「スタートアップのための人事制度の作り方」という書籍がとても良かったので紹介したい

こんにちは、渡辺です。
ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズという会社で経理や人事の仕事をしています。

少し前のことになりますが、「スタートアップのための人事制度の作り方」という本を読みました。
この本が実務で非常に役立つ一冊でした。
2023年に買った本の中では、間違いなく第1位です。

私が思うこの本の良さを、3つのポイントからお伝えします。

ポイント①スタートアップだけでなく流動性の高い組織にも役立つ

書名に「スタートアップのための」とありますが、この書籍の内容はスタートアップ向けに限ったものではありません。
人員規模や事業内容ではなく、「会社の事業環境・社員の働く環境の変化度合いが大きいがゆえに、人事制度を流動性の高いものと位置づける必要がある企業」にスポットが当たっています。

私たちケンブリッジにおいても同じです。
コンサルタントはプロジェクト単位で働いています。
配属されるプロジェクト先が変わる、たとえ同じプロジェクトであってもクライアントからの期待値が数カ月ごとに変わるなど、環境変化の大きい仕事です。
そのため、この書籍に書かれている内容は、自社の環境に置き換えても大いに納得いくものでした。

「スタートアップのための」という書籍名を見て「ウチには関係ないや」と思っていたら、もったいないですよ。

ポイント②スタンスを明確にとっている

人事に関する書籍は、世の中にあふれ返っています。
ただ、その書籍の多くが「選択肢は様々あり、各社の事情によって柔軟に判断すべき」と玉虫色の回答に留まっているように感じます。

その点、この書籍はスタンスが明確です。

・私は、等級要件として定義した以上は、すべてを満たすことを求めます
・スタートアップの人事評価制度で推奨する評価期間は、6カ月です
・私のスタンスは、「個人の等級は公開すべき」です

すべて「スタートアップのための人事制度の作り方」より引用

上記のとおり、全部言い切る。
「時と場合による」という曖昧な記述は一部に留め、論点ひとつひとつに対して明確なスタンスをとっています。

人事制度の事例紹介も数件ありますが、単なる事例の列挙に留まりません。事例に対して示唆があり、事例集以上の価値があります。

実務上悩ましいポイントに対して「本当にそうか?」と内省できるため、実務担当者にとってこの姿勢はありがたいものです。

ポイント③共通言語になる言葉選びがある

最近、制度企画や組織開発において、言葉選びの重要さをひしひしと感じています。
どんなに思いを込めた内容でも、他人にパッと伝わる名づけがないと、伝わるものも伝わりません。

その点、この書籍の言葉選びは記憶に残ります。
「入学要件・卒業要件」
「未来志向・過去志向のジャッジメント」
「降格アラート」
「人事評価のサプライズ表」
など、読み返した時に「あぁ、あの施策のことね」とすぐ想起できるフレーズが多い。

この書籍を読んだ人の間で共通言語になる言葉が、至るところにちりばめられています。
こういう言葉選び、私も磨きをかけたい。

おわりに

昨年から今年にかけて、ケンブリッジの人事評価制度を大きく見直しました。実に十数年ぶりの制度改定。

社内有志メンバー3名+人事2名のタスクフォースで検討を進めましたが、全員がこの書籍を読み込んだうえで議論し、課題分析や施策検討に臨みました。
そのため、ケンブリッジ社員がこの書籍を読むと、どのあたりに影響を受けたのかがよく分かると思います。

装丁も挿絵も柔らかく、読みやすい本です。
ぜひ手に取ってみてください。

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