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芹沢鴨どき

飛龍頭という料理。かっこいい名前なので、どんな料理かと調べてみたら、ひじきや人参等の野菜を、潰した豆腐に混ぜて、油で揚げる、、、
なんだ、これってがんもどきか。
ということで、がんもどきを作ってみることに。しかし、ありきたりでなく、やはり少しアレンジを。
がんもどきのがんというのは鴈、野鳥の鴈の味に似せたからとか、肉団子の丸つまりがんから来ている等、諸説ありますが元々は精進料理。肉食をしない僧侶にとって貴重なタンパク源。
鴈つまり野鳥、それに似た野鳥、鴨。ということで、芹沢鴨を妄想しながら料理。(完全なこじつけ)

新選組の局長と言えば、近藤勇ですが、もう一人、局長と呼ばれた男が芹沢鴨。水戸出身で神道無念流の遣い手。何かと粗暴、或いは横暴な逸話が多く残されている人物ではあります。

材料

豆腐 1丁
人参 半分
芹  1杷

醤油 大匙1
塩  小匙1
酒  大匙1
片栗粉 大匙4
黒摺り胡麻 大匙2

ここには写っていないのですが、卵 1個
乾燥ひじき 二つまみ位

豆腐は水気を切り、重しを乗せて更に水分を出来るだけ出しておく。その待ち時間に具材の準備。

一般的ながんもどきには使わない素材が一つ、芹沢鴨に因んで芹です。
実は芹沢鴨というのは変名。本名は下村嗣次。
鴨が葱しょって来る。所謂、カモネギなんて言葉がありますが、江戸時代には葱ではなくて芹でした。鴨によく合う野菜とは葱ではなくて芹とされていました。洒落めいた変名だったということ。(芹沢村の出身だったからとか、水戸藩士、芹沢家の縁者だったので、芹沢を名乗ったとも)
その芹を4センチ巾位に切り、茹でる。

茹でたら、水気を切り、醤油大匙1、味醂大匙1、水大匙2を混ぜ合わせて沸騰した汁に漬ける。要は芹のお浸しを作る訳。

お浸し


ひじきは水に浸して戻し、ましたが、よく考えたら後で水分ある豆腐に混ぜるので必要なかったかも。
人参は細く短く切っておく。具の用意はこんな所。

芹沢鴨の出身地、水戸は過激な尊王攘夷思想の持主が多く、勅許なく開国を強行した井伊直弼大老の暗殺事件、桜田門外の変の襲撃者の殆どが水戸浪士。芹沢鴨も尊攘派。尊王攘夷運動に加わりたいという志から、十四代将軍家茂上洛の警護の浪士隊に応募。江戸から都へ上る。この浪士隊に応募した中には近藤勇以下、天然理心流の面々。そればかりか商人とかやくざまで混じっていたとか。正に玉石混淆。


玉粉混淆?

すり潰した豆腐に卵、片栗粉、醤油、酒、黒摺り胡麻を混ぜて、芹を始めとする具材も混ぜる。

中山道を通って都へ上る途中、本庄宿にて芹沢鴨、騒動を起こします。
宿場の宿割りで、芹沢が泊まるべき部屋がなかった。というミスが発生。これに癇癪を起した芹沢、野宿をすると言い出して、寒いので焚火。それも燃える物をどんどんとくべて、天を焦がすような大篝火。冬で空気が乾燥している時分、何かに燃え移ったら大火事発生の恐れ。詳しくはこちらの動画をどうぞ。

京へ着いた浪士隊、紆余曲折の後、会津藩お預かりの市中警備の役割を担い、新選組へと発展していきます。
巨魁局長、或いは隊長と名乗った芹沢鴨。念願の尊王攘夷運動に挺身かと思いきや、この後も粗暴、横暴な逸話が多い。
島原の遊郭で、気に食わないことがあったので什器を壊して一方的に営業停止を言い渡したとか、自分に靡かない遊女の髪を切ってしまった。
大坂で力士達と乱闘騒ぎを起こした等々。

歴史というものは勝者が書くもの。最終的には敗者となった新選組、その初期の実力者であった芹沢鴨は特に悪い部分が誇張されているということもあるのかもしれません。
普段は豪傑肌な人物で、世話になっていた八木家の子供と遊んでやったという話も残っています。又、世話になっていた八木家の娘が夭折した際には進んで葬儀の手伝いをしたという逸話もあります。行動のふり幅がかなり大きいのは酒乱、今風に言えばアルコール依存症だった可能性が高い。酒が入らなければ、いい人だった鴨?

混ざったら、丸める。

後は油で揚げるだけ。

新選組というのは内部粛清が多い組織でした。戦や普段の活動で殉職した人よりも切腹させられたり、内ゲバで殺された人数の方が多い。
文久三年(1863)九月十六日、(十八日という説もあり)雨が降る夜、当時、屯所としていた八木邸で就寝中の芹沢一派、襲撃を受けて死亡。当時は長州の不逞浪士の仕業と言っていましたが、実際に襲撃したのは土方歳三、沖田総司、山南敬助、原田左之助と推定されています。内部での粛清劇。

芹沢鴨どき

ひじきが所々、髭みたいに飛び出している。短く切るべきだったか。
揚がったら、油を切ってから頂く。
豆腐がふんわり、ひじきの滋味、人参の甘味、そして芹の微かな苦みがアクセントになっている。芹を混ぜたのは正解。
甘味、苦み、様々な味のふり幅が楽しめる。正に鴨もどき。
芹からβカロテンやビタミンC、ひじきからはヨウ素と栄養豊富。
今回はこのままで食べましたが、和風出汁であんかけを作ってかけたり、おでんの具にしてもいい鴨しれない。
食べきれなかったので翌朝、残りを食べましたが、一晩置いたら、これもしっとりしてよし。

昔、京都に行った時、芹鴨煮という物を食べました。文字通り芹と鴨を炊き合わせた料理。カモネギならぬカモセリを再現した物。今は肉食を謹んでいるので、それを再現することはしませんが、久しく行っていない京都に行ってみたくなる。

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