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【佐藤秀峰氏VSAmazon】ブラックジャックによろち⚪︎こ事件とは!?

みなさん「ブラックジャックによろしく」という漫画はご存知ですか?
この作品は医療現場の厳しい現実を描き出した漫画であり、医療界に関わりのない私でも、読み込んでしまうほど専門的なこともわかりやすく描かれています。
私の大学で癌の治療に関しての講義で、この作品を読むことが課題として挙げられたこともありました。

しかし、彼のこの作品は、後にAmazonとの著作権を巡る大きな争いの中心となります。
この争いは、漫画名の改変や権利問題を巡るもので、漫画業界やデジタル出版に深い影響を与え、クリエイター、出版社、デジタルプラットフォーム間の関係に新たな光を投げかけました。
一体「ブラックジャックによろしく」というマンガがどのような経緯でAmazonと争い、その結果はどうなったのでしょうか?
今回のブログでは、この一連の権利問題について解説していこうと思います。

佐藤秀峰氏の作品「ブラックジャックによろしく」の簡単な紹介

佐藤秀峰氏は日本の漫画界で独特な地位を占める人物です。
彼の代表作「ブラックジャックによろしく」は、医療漫画のジャンルにおいて、特別な存在として認知されています。
この作品は2002年から2006年にかけて連載され、日本の大学病院や医療現場の現状を研修医の目線を通じてリアルに描写しています​​。

「ブラックジャックによろしく」は、主人公の斉藤英二郎が名門大学の医学部を卒業し、研修医として働き始めることから物語が始まります。
斉藤が経験する医療現場の現実は、時に厳しく、時に感動的でもあります。
佐藤氏はこの作品を通して、医療の現場で働く人々の苦悩や葛藤、患者との関係、そして日本の医療制度の問題点を鋭く描き出しています。

この作品は、医療現場の内部からの視点を提供することで、読者に医療従事者の現実を深く理解させることに成功しました。
また、医療に関わる倫理的な問題や人間ドラマが織り交ぜられており、単なるエンターテイメントを超えた社会的メッセージを持つ作品となっています。

佐藤秀峰氏のこの作品は、日本の漫画業界における重要なマイルストーンと言えるでしょう。

Amazonとの争いが始まるまでの経緯

先ほども伝えた通り佐藤秀峰氏は日本の漫画業界において注目される存在であり、彼の作品は多くの読者に影響を与えてきました。
特に「海猿」や今回取り上げている「ブラックジャックによろしく」などは広く知られています。
しかし、彼のキャリアにおいて特筆すべきは、大手オンライン小売業者Amazonとの間で生じた著作権を巡る争いです。
この争いは、デジタル時代の著作権管理とクリエイターの権利に関する重要な議論を呼び起こしました。

この対立の始まりは、佐藤氏が自身の作品をAmazonのKindle Unlimitedプログラムに参加させたことに起因します。
Kindle Unlimitedは、一定の月額料金で多くの電子書籍を読むことができるサービスです。
当初、このプログラムは出版業界において画期的な試みと見なされ、佐藤氏もこの新しい配布方法に興味を示していました​​。

しかしながら、佐藤氏の作品がKindle Unlimitedに含まれる過程で、問題が生じました。

争いの核心部分

前提として佐藤秀峰氏は「ブラックジャックによろしく」を佐藤氏が代表を務める有限会社、佐藤漫画製作所で無料配布し、商用非商用とも自由に利用できると定めていました。

またAmazonの規約に「プライスマッチ」という要項がありました。
ひらたく言えば「他社ストアでAmazonより安く販売している作品はAmazonの独断で価格を下げるよ」というもの。
他社ストアで無料で配信していたらKindleストアでも無料にする、その場合はロイヤリティもゼロ円になると明記されています。

上記の2つを根拠にAmazonは
「他のサイトで無料で配信されてるからそれに合わせてAmazon内でも無料化(プライスマッチという)し、お金も払う気ない」
と主張しAmazon KDPで販売していた「ブラックジャックによろしく」を無断で価格を0円に変更しました。

しかし、佐藤秀峰氏が無料公開していた「ブラックジャックによろしく」のデータはAmazon内で提供していた「ブラックジャックによろしく」のデータとは別物
Kindle KDPで佐藤秀峰氏自ら配信していたKidle版は、「『kindle用に作った高画質版』=『生原稿から製版所でデータ化してトリミング、リサイズしたもの』だから、画質が良い」とのことです。

また、Kindle KDPは佐藤秀峰氏自身が配信していますが、他の電子書籍販売サイトで配信しているのは佐藤秀峰氏自身ではないため、配信者も違うと指摘しています。

これによりプライスマッチの規約も当てはまらないというAmazon側とは全く逆の主張をしたのでした。

影響と結果

佐藤秀峰氏はこのAmazonの無断でのAmazon内での「ブラックジャックによろしく」無料化に対して、
「ブラックジャックによろしく」
の名前を
「ブラックジャックによろちんこ」
と変更することで、対抗します。笑

タイトルを変えました。
「ブラックジャックによろちんこ 第1巻 [電子書籍版] 」佐藤秀峰
https://t.co/4sH1nz4QxP
— 佐藤秀峰 (@shuho_sato) July 28, 2017

「タイトルが違うものにプライスマッチの規約は当てはまらないじゃん」という理論です。

これによりAmazonには「ブラックジャックによろちんこ」というタイトルのマンガが13巻並ぶことになりました。笑

結局Amazonは、この後「ブラックジャックによろちんこ」を販売停止にしました。

結論と展望

デジタル化が進む現代において、著作権という概念はますます重要性を増しています。
この問題は、単に一人のクリエイターと一企業間の著作権争いに留まらず、インターネットを通じたコンテンツの配布とクリエイターの権利保護に関する議論を引き起こしました。

電子書籍の普及は、作家や漫画家に新たな配布チャネルを開放しましたが、同時に収益モデルや著作権管理の複雑さも増加させています。

佐藤秀峰氏のケースは、この分野における進展と課題の両方を示しており、今後の方向性を考える上で重要な参考となります。

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