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当事者を全く理解できていない自分を理解する

私は長い間コールセンター業務に身を置いてきました。

新人研修の役回りに就くことも多かったので、「ロープレ」というのは日常的にやってきました。
ウィーズのLINE相談でも「ロープレ」は研修の中で当然行われています。

私が考える「ロープレ」は、自分(応え手)がいて、相手(何らかの困りごとを抱えている人)がいて、それぞれによくあるセリフや状況が割り振られていて、○○と言われたらどんなことを考えればいいか、どんな言葉が適切かを考える訓練の場として利用してきました。

しかし、その前提が「違った」と今更気づくとは。

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先日『支援の質を高めるための当事者理解を学ぶ~よい問いと対話を通じた事例検討と仕組みづくり~』という研修に参加してきました。

世界中のNPOを対象に提供している「ペイパル コミュニティ・インパクト・プログラム」の助成のもと実施された、ペイパル東京支店さんとNPO法人ETIC.さんのプログラムです。

実施場所はNPO法人ユアフィールドつくばさんのユアプレイス
講師はNPO法人ケア・センターやわらぎ代表理事の石川治江さんです。

「当事者理解」というキーワードに惹かれたのと、社会起業塾で散々お名前を耳にしていた治江さんのお話が聞けるチャンスがキタ!!!ということで即座に申し込みしました。

2日間にわたる宿泊研修でしたが、参加の皆さんといろんな思いや体験を分かち合ったり、ユアフィールドつくばさんの現場を見させていただいたりして、1日目から普段体験できないインプットがたくさんできました。

元気がもらえるてづくりごはん
快晴の元、ニワトリに餌をあげる体験もあり楽しかった


そして1日目の最後にあった「ロールプレイ」で、冒頭の衝撃の気づきがあったのです。

治江さんはロールプレイについて

「役割を演じて、なりきって、課題や問題を発見する手法」

と教えてくれました。

私はこのことを聞いたとき、その視点をもつことが必要な場面がこれまでどれだけあっただろう、そして、どれだけうわべだけの「ロープレ」をしてきたのだろう、と恥ずかしくなりました。

困り感、しんどさを抱えた人に向き合っていれば、当然のように『ケースバイケース』という言葉がでてきます。

どれだけいろんな経験を積んでもケースバイケース。

だからこそ、

ロールプレイは、訓練ではなく、課題発見の手法

という認識は本来欠かせなかったはずと感じました。

通信系のコールセンターでお客様がうまく接続ができなくてお困りのときに、「まずはマニュアルに沿って○○を聞く」「原因を切り分けよう」と、表に出てきている問題の対処ばかりを考えていると、

こちらは一生懸命お客様のことを考えているつもりなのに、時間がかかったり、お手間がかかったりしてお叱りの言葉を受ける・・・そんなことは幾度となくありました。

そのお客様になりきって考えることができれば

・もしかしたら、オペレーターが出るまで長くお待ちになってお疲れかもしれない

・もしかしたら、通信ができることによって得られる体験が人生を揺るがすものなのかもしれない

とさまざまな想像が出てきます。
そんな想像ができると、でてくる言葉や思いも変わってきます。

目の前にいる人がどんな思いでいるか、どんな状況でいるか、対話し、観察し、五感で、全身で感じ取らなければ本当の意味での「当事者理解」には近づかないのだろうと思いました。

2日目にやったロープレでは、一緒に参加していた人たちも昨日以上に役にのめりこんで、その人の思いに触れようという意識を持ちました。

自分がその役の本人ではないのだけれども、その人としてさまざまな感情があふれ出る瞬間を少し体験することができました。

***


私は、この研修が終わった後に、支援メンバーとロープレをやりました。

予定になかったのですが、当事者を理解することに惜しみない愛と情熱を注げるメンバーと、一緒に確認する時間を持ちたかったからです。

「私たちは小さい枠で当事者を見てしまっていますね・・・」
「どこかで、やっかいなことを避けたいとか、穏便に済ませたいとか思ってしまっていますね・・・」

そんなことを吐き出しあえる場であれたことが、良かったなと思います。

こうしてみんなで、「自分たちは当事者を理解できていないんじゃないか」と日々問いながら現場の活動をすることは、大事なことだと感じます。


当然、当事者を理解しようと向き合う過程では、そのことに疲れてしまったり、戸惑ってしまったりすることもあると思います。

私も同じです。そんなことは何度もあります。。。

でも、そこから逃げないこと、焦らないこと、そして発展途上の「支援」をある意味おもしろがること

そういったことの大切さも、治江さんは改めて教えてくれました。

『1日1mm成長すれば、1年で365mm成長できる』と。

2日目の研修では、サービスを見える化するためのサービスマネジメントについても学びを得ました。

これは、私たちがパランパルミル・ジャパンの仕組みをこれから作っていくうえで、非常に参考になると感じました。

「私のことをここまでわかってくれる、わかろうとしてくれるんだ」と思ってもらえる自分になれるように、学んで、実践して、悩んで、外に出て、内省して、1日1mmでも、前に進めていけたらと思います!

治江さん、Paypalの村田さん、ユアフィールドつくばのみなさん、ETIC.のみなさん、参加のみなさん、本当にありがとうございました!


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