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乳がんになった私 #67「noteをはじめる」

手術前の抗がん剤治療は全て終了した。

体調は、良くない。相変わらず副作用の痺れは辛いし、まだ最後の治療の影響で関節痛や下痢があった。

治療の数日後に、家で内田とバンドの現状、そして今後について話をしていた。

まだ現時点ではライブの目処が立てられない。体調を優先しながら楽曲制作等は続けるが、他に今やれることはないか。

Qaijffとしてなのか、私個人としてか、今何ができるか、何がしたいか。それは、“仕事”としての観点だけではなく、表現や発信の仕方も含めて。


私「…note、始めてみようかな。乳がんに特化した内容で。」

内田「いいんじゃない?」

正直、それまで私は迷っていた。始めから病気のことを隠すという選択肢はなかったし、公表した上で音楽を続けたいと考えていたが、SNSでどこまで詳細に病気のことを発信すべきか。話題がそればかりになるのは嫌だと思っていた。本当はバンドのことを、音楽のことを発信したいのに。だけど、今の私の日常は、乳がんのことがかなりの割合を占めているのも事実。

病気の発信ばかり見たくない、と思う人もいるのではないか。

かっこよくないんじゃないか…?

私は、自分が思う「かっこいい」について考えてみた。「かっこいい」の基準は人それぞれ。

病気のことを言うも言わないも、何を発信するかもそれぞれの選択…その人の美学…生き方…自由。



………やってみればいっか!!!


このタイミングで書いてみようと思えたことが私の素直な気持ち。直感。

知って欲しいと思った。自分の身に起きた出来事を通して、私自身初めて知ったことがたくさんある。乳がんという病気について、治療や薬のこと、副作用のこと。そしてこの期間、感じたこと、忘れたくない出来事。

だけど、知って欲しいという気持ちと同時に、書くことは勇気がいることでもある。(例えば、妊孕性温存療法のことなんかも)

思えば、音楽で表現すること、オリジナル曲を披露すること、人前で歌を歌うことも、とても勇気がいることなんだ。文章にすることも、表現だ。


乳がんが発覚してからのこの8ヶ月間、治療の真っ只中にはこんな風にnoteを書く気にはなれなかった。基本、前向きではあるのだけれど、不安で、必死で、怖くて、冷静に文章にする余裕なんてなかった。

術前の治療がひと段落し、手術を控えたこのタイミングだからきっと書こうと思えた。

パクリタキセルの副作用の痺れがピークでピアノが弾けそうにないので、ちょうど良いと言うのもなんだが、文章を書くことに時間と気持ちを注げた。

そうと決めたら私はとにかく書いた。箇条書きの日記を見返し、病院の検査結果や書類を見返し、記憶を辿り、書いた。

書くことが、私の日課になった。

(#68へ続く)
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