するという優れもの。よほど酷いレコードの反りでなければ、間近にターンテーブルを回しているのを眺めてみても反りは目立たなくなるのがわかります。

実際に再生すると、反りのあったレコードの再生に安定感が出て(反りが原因の音の濁りが取れて)、反りのないレコードも密着効果で低域から高域までのロスが減ったような感じが出てきました。

アプローチ(3): ピックアップの振動対策をとる

こちらはピックアップ(カートリッジ〜トーンアーム)に対して、そもそも低域共振が起きてしまう構造そのものに対して「ダンプ(減衰)をかける」アプローチです。
ここで登場してもらうのは、後付けオイルダンプ機構の「KAB TD-1200」。SL-1200Gでもお世話になっている機構です。これはアームの支点付近にオイルバスと、アームにはオイルバスに触れるヘラを装着します。ダンプの動作イメージは水飴がわかりやすいでしょう。ゆっくり掻き回す分には普通に混ぜられますが、急に動かそうとするとうまく動かせない…つまり、低域共振のある一定以上の暴れを抑制する…ということです。
その効果について、手元の低域共振周波数が調べられるテストレコードを使ってチェックします。まずオイルダンプ機構なしでは、ML170は6Hzから激しく揺れ始め、7Hzで盤から飛び跳ねてしまいました…(つまりf0(低域共振周波数)は7Hz、そのq0(鋭度)はカートリッジが飛び跳ねてしまうくらい強い、ということがわかりました)。
次にオイルダンプ機構を装着します。すると7Hzで震えるものの、少しブルブル震えてるな、くらいのレベルで収まるようになりました。また偏心気味のレコードをかけてみても、偏心に誘発されて周期的に起きるカートリッジのブルブルも抑制されました。これがダンプの効果です。
ところが厄介なのが、実際に再生した時に感じる音です。経験則、「かける針圧が低く」「コンプライアンスが高い(つまり低域共振が低く、かつカートリッジのダンパーが柔らかくカンチレバーがよく動く)」カートリッジほどオイルダンプいっぱいにすると高域が詰まったような変な音になってしまいます。やはりML170も同じ傾向でしたので、オイルバスに入れていたオイルの量を調整し、MAXの半量くらいまでがちょうど良さそうです。

さて、やることは一通り終えました。最後に1200Gと比較してみます。

改善後の出音

改善ポイントは、中低域の音の被りを無くし、聴感上のレンジをクリーンにすることでした。1200Gと比較試聴してみても、その目標は十分達成していることがわかりました。中低域の締まり感よく、違和感がなくなっておりホッとしました。
これでセカンドシステムの調整は完了です!

これから思う存分、SL-1200GとSL-1200MK4の2台使いを楽しんでいこうと思います。


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