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うたがわきしみのほぼ140字小説

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最近演出仕事ばかりでアウトプットを怠っているので発信のストレッチをはじめる。じわじわ怖かったり、シュールだったり、短い間にツイストかませたり、いろいろやります。Twitterでフ… もっと読む
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記事一覧

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【一行ホラー小説】
臭い物に蓋をする



や、なにポカンとしとん?
ホラーやん、ちゃんと
なんかおぞましき臭いを放つ
何かに蓋したんやろ?
言い換えればそれは我々人類の手では
まだ一時的にしか封印することができん
ヤバイ奴ってことやん!
だからつまり奴はまだ
そこにおるんよ…

「驚いた?」
月明かりの射し込んだ出窓にその黒猫はいた。
「声帯チップよ。彼女の」
右手をペロリと舐めこちらを見上げる。
「帰宅した途端死んだ彼女の声で猫に話しかけられたって顔、鏡で見せてあげたいわ」
すとんと床に降り、僕の足に体をこすりつる。
「彼女の霊識で構築されたAIなの」

へえ毎年学年で一番の成績ですか
それは凄い
いわゆる秀才という奴ですな

え、全国でもずっとトップ?
なんと素晴らしい
大変優秀な学生さんだったんですね
本物の天才ですね

おっといけない
ところでさきほどの私の質問の答え
まだいただけてませんでしたね

あなたは今、幸せですか?

その年、動物愛護団体過激派の一部が猟師やまたぎの撲滅を叫び水面下で決起した

それは東北一帯の領域で同時多発的に起きた
狩りに出ていた猟師やまたぎ達が謎の黒装束集団に襲撃され、次々と撲殺されたのだ
動物の命より人の命が蔑まれ狩られた事件だった

2063年狩猟期のデータベースより

【短編小説】『見立て』

我が牙、未だ死なず

馬鹿め カツラではないわ これが余の本体よ 言ってみれば 人類こそが 余のカツラに値する そこに直れ どれを付けるか 吟味してつかわす #超短編 #ショートショート #ほくそ笑みホラー #ナンセンス #シュール #詩人