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「子どもができたら自分の時間なんて全然ないよ」っていう呪いを解きたい。

子どもをもつ友人知人は、みんなこう言った。「子どもができたら、自分の時間なんて全然ないよ」
ひとり時間が大好きな私にとって、これを言われるのがすご〜く恐かった。「子どもができても大丈夫、自由な時間はつくれるよ」そう言って安心させてくれる人は一人もいなかった。

だから私は必要な人に届くか届かないかわからないが、とにかく叫びたい。
「大丈夫!ママでも自由はつくれるから!」
トライ&エラーを繰り返したこの3年半、今ははっきり言える。一番伝えたいのはあの日、恐怖でふるえていた自分に、です。

子どもをもつ人生がイメージできなくなった30代前半。妊娠発覚で大混乱した38歳の冬。

若い頃は人並みに、というか漠然と、”将来的に子どもをもつ人生”をイメージしていた。けれど、30代を過ぎると子どもをもつ友人知人も増え、育児の大変さを表面的だけど見聞きする機会が増える。私は「子どもをもちたくない」「仕事だけして生きていきたい」「だから仕事だけはがんばるぞ」と考えるようになりました。

ただ、結婚した夫は子どもをほしがったので「絶対にもたない」という宣言もできず、「もし自然に妊娠したら、その時は受け入れるべきなのだろう」と自分に言い聞かせていた。
だけど内心ずっと思ってた、「妊娠こわい、妊娠したくない、妊娠したら自由がなくなる、夢は叶わない」。

2020年1月、今年は仕事を軌道にのせるぞ〜!と意気込んでいたタイミングで妊娠発覚。すぐにつわりがやってきて、仕事がままならなくなりました。

色々な方に迷惑をかける情けなさ、なぜこのタイミングで?という悔しさ、1年のビジョンが物理的に叶わなくなることへの苛立ち、出産という未知なる経験への恐怖、無条件で私をコントロールする存在(乳幼児)を迎える憂鬱…
考えれば考えるほど吐き気は増して、ベッドから出られない。子どもが生まれたら、どころか、妊娠しただけですでに自由を奪われている。「話が違うじゃないか!」

落ち着いてノートに書き出してみれば頭の中を整理することもできたはずだけど、寝ても起きても船に乗っているかのような気持ち悪さが続いていて、それすらもままならなかったのですよね。

ただその渦中にも「私の人生で今この経験が必要だから起きているのだろう」ということは、なんとなく理解しはじめた。
そんな中、最もインパクトがあったのが”フランス流子育て本”との出会い。

唯一読んだ育児書。

【フランス人は子どもに振り回されない】【フランスの子どもは夜泣きをしない】というタイトルだけでもわかるように、日本の標準的な子育てとは違う方法があるのだと、まず知れたこと。
そして「これならやってみたい」と思えたことで、私は子育てに少しの光を見出すことができました。

フランス流”ママも子どもも自由な育児”vs日本の母乳神話

フランス流の自由な子育てを知った私は、それを実践し経過をYouTubeビデオで発信することに。誰かの助けになりたいということよりも、私が記録としても残しておきたかった、どんなに強く感じたことも、意外にすぐ忘れてしまうので…。

更新頻度は1〜3ヶ月に1回?2回?くらいで、スタートから4年たってもチャンネル登録者220人の小〜さな舟。
それでもときどき「動画をみて気が楽になりました、ありがとうございます」とか、共感、励ましのコメントをいただけると「細々とでも、続けててよかったぁ〜」と思える、私の大事な居場所のひとつです。(稀にあれれ?ってコメントもくるけど「無関心よりマシか」と思うことにしている)

とくに「私は自分の体のラクのために、母乳ではなくミルク育児を選びました」と話したビデオは一番多くの方が見てくださっていて、コメントもいただく。まだまだ母乳神話に悩まされているママたちがたくさんいることを、あらためて知ります。

出産前から「母乳だと私しかできない。でもミルクなら夫や私の母でもOK。その間、私は休める」「乳腺炎とか胸がカチカチになって母乳外来に通うとか、絶対ムリ」という理由で、ミルク育児をすると決めていた私。

いざ産まれてみると「本当にそれでいいの?」と葛藤したものの、(このあたりの詳しいところはまた別の機会に)結果的にミルク育児してよかった、体がラクだったおかげで精神衛生上もとても良かった、息子は元気に成長しているしひとつの後悔もなし、ミルク育児バンザイ、と思ってます。

「子どもが生まれると自由な時間がなくなるよ」と言う側の心理。


ある時、ふいにタイミングがきて、私に「子どもできると自分の時間なんて全然ないよ」と何度も言っていた友人に「なんでそう言ったの?」と聞いてみた。そしてその返答に私は驚いた。
「私、息子が生まれてみて自分の時間って全然なくなるんだってビックリしたの。だから早めに知らせておいた方がいいと思って」と。

どうやら彼女は、私を怖がらせたり大変さをアピールする目的で言ったつもりはなく、「子どもが生まれる前に、自分のやりたいことやっといたほうがいいよ!」という意味合いで言ってくれていたらしい。

はぁ〜本当に言葉ってむずかしいなぁ。自分の意図したように伝わらないこともあるし、今回のように彼女は好意で言ってくれていたことが、私にとっては呪いの言葉になっていたのだから。

でもともかく彼女の本意を知れたので、”これまでに私に呪いをかけた人リスト”を解除して、「みなさん、勝手な解釈してごめんなさいね」と心の中で謝りました。

子どもが生まれても、工夫次第で自由はつくれる。

ただ私は、「子どもができたら自分の時間がなくなるから、今のうちにやりたいことやっておこう(子どもができたら自分のやりたいことは一旦あきらめよう)」とは、人に言わないし思わない。確かに自分の時間、自由は減ったけれど、工夫次第でそれがつくれることを知ったから。

私の場合は実家が近く、母のサポートをもらえる。そう言うと、「やっぱりね、環境が整ってるからじゃん」って言う人もいるでしょう。確かにそのとおり。だけど仮にそんな環境があっても、「私がなんとかしなきゃ」「頼らずにやらないと(立派な親になれない)」と抱え込んで、活用しないママが意外にいる。

自由時間を生みだすために、母に頼るのはもちろん、行政のお世話にもなった。 
地域の「一時保育の預かり所」は生後4ヶ月から利用することができ、私はそこに預けて仕事をしたり、大好きなカフェ時間を満喫した。これまたちょうど一時保育の施設のすぐそばに最高に好みのカフェバーを見つけて…
今でも時々足を運びます。

1番好きな席からの眺め。

預けられる時間が限られているからこそ集中してできることもあったし、したいことやすべきことを断捨離する術も学んだ。

あとはね、まだ子どもが歩きだす前は意外にひとり時間がつくれて、息子に「今からちょっとパソコンするけどここでメリーみててね」とか「15分ヨガするから、ここでおりこうに遊んでてね」と声をかけると通じるのか、その時間がつくれたんですよね。
”赤ちゃんに話しかけて説明する”というのはフランス流育児本で知ったのですが、本当に効き目あります。

ね!ママでも自由でいられるでしょ。子どもを持つことは、それほど恐れることじゃなかったでしょ。
自由は制限されたかわりに、「愛しい」という底なしに温かくてまろやかな感情を貰ったよ。
ママになるのを恐れていたかつての私と、もしかして今同じ気持ちでいるかもしれないプレママ、プレパパへ。

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