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ソリストになる覚悟はあるか?

最近、仕事に対する姿勢や目標、対外的なコンセプトなどを考えることが続いていました。昨日もXのスペースで話す機会をいただいたので、その前後で考えたことをここに書こうと思います。ちょいと自分語りになりますが、お許しを...。

私は小さい頃から音楽が、特に楽器を演奏するのが好きで、高校から大学までオーケストラ部に所属していました。

はい、「...音楽なんてよくわからんよ」って思った方が98%くらいですよね。極力わかるように書くので、離脱しないで...すんません...!

オーケストラは、管楽器や弦楽器など14種類のパートがあり、だいたい60〜100名ほどが一緒に演奏します。

私はそのなかのビオラという弦楽器を弾いていました。ビオラは1パート10〜12名くらいが参加し、担当するのは全体の伴奏やバイオリンのハモリパートなど。誤解を恐れず端的にいうと「めっっっちゃ地味で常に人気のないパート」です。...あぁ、先輩や先生に怒られそう。笑

でもだからこそ、私は楽器を弾く勇気が出ました。あんまり目立たないし、ぶっちゃけ私が間違えても周囲が合っていれば曲の進行は問題なかったから。

一方で、トランペットやフルートなどの金管楽器や木管楽器はまったく事情が違います。基本は1人の奏者がひとつのパートを担います。もちろん間違えたらバレます。全体練習中も個人で吹かされ、たまに吊し上げられているのを見て、ひょおおおーーーーと恐れ慄いていました。

もう絶対できない、管楽器ほんと無理。メンタル的に無理。

そして指揮者に至っては、さらに訳がわかりません。指揮者は各楽器、各パートの譜面を全部頭に叩き込んでいて、入りのタイミングをちょっとでも外そうもんなら、「キッ」と視線が飛んでくるわけです。脳内どうなってるの?宇宙が入ってんの?

で。

私はビオラパートでこてんぱんに伸された状態で、全体の影に隠れたいメンタリティのまま社会に出ました。働く気は人一倍あったけれど、とにかく自信はない。でもプライドだけは高い。面倒くさい新人です。

仕事は楽しかったし、がんばったなぁとは思うけれど、正直思うような結果は出せませんでした。社会人3年目に投資信託などの営業部署に異動したとき新人賞(全国2位)はもらったけれど、営業エリアがよかっただけかなぁ。上位はほとんどうちや都内の部店メンバーだったし。

そして数箇所転職してキャリア迷子になり、収入がどんどん下がってお金もなくなり、「もう会社は向いてない、自分で働こう」と決めたとき、うっすらと「もう隠れ蓑はないんだ」と肌で感じました。もう大多数に埋もれられなくなった。圧倒的に孤独。

そう、オーケストラで例えるなら、ビオラのなかに埋もれるのをやめて、いきなりトランペットの1st(一番目立つパート)に立候補しちゃった感覚です。全然吹けないのに!!

でもそうとなったらやるしかない。さらに私の場合はライターを初めて数ヶ月して妊娠がわかり、Wワークしていた居酒屋を辞めざるを得なくなったので、そこで腹が決まったように思います。

でも別に、フリーランスで働くのに、そんな気負う必要はなかったりします。そんなに単価を上げず、慣れた案件だけを丁寧にずっと続けていく道もあるし、とにかく例を挙げたらきりがないほどの職種や働き方があるから。

でも私は経済的なピンチもあったので、とにかく技術を磨いて、ちゃんと書けるようにならないといけなかったんです。だからあえて急に、1人で吹く道を、めちゃくちゃ目立って批判にもさらされる道を選んだんだと思います。

そんなこんなで、なんとかライターで食えるようにはなったんですけど、ライターとして優秀なのか?と言われると自分では微妙だなと思います。もっと吹ける人はたくさんいたから。私は1stはできないな、1stを支える2ndくらいかな、と思いました(余談ですけど、2ndには2ndのよさがあります!ぜひお近くの音楽関係者に聞いてみてください)。

だったら、もう少し外野の視点を身につけてみたらどうか?そういう発想もあって、編集者の道を模索しました。オーケストラでいうなら、弦楽器の練習責任者など「演奏者を見て方向性を示す」役割です。

結果的に私は編集者の業務が向いていました。さらに、うまいライターさんたちの原稿を見ていたら、いつのまにか自分の原稿もよくなっていった感覚すらあります。ラッキー。

そして一年ほど前から、編集としての仕事も含めて受注できるように、「となりの編プロ」という組織名をつけました。でもあんまり現実は変わらなかったし、私もそこまで積極的な展開ができなかった。第二子の妊活をしていたりしたので。でも心機一転、この1月に株式会社を設立し、法人として活動することにしました。

もう、ここまで来ると、自分のオーケストラを作っちゃったようなものかもしれません。どんな曲を演奏するのも、どんな指揮者や演奏者を迎えるのも自由です。自分でビオラを弾いてもいいし。ただし、定期的に演奏会を開いて、耳の肥えたお客様を満足させ続けないと、速攻で潰れます。

でも個人的にはこの「経営」という所業が実はずっとやりたかったので、あんまり負ける気はしません。ていうかただの法人成りだし。一から事業を起す企業家とは訳が違うし、仕入れはないし、融資も受けないし。条件的には相当ラク。とかいいながらすぐに法人を解散させたら、ぜひ笑ってください。

話を戻しますね。今振り返ると、一番自分の仕事やメンタルが変わったのは、「1人で立とう」、ソリストになろう、1stを吹こうと決めたときだと思います。

普段仕事で超絶お世話になっている、素敵なアウトプットをするライターさんやカメラマンさんたちからも、「この演奏は任せて!」「黙って任せてついてこい!」という気概を勝手に感じています。私はそういう素敵なクリエイターさんたちにどんどん仕事を回したいので、まずは自分が営業活動をがんばらねば。

そして忘れてはならないのが、私がしょぼしょぼだったときから支えてくださったクライアントたちの存在です。そんな方々と、これから出会うお客様たちには、もっともっといい演奏を聴かせたい。がんばる理由は本当に星の数ほどあるなぁと思います。

というわけで、気づけばこの記事は私の決意表明みたいになってしまいました。おかしいなぁ。ただ「仕事をオーケストラに例えたいなぁ」っていう気持ちだっただけなんですけど。

でも好きな仕事を好きなことに例えるとめちゃくちゃテンションが上がるので、ぜひぜひ皆さんやってみてください!

あと「ソリスト」と「1st」は厳密にいうと別の立ち位置なのですが、今回はあえてごっちゃに書いています。モヤっとした方すみません!

ではでは、今月も月末まで走り切りたいと思います。

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