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乳がんになった私 #70「全摘への疑問と迷い」

嬉しい検査結果を聞いて、軽くなった心、軽くなった足取りでそのまま帰れるかと思いきや、1ヶ月後の手術に向けての様々な検査が待っていた。

採血、尿検査、心電図、胸部レントゲン。

楽勝だ。なんせ、がんが消えているかもしれないのだ!

一通り検査を終え、病院を出た。

別々の車で来ていた母。私たちの車から少し離れた場所に停めてある車に乗り込む前に、こちらを振り返って叫んだ。

母「良かったねーっっっ!!!!!!!!」

私「あはははは!おーう!!!」


帰宅する前に実家に寄り、父にも直接結果を伝えた。

父は私の肩をポンポンと叩きこう言った。

父「良かったなあ。花火を上げたいくらいだ。」

私「花火?!え、花火ぃ?!」

まさかの返答に私は大笑いした。そして、嬉しくて泣きそうだった。


内田の実家にも顔を出し、直接結果を伝えることができた。きっと安心してもらえたと思う。


ようやく帰宅した私は、へとへとだった。結果を聞く前は緊張して身体に力が入っており、良い結果を聞いて安堵感から一気に力が抜け、全摘手術をすることをあらためて決断し、検査して、家族に報告して…

目まぐるしい1日だった。


寝る前に私は、あらためて今日聞いた検査結果と先生の話に思考を巡らせた。

画像上、ほとんどがんが見えない。4㎝にも広がったがんが分子標的薬のおかげで消えているのかもしれない。だけど、全摘をする。命のことを最優先にするなら。本当に消えているかどうかは、切り取って病理検査に出さないと分からない。消えている可能性もあるが、全摘。画像では見えなかったがん細胞が残っている可能性もある。でも、本当に消えていたとしたら…切除した胸はもう戻らない。こんなにも画像の結果が良かったのに、全摘を選ぶものなの…?でも、がんが残っていることもある…命を最優先………命………


最初から、全摘のつもりでいたのに。

そして、あらためて全摘を選択したのに。

私の心に、疑問と迷いが生まれた。

(#71へ続く)
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