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自己表現の落とし穴:「できる」という表現の使い方

職業「戸倉彩」です。
「できる」という表現は、皆さんも日常生活や職場などの場面で使う場面があるかと思いますが、能力やスキルを伝える際の動詞です。この単純なようにも思える表現は、IT業界のとくにITエンジニアの間では、しばし議論に発展することがあります。今回はワタシの考え方について書いてみることにしました。


1. 「できる」という言葉の重要性

皆さんは「できる」という言葉をどのように使われていますか?意識的に気をつけている点などは何でしょうか?
利用シーンに応じて、適切に使われた場合、専門性や能力を効力的に相手に伝える手助けとなりますが、不適切に使うと誤解を招いたり、期待に答えられない状況を生んだりする原因にもなりかねません。

このnoteでは、自己表現において「できる」と言うことの重要性を理解いただき、うまく活用いただくための何かしらのヒントを提供できればと思います。

2. 「できる」の定義と範囲とは

IT業界で約20年以上のキャリアの中で、自分の中でほぼ変わっていない「できる」の定義と範囲をざっくりと共有するとこんな感じです。

初級 (基礎レベル)

  • 理解: 基本的な概念やプロセスを理解している。

  • 実行: 簡単なタスクや問題を自力で解決できる。

  • アシスト: 誰かの指示のもとで作業を進めることができる。

中級(実践レベル)

  • 応用: 学んだ知識を様々な状況に応用できる。

  • 改善: 方法を見つけてプロセスを改善する能力を持つ。

  • 協力: チーム内で中心的な役割を果たし、他のメンバーを支援できる。

上級(エキスパートレベル)

  • 創造: 新しいアイデアや解決策を創出する。

  • 導入: 高度なスキルを使って、複雑なプロジェクトなどをリードする。

  • 教育: 他者に知識や技能を教え、指導できる。

4. 特化スキル

  • 専門的知識: 特定の分野や技術において深い知識を有する。

  • 技術的熟練: 特定の技術やツールに関して高度な操作能力を持つ。

  • 問題解決: 複雑な問題に対して効果的な解決策を提案し実行する。


3. 「できる」と表現する際の一般的な落とし穴

自分の経験から「できる」という表現を使用する際には、いくつかの落とし穴があることを何度も学ぶ機会がありました。これらを認識し、避けられるリスクは避けておくのが吉だと考えています。

過大表現のリスク

自分の能力を過大に表現することは、期待値を不当に高め、最終的には成果が期待に応えられない場合、信頼を失う原因となります。たとえば、あるプロジェクトに対して「自分でできる」と述べた後に、実際には多くの助けや追加リソースが必要になった場合、周りに悪い印象や影響を及ぼす可能性があります。

過小表現のリスク

逆に、自分の能力を過小評価してしまうと、適切な機会や挑戦から除外されるリスクがあります。また何かのタイミングで、できることが判明すると「できるのに隠している」と受け取られてしまうことも。周りから適切な理解や評価を得られるためには、実際のスキルレベルに応じて能力を正確に表現することが重要です。

誤解を招く表現

「できる」と一言だけだったり、あいまいな表現をしてしまうと、聞き手によっては異なる解釈がされることがあります。すなわち発言する側から、誤解を招かないための配慮や丁寧なコミュニケーションが求められるのが一般的です。例えば、具体的な実例や成果を交えて説明することで、このような誤解を最小限に抑えることができます。重要なトピックなので、次の章でも少し詳しくお伝えしていきます。

4. 「できる」を適切に使うためのヒント

ワタシは、できるだけ普段から意識的に「自分を客観視する」ことや、下記の「心がけ」を取り入れるようにしています。

聴き手の理解度を考慮する

IT業界でテクニカルなお仕事を長年していると、うっかり忘れがちになることの一つとして、自分の知っていることは相手も知っていると思い込んでしまうバイアスです。そのため、聴き手の背景や知識レベルを確認または配慮した上で、コミュニケーションすることが重要です。専門用語を使う場合は、その意味を簡単に説明するか、聴き手が理解しやすい言葉を選ぶことが効果的です。

明確かつ具体的な表現

「できる」とシンプルに述べるよりも、具体的なスキルや経験、達成した成果を具体的に示すことで、自分の能力を正確に伝えることができます。例えば、「Pythonのプログラミングができる」ではなく、「Pythonを使用して、一人でEコマースのWebサイトを開発した実務経験があります。」と述べる方が具体性が増します。

エビデンスに基づく

ワタシは、ITエンジニアのスキルを可視化するという意味で資格取得をおすすめしています。ただし、資格はあくまでも一つの手段であり、個々の技術力や問題解決能力の全てを示すものではありません。取得した背景や実務などでどのように活かしたのかなどを組み合わせると良いです。

過去の成功事例や具体的な成果を引用するかたちで、「できる」という表現を裏付けると、信頼性を高めます。インターネットで事例記事やインタビュー記事が公開されている場合には、それを共有するのも効果的です。これにより、聴き手は提供された情報の正確性と信頼性をより容易に評価することができます。

5. まとめ

このnoteでは、「できる」という表現の使い方について掘り下げました。この言葉はプロフェッショナルな環境において、強力な意味を持つため適切に使うためには注意と熟考が必要です。

一部のITエンジニアがソーシャルやテック系コミュニティなどで使用している「完全に理解した」や「チョットデキル」といった表現は、親しみやすさを意図している場合が多いですが、ビジネスの場では適さないことが多いです。相手や状況をよく考慮し、より正確でプロフェッショナルな言葉選びが求められます。

今後もワタシは、これらのこれらを念頭に置きながら、自己表現を行うことで、より良いコミュニケーションと充実した人間関係を皆さんとも築いていけたらと考えています。

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